2015年 05月 11日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-7.0 秩父太織
仕事場から丸めて抱えてきたものは、制作途中の帯地だった。
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え?なに?
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座布団カバーや科布など、頒布会用にといくつか作ったのは聞いていた。
それは頒布会のお客さんのため、小さいながらも今できる仕事をやったのだ。

昨秋で長板中形を引退し、精錬用の大釜もなくなった。
このような大仕事は出来ないはずだ。

「いや、これさ、石塚さんの生地でさ。」
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それを聞いて合点がいった。
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秩父太織(ふとり、と読む)。

江戸時代に秩父の養蚕農家が、換金できないクズ繭や玉繭を利用して糸を紡ぎ、自分たちが着る野良着を織ったことに始まった。
丈夫で着やすいことから人気が出たが、やはり時代と共に技術は忘れ去られた。
それが石塚工房の先代、故石塚賢一氏によって1966年に復活した。

この石塚賢一さんもかつての田中応援団のひとりであった。
秩父太織は、田中が好んで使っていた素材のひとつでもある。

昨年より「ちちぶふとり工房」という名に変え、今もなお継承している。

その秩父太織。
以前求めてあった白生地が帯2本分だけあった(太織と呼ばれているが糸が太いわけではないそうだ)。
簡単に手に入れられる生地ではない。

実は昨秋の川口アトリア展までに、この帯地を完成させようとしていた。

津田千枝子はハッとし、ナイスなタイミングでアトリア展示パネルを発掘した。
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まさにこれを彫っていたシーンだ。
幾何学文様のモダンな柄。
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おタイコとタレ、模様の大きさを変えて2種類彫ったらしい。
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まず1度藍に染め、再度伏せ糊をしたもの。
がっちりゆらがない田中の糊。
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こちらは草木模様に松皮菱アレンジの幾何学の柄。
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実の部分へは赤い弁柄が差してある。
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過程を見ただけでもグッとくるものがある。

「この状態でいいですよ、是非頒布会で見ていただきましょうよ」
と、言ってみたが、わかりません。

「もう一回染めたら終わりだから」
さらに続けて「糊のついたのにヒビが入ったらダメになる・・・」と、おっしゃる。

今の田中昭夫でも、帯だからこそ出来た長板の仕事。

頒布会ではどの状態でお見せできるのか、できないのか、現段階では確約はできませんのであしからず。
以上、お含みおきの上のお楽しみに、ということに。


さて、つぎは着尺。
これこそが、最後の長板中形・型染仕事。

これはもう決して作れません。
絶対にできません。

で、ため息、でませんか。
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DEE'S HALLの広い会場で、だーんとお見せすることを夢想してしまい、また値付けをそっちのけ。
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どうですか、こんなすてきな着物、どうしますか。
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まだまだ続きます。
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by kerokikaku | 2015-05-11 16:03 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(1)
Commented by gongxifacai at 2015-05-11 22:04
あれれ「太織」は繭引いてますね。


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