2016年 10月 21日
御大SOS、藍が困った
川口の正藍型染師・田中昭夫御大から、めったにない着信。

声色は良くない。
お身体が悪いのかと焦る。

「あのさ、藍がだめでさ。染めができないんだよ」

今年はじめに徳島から取り寄せた正藍の調子が良くないと言う。
藍の具合が悪い=御大の具合もチョー悪いのだった。

意気消沈はなはだしい。
わたしにこぼすぐらいだから、困り切ってどぼちよ状態だ。

おいらが逆立ちしたって藍は治らないが、お話を伺うことは出来る。
すぐさま川口へ。
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コスモス畑のおねえちゃんを眺めている場合ではない。
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「こんちわ、だいじょうぶですかー?」
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白生地が干してあるじゃない。
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耳付きの岡崎木綿、ラスト数反の準備、してるじゃない。
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だめなんだ。
全然濃くならないんだよ。
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勢いづいて春に染めまくった結果、たぶん藍がへたったのだろう。
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実はね、ちょっと不安だったんですよ。
ペースダウンしなくていいのかなって。

これぐらいのコントラストが欲しいのに、がんばってもこの水色より薄くしかならない。
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型付けは着々と進んでいるが、藍がだめだとココ止まりなんでね。
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徳島の正藍の蒅、今期分は早くても年明け、寒の頃になる。
ダメもとで藍師に連絡をとることにした。

ほかの手段はない。
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去年分の在庫が少しあるかどうか、とのこと。
探して、もしあったら送ります。
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なくて元々。
うすい期待で待ちましょう、と御大をなだめすかす。
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困ったことに、この御大。

藍染め仕事がないと、何にもやることがない。
数日放置すれば、ぼんやり老人になりかねない。

手持無沙汰で懐かしの「銀花」を眺めている。
この号、おもちゃ絵特集ですけど。

オレもさ、なんであるのか分からないんだよ。
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そだね。
なんで御大ん家にあるのかね。
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バラバラ事件になってるしね。
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わお、まさかの阿波藍特集。
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蒅作りでも見て、気を落ち着かせるつもりか。
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はたまた、いらだたせるのか。
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いやー、ここらへんの特集は、あたくしの垂涎ページですよ。
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昔の仕事って、ため息は出ても言葉が出ないですねー。
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なーんて、粗茶をしばきつつお茶を濁していた矢先。
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あ、オレだ。
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いやはや田中昭夫、最初で最後の本「唐草染布帖」じゃないですか。
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昭和50年・三彩工芸刊、もちろん絶版。
田中応援団の藤本均氏は、広告を載せて下さっていた。
銀花に載せていたってことは、他の関連誌にもと推測する。

時空を超えて、藤本氏のご尽力に感謝する御大であった。

「だからうちにあったのか」だって。
いまですかい、気付いたの。
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型染めにふさわしい藍ではないが、無地染めならできるという。
じゃ、それ用の布でも用意するか。

無地染めでもなんでも、やることないと呆けちゃうでしょ、御大ってヒトは。

科布1反、いいのあるじゃない、と思ったら
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よく見れば虫食い穴ぼこ。
これだって無地染めしたらいいんでねえの?
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例の蚊帳生地も、豆汁をつけて仕上げたら、こんなにいい具合になった。

ヨカッタ、最高の藍無地が出来上がった。
でもこれも終わっちゃった。
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他の手で御大をなだめねばならない。

続きます。
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by kerokikaku | 2016-10-21 10:33 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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