2015年 10月 11日
騒動一周年記念会合 その2
勝手知ったるリバーマウス。
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ここで降りてはいけない十二月田中学校。
十月田中学校で降ります。
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昼ビールにしちゃおうと、買い物をしていて予定を少し過ぎてしまった。

3か月ぶりの安否確認、川口の田中紺屋再訪。
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御大、待っていてくれてるかな。
それとも仕事してるかな。

どもー、お邪魔しまーす。



・・・。



???



はっ。

ビョ、ビョ、ビョーキ?
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寝、寝、寝込んでる?
だ、だ、だいじょうぶ?

おじいちゃーーーん!
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「ちょっと横になってた」ともっそり起きだした御大。

本当は寝込む理由があったと知るのはその10分後。


となりの部屋は整然としていた。

座布団カバー生地と共に、見てねと言わんばかりの反物が何反か。
すぐに飛びつく。
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え?なにこれ。
麻の帯地を染めたんだ。

いいですか、見ても?
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御大の雲行きが一気に悪くなるのがわかった。
口角がキュッとなった。

これがさ、うまくいかなくてさ。
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すぐさま検分に入り、みなが唸る。

藍無地部分に大きく染めムラがあった。

本来ならここは濃藍ですきっと染め上げられるはずだった。
わたしのフシアナ目では「こういう染め方もあるのか」と思ったが、まったくそうではなかった。

こんなことは今までの田中昭夫の仕事にはない。

ありえない染めムラ。
どうしたのだろう。
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しかし柄部分は田中昭夫らしい、糊際のすっきりとした型染仕事。
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なのに無地部分のムラが何反かにあったのだ。
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古い韓国の手引き麻。
精錬なのか、藍の具合か、何なのか。

御大は落ち込んでいてどうにもならない様子。
おまけに今は藍の調子も良くないので、これ以上のしようもない。

他の帯地も見せてもらう。
うわぁ。
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はぁぁ。
柄の部分はバッチグー。
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ほか、染め途中の布も広げてもらう。

きれいな薄藍。
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このあと弁柄で染めるという。
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これなんて、このままでいいとも思うが、御大からすると「制作途中」らしい。

孤高の職人に「このままでもいいんですけど」とは中々言いにくい。
言ったけど。
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とにかく今は田中紺屋の藍がよくないらしい。
阿波藍を入手したいが、蒅(すくも)が全く手に入らないという。

いよいよ蒅を使う人が少なくなっている。
そのせいで、蒅屋の方で生産制限をしており、前年に予約をしていなければとても手に入らないと言う。

明けても暮れても「仕事」の御大。
仕事をしないと毎日が過ぎていかない御大は、藍の具合をなんとかギリギリの調整をし、染めてみたようだった。

もしかしたら、それが裏目にでたのかもしれない。
御大でもこんなに落ち込む状況が現れるとは。

誰よりも藍と長く深く付き合っている御大でさえ、こんなことがあるのか。

藍甕もダメ、染めもガッカリ、追加の藍も無い。
すっかり気落ちしながら布を仕舞う御大。
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田中昭夫の布、新作発表!と大きくいきたいところだが、それは紺屋が卸さない。
このまま出すのは田中紺屋の名が廃る。

阿波藍で、きっちり正藍型染で、田中昭夫が納得する染布でなければ「紺定印」はつけられない。
全国一千万の田中昭夫ファンのみなさんにはお見せできない。

まずは本日のTG達に意気揚々と「最新作」を見せたかったに違いない。
なのにうまくいかず、ぶちまける術がなかった。

原因については自分が一番わかっていて、認めるのが悔しいのかもしれない。

ふてくされて寝っ転がっていたのは、これが理由だ。
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「ねえ、どうして去年のうちに今年の蒅(すくも)を予約しておかなかったんですか?」

ひじょうに素朴な疑問を投げかけてみる。
だって藍がなきゃ「仕事」ができないでしょう?

すると、ボソっと答えた。

「だって去年で引退だったからさ」
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みんなの腰が砕ける。

そうだ、そうだ。
御大は引退だったんだ。

すっかり忘れておりました。
去年の今ごろ、引退宣言をしたのは御大本人だったじゃないか。

はいはいはい。

じゃあ、新しく仕入れる予定もなかったはず。
そりゃあ、今年の藍はないわなぁ。

はい、じゃ、まあ座って、乾杯でもしましょう、ということに。

ども、この1年、お疲れ様でした。
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おかげさまでこの1年、翻弄させて楽しませていただきました。

藍もないし、精錬窯はすてちゃったし。
さっきの染布の修正もできないし、藍取りしてその後もできない。
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どうすっぺな、御大。

布の精錬には、薪ではなくガスであれば許可が下りる。
じゃあ、反物が入るようドラム缶窯を作り、業務用のガス台を設置して、それなりの設備を作らなきゃねえ。

そんな話をしているところに、訪問者現る。
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誰?
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by kerokikaku | 2015-10-11 15:29 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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