2015年 05月 09日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-6.5 炎の値段付け
頒布会、いちばんの難関は値段設定。
下げ札に素材名を書くところまでは御大への宿題にしてあった。
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値段は「5月に黒幕津田千枝子が来てから付けます。去年のツアー時とは変えないとだめですからね」と念押ししてあった。

「今回はいろいろ経費もかかるんだから。」

守銭奴発言のようだが、そうでもない、とここではっきり申し上げたい。

なぜなら昨秋の田中紺屋展でお求めいただいた価格は、平成も初期、ヘタすりゃ昭和から変えていなかったのだ。

最初に見た時、末席のわたしの印象からしても、適正からはずれていると感じた。
それでいいのか、と。

ささやかな一律UPは、確認済みのことだった。
御大も「そうだな」と。

いくぶん息巻き、黒幕と共に田中紺屋に集結したのだった。
そのためにも心の臓を強くする必要があった。
知ってか知らずか、ベニバナのおひたし。

さあ、いくらにしたらいいだろう。
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この図、ちょっとやらせで、ほんとうはこの数倍の反物があったのに撮り損ねた。
3倍から4倍をご想像下さい。いやもっとだ。
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さあさあ、どうする。
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下げ札に書いてあるよ。

「え?」

全ての下げ札に鉛筆で小さーく数字が書いてあった。
それが値段だと言う。

ぜんぶぜんぶに書いてあった。
以前と同じ値段だった。
頒布会だからといって、値段を変えないことを決めていた。

だめだこりゃ。
口がぎゅっとなっている。
これ以上、この御大には通じない。

我々は値段設定に来たのだが「すでに決められた値段のハンコを押しに来ただけ」ということになる。
テコでも動かない。

はいはい、ワカリマシタ。

そういうことなんで、なにとぞ、みなさま。
いちおう税別です。

無心にハンコを押しながら、ふと御大の足元を見る。
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まるでギャラリー啓みたい。
刺し子をし、20年後には啓さんのコレクションに入れてもらいたい。
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ねえ田中さん、頒布会用には新しく何も作らなくていいんだからね。
もうじゅうぶん布はあるんだからね。

とも念を押していた。

しかし、言うことは聞かないのが田中昭夫。
やりたいと思ったことはぜんぶやっちゃう80歳。
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糊、置いちゃったよ。
と、これは1月末のこと。
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昨秋の紺屋展でなくなっちゃったから、と座布団カバーをこしらえていた。
表と裏がマルとシカクに変えてある念の入りよう。
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これ何だかわかりますか?
正藍説明書にひっついている、ピロンとした糸。
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端を縫い止める用の糸もキッチリ正藍で染めてあるっていう。
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座布団カバーに中綿を入れて、会場にサンプルをひとつ持っていこう。
カバーに対して2まわり大きめの中綿を入れるのがよろしいようで。
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ほんまかいな。
入るんかいな。
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入った!
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おお、いいねえ。
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ブーブークッション風に中綿が見えているところ、そこを正藍染めの綴じ糸で縫い止めて下さいませ。

さて、帯地を並べると、値段付け(と言う名のハンコ押し)よりつい布に見入ってしまう。
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これ、帯にしたらすごくいいよね。
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これなんかもすごくいい。
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糊際のすっきりした唐草柄。
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うわぁ、これも。
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布茶さんが美山「ちいさな藍の美術館」と青土さんの『田中昭夫コレクション』をUPしてくれています。
っていうか、行かれたのですね!?
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そんなこんなで、御大は仕事場から何かを持って来た。
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ま、ま、まさかの。
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黒幕もわたしも唖然ボー然。
無言でアタマかいちゃう。

ベニバナのおひたし食べなきゃやってられない。

続きます。
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by kerokikaku | 2015-05-09 22:52 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(6)
Commented by hosogai at 2015-05-10 00:50 x
先日はコメントの返信ありがとうございました。DM届きました。まだ日程調整がつかず、ブログを見ながらギリギリとしております。素敵すぎます。田中さんの作られた作品、柄の写真集とかあったら即買いしたいくらいです。頒布会、友人にも案内させていただきます。いろいろ大変そうですが…開催楽しみにしています。
Commented by kerokikaku at 2015-05-10 01:03
hosogai様
田中さんがベッドの上でDMをチェックしているときにhosogaiさんの分もあるのを確認しましたよ。無事に届き安堵です。わたしは紺屋展ではバタバタして実はよく布が見えていなかった。今になってあらためて呆れるぐらいしびれています。当人のあの頑固さにも。うまく調整されますように。お好きそうな方へどうぞご案内をよろしくお願いします。
Commented by gongxifacai at 2015-05-10 21:57
えっ、まさかの新作、それも帯?

ベニバナ、ベニバナ…
Commented by kerokikaku at 2015-05-11 10:05
gontahzaxahi様
ふ、ふ、ふ、震えて待て。
Commented by fufu at 2015-05-12 09:33 x
前回は時すでに遅しの頒布会、是非行きたいものです。こういった催しには行ったことがなくて、ヘタレの私には恐る恐るの感ありですが、見たいなぁ・・・・・・
Commented by kerokikaku at 2015-05-12 18:53
fufu様
コメントありがとうございます。昨秋の紺屋展はわたしもヘタレでしたが、冬と春を越え、みなさんのおかげでずいぶん場が暖まりました。
会場のDEE'S HALLは広い空間、気持ちよくゆったりだと思います。
もしこの帯たちが美術館に入ったら触ることもできないです。
ぜひ実物を手に取り、手触り、型染めの裏表、藍の濃淡、どうぞご覧にいらして下さい。


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