2015年 05月 14日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-8.0 岡崎木綿
田中昭夫の染め布によく使われている「岡崎木綿」のこと。
少しご説明しないと。

自筆の下げ札には「岡崎神谷木綿」と書いてあったりします。
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「岡崎って愛知三河の?手引手織でいまもあるの?」等々、きっとみなさんも疑問に思われるだろう。
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只今、来週の頒布会に向け絶賛準備中につき、ごっちゃりした画像をお許し下さい。
お尻に火がついております。

そんな中、この陽気に御大は「仕事日和」とばかり。
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田中のがっちり糊が見てわかりますか?
座布団カバーらしいが、こちらは頒布会用ではない。
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この染め、実は文化庁からの依頼によるもの。
制作過程の手順を追っての撮影だったか取材だったか、そんな用事のある布らしい。

でも御大は待たない。
こんな染め日和を待てるわけがない。
ご都合はつけない。
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わたしが言うのも今更だが、保護したり勲章くれたりって、遅いです(そういう話はまだない)。
もう引退なのです。

生きているうちに、元気なうちに、田中昭夫の今までの仕事を見てもらい(お求めいただければそれにこしたことはないけれど)、ちゃんと評価(勲章ではなく)して欲しい。

出来ることならば、美術館や学校など次の世代に伝えることの出来る機関にも布が届いて欲しい。
遠慮がちに言ってみましたが、本気です。

美山の「ちいさな藍の美術館」には、昨秋田中コレクションが入りました。
どうよ!!


では「岡崎木綿」について、以下どうぞご一読下さい。
ゴーストライターは型染作家津田千枝子

岡崎木綿について。
今回の田中昭夫の用布には、岡崎木綿が沢山あります。

もともと日本には木綿は無く、延暦18年に幡豆郡天竺村(今の愛知県西尾市)に漂着した崑崙人が
綿の種を伝えたと記録があります。
この時は高温地綿種だったため、日本では繁殖しませんでした。

後に、15世紀中頃に明国綿種が朝鮮経由で改めて輸入され、
中部地区以西に普及しました。
この綿種が三河地方に伝わり、三河・岡崎といった矢作川流域が木綿の産地になりました。

江戸時代は、手引の糸を地機で織っていましたが、
明治になり機械化されていくようになります。

機械化と言っても現代のような精密機械の大量生産とは違い、
家内工業として、製作には人の手が加わるものです。
ガラ紡の発明者 臥雲辰致も、機械と手の合理的調和の仕事を考えていたのだと思います。

さて、田中紺屋の岡崎木綿に戻りますが、皆様ご承知の通り田中昭夫というひとは、
自分の納得する素材を求めて最大の努力を惜しまない人間です。

田中が熱中して生地探しをしていた頃は、三彩工芸社の故藤本均さんが、
韓国で田中のために手引手織の綿布を作らせたり、古民藝もりたで麻の古布を求めたり。
様々な協力者から良質な布を手に入れていました。

しかし、日本の手引手織の木綿布は すでに入手困難で、
岡崎の神谷さんという機屋さんと協力して、藍染めに適した最上の布を作る事になります。
その時の織糸を決めたのも、田中昭夫です。

ですから、厳密に言うと田中の岡崎木綿は、人間の手だけで作った布ではありませんが、
機械の力も借りて、より良いものを目指したものといえると思います。

そして、この布も神谷さんの廃業により、今ではもう入手する事は出来なくなってしまいました。

頒布会の準備を進める中、この岡崎木綿布を見ると、その糸味から人の手の温かさと、
昔の機械が人に寄り添うようなほのぼのとした文明開化の名残りを感じてしまいます。

ラオスの谷さんがこの布を見て「機械を使ってもこんな布ができるんですね!」と、びっくりしていた事があります。


その岡崎木綿のはぎれ等で、古袱紗と風呂敷を上記ゴーストライターに作って頂いた。
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お願いしまーす、なんて簡単にお願いしてはいけないのだが、言っちゃった。
こわいモノ知らずはいつまで許されるのか。

手前に畳んであるものは風呂敷。

水玉の濃淡の布はただの水玉にあらず。
紗綾形の模様に並んだ水玉。

こちら、風呂敷にして大正解!
とってもかわゆすにつき、壁に貼って展示したい。
ご安心ください、カット売り可の水玉生地です。

ゴースト曰く、縫いながら岡崎木綿の布味・糸味のよさがあらためてわかった、と。
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カタチになると途端に輝きが増す。
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ああ。
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御大に配慮して、風呂敷のはじっこは45度にしたという。
このことを伝えたら御大は、うんうん、と目を細めました。
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例によってけろ企画お得意の見積り誤り大発生。
この「頒布会への道」シリーズ。
10.0できれいにフィニッシュできる自信がなくなってきた。

まだまだお伝えしたいことがあるのです。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-14 20:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(8)
Commented by 那須 at 2015-05-14 21:34 x
こんばんは。私はこの会を楽しみにしていて休みもすでにとったのですが、当日、お支払いにカードは使えるのでしょうか? お教え下さい。よろしくお願いします。
Commented by kerokikaku at 2015-05-14 22:29
那須様
楽しみに、お休みまでとっていただき有難い次第です。
DM切手面の下に小さく記載しましたが、当日はクレジットカードのVISA・MASTER・AMEXのご利用が可能です。その他は使えませんのでご注意下さい。
初日は15:00OPENです。最終日は18:00CLOSE。どうぞ気を付けてお出かけ下さい。お目にかかれることを楽しみにしています!!
Commented at 2015-05-15 14:30
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2015-05-15 18:09 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kerokikaku at 2015-05-15 23:28
holly様
コメントを拝見しました。
この度はご丁寧にありがとうございました。
お気持ちもしかと受け止めました。
ツアーにご参加もいただいていたとのこと、分かる方にご覧いただいたこと、非常に嬉しく思っています。
来週、お時間がありましたら是非頒布会へお出かけ下さい。たくさん布があります。あらためてご覧下さい。御大本人も来廊していますので、お話もされてみて下さい。引退ですが細々と小さな染め仕事はやっており、今も引退後の現役(!?)です。
そして会場でわたしに声をかけて下さい。
Commented at 2015-05-16 11:10 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 鈴木陽子 at 2015-05-17 08:29 x
初めまして、頒布会を楽しみに待っている鈴木と申します。
3日間の頒布される作品ですが初日に全てのものを見ることが出来るのか、毎日追加のものもあるのかのお尋ねです。
毎日いけるとよいのですが、いつ行こうか迷っておりますので・・・
Commented by kerokikaku at 2015-05-17 11:10
鈴木様
頒布会ご来場とのことありがとうございます。
同じものが複数ある場合は、一部は仕舞っておき、なくなったら出しますが、基本的に初日にぜんぶ並べる予定です。
広いDEE'SHALLとはいえ全反物を広げて展示はできず、巻いたまま展示もしょうがないところです。出来る範囲でゴロゴロと広げてお見せしたいです。


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