2016年 08月 30日
型染師に無地染めを依頼する-その2
電気屋さんは夕方にならないと来られないと言う。
暗闇アイロンは出来ない。

仕方あるまい。
電源を求めて、エアコンのない板場へ移動する。
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我々の作業ツナギ姿も、いよいよ板についてきた。
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どうやらこの蚊帳生地。

手績み、手織りということから推測すると、明治以前の大麻の布。

私たちが知っている緑色の蚊帳生地とは別モノのビンテージ。
まさに骨董布。
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紡績糸が出現してきた、昭和・大正時代ではないと見る。
江戸時代であっても不思議はない。

一枚ずつ、作り手が違う。
糸の色も、織り味も違う。
違うと言うのは、触ればわかる。
良さが違う。

日本昔話のようなおばあちゃん達が、農閑期に作ったのだろうなあと夢想。
おばあちゃん、と決めつけてもいけないけれど。

売るためなのか、自分ちのためなのか。
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よく見ると、ところどころ糸飛びがある。
どこかへ売るためのB反C反にもならず、放られた布かもしれない。

古民芸もりたさんを経由し、田中紺屋に届き、ずっと寝かされ、100年以上経って日の目を見る瞬間だ。
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せっせとアイロンし、新着の芯棒に巻き、ひいふうみい。
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お宝布、29反ございました。

ひーはー。
なんでも仰山、お持ちなんですね。
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型染師に藍無地を頼むのは、フレームが売りのメガネ屋でフチナシメガネを頼むようなことだろうか。

いや。
それとは違う。

藍無地と言っても、そんじょそこらの、ただの藍無地ではない。

阿波蒅たっぷりの、田中紺屋「紺定」の正藍無地染め。
生地は、江戸時代かという手績み手織りの蚊帳生地。

何の問題があろうか。

藍無地に染め上がったことをイマジンし、ほくそ笑む。
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さて、その前に、端ミシンをせねばなりませんな。

ロックミシンの準備をしてもらおう。
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「わたしがやりますから」と言う割には、いつだって御大が働いている気が。
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電気屋さんにブレーカーを直してもらい、いつの間にか日が暮れかかる。
端ミシン仕事は、あらためて出直すことにする。

そうそう。
蚊帳生地の横にそっと置いてあった新作帯地。
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御大は「出来たから、見て」とは決して言わない。
我々が気付くところにそっと置き、黙っている。

ちゃーんと気付いてましたってば。

おお。
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今回のは、なかなかいいじゃない。
今回のも、だけどね。
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型も違い、染めもその度同じではないし、気候も、そしてさすがに体調も。
その中で一定の高クオリティを保つ。

これなんか、帯になったらステキだよね。
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よしよし、上出来ですな。

と申し上げたら、ニヤニヤした。
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また近いうちに端ミシンに来ます。

そしたらさ、ホンモノの蚊帳生地を、ホンモノの正藍無地に染めて下さいな。
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by kerokikaku | 2016-08-30 17:56 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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