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2016年 09月 05日
ビバ、オオカミ老年-その2
ええ、お察し通り。
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また出ました。

バツが悪すぎ。

てへ。
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「だって、聞いてこないからさ」と、御大は一切悪びれもせず。
よくもまあ、けろ様の前でケロッと。

染布も白生地も「これ以上ない」って言ったでしょうが!
捜索&救出も一緒にしたわけですから。

それ以上、何を、どうやって、聞くんですかぁぁ!!!!

と、心で吠えるに留めておく。

さあ、本人に、キッチリ説明してもらおうか。
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45年程前、田中昭夫30代後半。
それまでの合成藍を一切やめ、阿波蒅の正藍型染師としてやっていこうと決心した頃。

若かった田中昭夫の応援団・三彩工芸の藤本均氏が、韓国の手引き木綿布を田中に渡した。
「これに染めてみろ」という腕試しだったらしい。

染め上がった布を、藤本氏へ送り返した。
何かの展示に出したらしいが、しばらくして田中紺屋へ戻ってきた。

それっきり、風呂敷に包んでポン。
板場の陰に置きっぱだったことを、ふと思い出したのだろう。

ハギレさえ喜ぶ我々を見て、自分の布の貴重さにようやく気付いたか。

おーい、今頃ですかい!
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ま、いいでしょう。
ギリ、間に合ったと喜ぶべきだ。


あの時代の韓国手引き布は、それぞれが違う手。
どれも糸味が抜群にいい。

もうないです。
ない、と言うのは、この手の生地はもう手に入らないということです。
あの蚊帳生地しかり。
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最も初期の正藍型染がこの力強さ。
藤本氏は応援の甲斐があっただろう。

夢中で走っている若い田中昭夫のエネルギーが、ビンビン伝わってくる。

これって、お宝って言うんですよ、田中さん!
覚えといてね。

数十年置きっぱのせいか、都合よくヴィンテージ風味を帯びていた。
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長さや生地巾が帯に微妙に足りない。
が、何とかしよう。
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そして埃っぽい。

洗いましょう。
本日の目的は洗濯だったっけね。
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「もうゼッタイないよね?あったら出してね!」
と、これで100万遍目の念を押したが「ないよ」と、いつものお返事。
申し訳ないですが、信用しかねます。

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賢明で、親愛で、寛容なる、全国一千万の田中紺屋「紺定」ファンの皆様へ。

どうか、お見限りなきよう。
本人、ぜんぜん、オオカミ少年のつもりじゃないんです。

反物については完全把握しているんです。

それ以外の、端布や、仕掛品や、別注品や、誰かの手に一度渡った布に関して。
一様に意識が低すぎるのが、チャームでウィークなポイント。

が、ちびたハギレひとつを取っても、ご承知の通り、手抜きのない仕事なんで。
そこは重々、なにとぞ。
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オオカミ老年、ここにあり。

もしまだお宝布があるのなら。

怒らないから早めに出しといて、と言いたい。

by kerokikaku | 2016-09-05 00:46 | 正藍型染師 田中昭夫


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