2015年 02月 20日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-2.5 山を焼く
川口、田中紺屋の囲炉裏端にて。

なにげなく見ていた灰。
焼いた炭じゃなくて、その周りの灰。
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ふつう、何気なく見ますよね。
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「山を焼いて持って来た」とおっしゃる。

そう言われても「はてな?」となりますよね
こちらは何のこっちゃわからない。

田中さんはそんなわたしを意に介せず、楽しそうに話はじめた。


「秋田の同級生がさ、山を持っててさ」

「へえ(そんなこともあるだろう)」

「その山を焼いて灰を作ってさ、ドラム缶5杯分、持って帰ってきたんだよ」

「はい?」

「あの時、山火事起こしちゃったらさ、オレ、そん中に飛び込まなくっちゃならなかったな(笑)」

「はいぃぃ?」


「囲炉裏用」の灰だと思って、無邪気に聞いたわたしが間違っていた。
そりゃそうでしょう。
そもそもは「正藍染に使う灰汁用」の灰なのだ。

消石灰は使わず、あくまでも木灰を使う。
昔の藍染めはそうだったんだから。

「買っていたら、とてもじゃないけど出来ないよ」

木灰を買うとたいへんな経済になる。
あれだけの正藍染をするためには、相当量が要る。

でもここ川口じゃ木灰が作れない。
ならば実家のある秋田へ帰って作る、ということだったらしい。

でも秋田ならいいのか?
牧歌的な時代の話として伺った方がよさそうだ。

山に入り分け、トタンで枠を作り、その中でナラの生木を焼く。

「枯れた木を燃してもダメなんだよ、生木を焼かなきゃアルカリの高い良い灰はできない」

ドラム缶5杯の灰を作るにはどれだけのことか。
一晩では(山を!)焼ききれなかったそうだ。

その後、灰をドラム缶に入れてトラックに積み、秋田から川口へ運んだという。

「昔だったから出来たけど、今ならだめだろうな」

「で、でしょうねぇ。」

ちょっと、わたくしの想像を超えてしまい、生返事でしかご対応できなかった。
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「藍染めってのは、たいへんなんだよなあ(笑)」

わたしくらいになっちゃうと、「ははは」と一緒に笑うしか方法がなかった。
どうぞみなさんもご一緒に。

インディゴピュアを使わず、正藍染に憑りつかれた田中紺屋だもの。
推して知るべし。
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昨秋、田中ツアーの頃。
田中さんについて、素晴らしい正藍型染布について。
少しだけわかったつもりだった。

しかしパーソナリティについての把握が全く甘かった。

無骨だとか、頑固一徹だとか、問合せ電話に出ない(汗)とか。
ニュアンスはわかっていたつもりだったが、全然わかっていなかった。
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こういうことです。
本物がやりたくて、灰も作っちゃったわけです。

そりゃそうだわな。

ああ。
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やれやれ。

当ゲリラ関係者として、恥ずかしながら今更ながら。
田中昭夫の、正藍型染に対する執着の強さに、震える。
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by kerokikaku | 2015-02-20 18:00 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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