2016年 05月 30日
川口5月田中学校 奥の院その3
この春、田中紺屋(屋号紺定)が手がけた帯地。
いわゆるひとつの「紺定コレクション・2016新作」ってやつだ。

湯のしも終わっていた。
サイズをチェックしつつ、仕上がりを確認する。
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昨年の青山頒布会には、田中昭夫のアーカイブ布を出した。
新作ではなく、何十年も作りためてきた染布をご紹介する機会だった。

作った時期も長年に渡りの様々。
田中昭夫50代前後、威勢のいいバリバリ時代の染めを多く出した。
ザ・田中紺屋の型染。
パキっとした、力強い仕事だ。

いま御大は81歳。
やり方は変わらないが、老いてこそうまれる仕事のやわらかさが出てきた。

このテッセン。
以前とは違う柔らか味とやさしさが感じられる。
それでもすきっとしたザ・田中紺屋の仕事に変わりはない。
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同じ柄ですか?
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オレは同じのは好きじゃないって。
違うのがやりたいんだって。

ははーっと伏せる。
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例えば、同じデザインでも柄の大小違いで作る。
わりとこういうの、多いです。
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分かっちゃいるけど、念のため、聞いてみよう。

「小さく型を彫るときって、図案はどうやって縮小するんですか?」 

「その柄は幾何学だから簡単だよ」

縮小コピーとか、ない時代からやっていること。
コピー機があっても、御大、使えないしね。
きっと手作業で小さくするんだろうけど「簡単だ」ってことは、なにか秘策があるのかもしれない。

「コピー縮小ですか?」と恐る恐る尋ねる。

すると「升目で寸法測ってさ、、」と返ってきた。

みなまで聞かずとも、やっぱりアナログだった。だよね。
聞いたこちらが野暮でした。

御大談、「簡単」。
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最初から生地に穴が空いていたので
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型を2種類つけて、切ってハギレ用にと、妙に気の利いた仕事もしていた。
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ざっくり麻無地もいくつか。
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ところで「きものと装い 1978年」。
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米沢の上杉神社蔵・上杉景勝の鎧下の画像が載っていた。
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青山頒布会でもパネル展示したが、もう一度。
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右の写真、これだけを見てレプリカを制作した。
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オレ、ほんものの布、見ていないんだ。
写真だけで作った、って。
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少し残したハギレは、米袋の裏地に使ってあった。
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どんだけの米袋かよ、という前に、写真だけ見て同じ染めを作るって。
ねえ。
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縄もオレが綯ったんだって。
この米袋のヒモ。
へえええ。
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とにかく御大は、藍だの染めだのになると、話が止まらない。
興味のない話には、居眠りをする(昼ごはん時、違う話をしたら、寝た!)。
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日も暮れかかる。
川口詣、5月の田中学校は終わり。

こっちが帰らないと話が止まらなくて、あとで御大が疲れちゃう。

パンドラ箱については次にする。
腕まくりして、また定期訪問し、状況をお伝えします。
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なんとなく、来年の春が見えてきた。
御大もそのつもりで動いてくれている。

とにかく調子よく、いい染め仕事を、お元気で、と。
祈る思いで川口をあとにした。

ま、雨や曇天に行ったほうが、紺屋的にはいいのかな。
なんつって。
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by kerokikaku | 2016-05-30 17:23 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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