2017年 03月 22日
リバマバトンタッチ-2
あと一息、用務員作業が残っている。

今日でリバマ通いは一旦終わりにしたい。
太郎焼ロードともしばしのお別れ。
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田中紺屋に着くと、何かが目に入った。
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あちゃー。

捨てたフタ、取り戻してくれたんだな。

手前と奥の大甕のフタ。
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こうして見ると、美化したイメージと違い、ただの汚いフタだった。

スルーして作業に入ろう。
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藍は少しづつ建ってきていた。
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「紺定」の藍色になるまで、もうしばらくの辛抱だ。
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「寒明け蒅」を待つあいだに型付けした布の染めも、慌てることはない。
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数はいらないから、慎重に。

少し慌て気味だった御大に、何度も何度も言い聞かせてある。
本人もわかっている。

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今後の田中紺屋の染めは帯地のみ。

これまでのように多くは染められない。
渾身の染めを、ひとつづつやっていく。

特約店・名古屋月日荘は着物まわりのギャラリー。
良品をきちんと丁寧にご案内して下さる。

このあとの田中御大に、これ以上ふさわしいお店もない。
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型付け済みの反物が、どんな染めになるのか、どんな帯になるのか。

TG一同は見守りに徹していく。
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たまにはリバマ訪問し、互いの安否確認もあるかもしれない。

TGは田中御大から「近所のトンカツ屋で永久ゴチ」権を獲得している。
権利は行使せねばならない。
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引退撤回もないまま、いまもむかしも正藍型染に首ったけ。

2014年の引退宣言の頃の、しょんぼり御大とは別人だ。

そんなこんなで、うっかりお元気になってしまった。

肌はツヤツヤぴかぴか。
こりゃ長生きするぜ。

82歳 正藍型染師 田中昭夫の次なる染め布を、みなで震えて待とう。
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「古いものが好きだっていうからさ」

ああ、わたしのことね。

「これ、持っていっていいよ」
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いっしょうけんめい、わたしのために探してくれたらしい。
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はあ。

川口名物、鋳物の干支ウシ。

古いモノだって。

オレはいらないけどって。

だから持ってってもいいよって。

ああ。

おやさしい。
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涙が出た。

おかしすぎて。

この期に及んで、分かり合えていない我々。

御大のチョイスじゃ話にならない。
わたしに選ばせてくれよ。

めったに利かない気を利かせて下さったご厚意に深く感謝しつつ「もうチョイスしてくれなくて結構」と、丁重にお伝えしておく。

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こうして、大職人の正藍型染師 田中昭夫と
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同じく、黒幕こと型染作家 津田千枝子を
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アゴでこき使う、リバマでの日々は終了した。

やっちまったが、もう手遅れ。

さあ逃げろ。

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月日荘へ、バトンタッチのハイタッチは、秒読み段階だ。

大きすぎる藍を、受け止めてくれるだろうか。
返品されないよう、慎重に遂行していきたい。

いろいろ落ち着き、何もかも忘れた5月連休明けにでも。
「トンカツ屋を貸し切って、御大のおごりで、TGみんなで盛大に一杯やろうね」

そう約束し、通いなれたリバマを後にする。

もごもごとした、空耳があったような、なかったような。

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そんなわけで。

TG用務員ことけろ企画の手元に残ったモノ。


小汚いフタ2枚と
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むやみに重い鋳物のウシ1頭。
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どーよ。



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追記:
さっき御大から別件で電話があった。
この期に及んで(再)わたしの名前を間違えており、もにょもにょごまかし、やはり覚えていなかった。
ま、どうでもいいけど。

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by kerokikaku | 2017-03-22 12:30 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(8)
Commented by 通りすがりのコット at 2017-03-22 16:51 x
見る者をハラハラさせて、ウシシ〜とほくそ笑む御大にゆったりと春が来た・・・
無事の終了、本当にお疲れさまでした。
Commented by 津田千枝子 at 2017-03-22 17:28 x
けろたん 本当にありがとうございました。あの時 けろに電話して良かったとつくづく思います。
まあ、そのせいでこんなことになってしまったんだけどね。ため息つきながらも 面白かったです。
あとは 最後の目標を何とかできれば 言うこと無し。それが成就したらもう 決して他人の世話は焼かないことにします。
Commented by kerokikaku at 2017-03-22 19:24
通りすがりのコット様
ながらくのお付き合いをありがとうございました!
さて、これで終わるのか。
終わるんです、たぶん。
Commented by kerokikaku at 2017-03-22 19:28
黒幕殿
あの電話を断る立場になかったわたしは、この渦にのまれるべくしてのまれました。
ため息と心臓やぶりで、終わってみればおもしろ案件でした。
お誘い下さりありがとうございました。
まだ気付いていない何かをやらかしていないかと、震える日々です。
Commented by gongxifacai at 2017-03-22 23:45
たとえこの牛がGSSに登場しても驚かないし、
口外もしないことを誓います。
終わってみれば楽しかったね!
と安心してよいのか…
Commented by team-osubachi2 at 2017-03-23 00:57
最後の最後(?)まで笑わせてくれてありがとうございます。

けろさん、津田さん、TGの皆さま、本当にお疲れさまでございました。
先ほど改めてこれまでのあらましとその時々の結果を読み返してみて、
今のこの物が売れない時代に、反物から端切れまで一人の人間が何十年と制作したものを
わずか数年で捌ききったその総数を想像しますと、なんと言いますか、
もう夢のよう!奇跡のよう!だとあらためて感動しました。
見渡してみますと、物は決して売れない訳ではなく、
本物であること、美しいこと、力があること、不当な値段でないことに加え、
そしてそこに「物語」を見出すとき、不思議と人はその物を求めて行動を起こすのを
いくつか見てきた中でも、田中昭夫さんの藍染め騒動はひとつの現象として
これから先、後々まで語られていくに相応しいものだと思いました。
核心はやっぱり御大の仕事から生まれた清々しい布なのだと思いますが
その布が持つ力に引き寄せられ、津田さんはじめ、TGの皆さんとけろさんそれぞれがお働きになる様子は
はたから見ていて本当に見事な配剤と思わずにはいられませんでした。
ご苦労も人並みではなかったとお察ししますが、一連の出来事にはどこか祝祭の目出度さが感じられ、
外野もそのお祭りに参加できた事をとても嬉しく思いました。
最後の目標も良いところで達成できますよう、他所ながらお祈りしています。
長くなりましたので、ここいらでおいとまを。感謝。







Commented by kerokikaku at 2017-03-23 21:37
gonhgytaxhai様
GSS商品としては不適切、売れん。
パンダちゃんとバトンタッチするのかどうか、まだ検討中。
リバマおんじに安心は禁物。
トンカツ権利を行使しに、たまの安否確認は必須とみています。
Commented by kerokikaku at 2017-03-24 00:06
team-osubachi2 様

ご解釈下さったことがすべてです。
ちょっと申し訳ないくらい、余りあります。

販促的には、少々盛って書きたかったのですが、実はけっこう減らしています。
逆の意味でハナシ半分。言えないことも多々。お察し下さると思います。
よくぞ今まで生き残ってたなあと、なかば呆れています。

この仕事は基本的に分業です。
型彫りだけを見れば、専業家からするともの足りないかもしれません。
人に任せることをきらい、ぜんぶ一人で完結するのが田中紺屋の特長。任せられないので後進もいません。
売れるかどうかは二の次。やりたいことだけやってきました。
販売だけがうまく出来なかった。

御大は別にいいんです。好きでやってきたので。
純心の藍一心で染められた布を、ただレスキューしたかった。

知らず知らずのうち、多くの方からの見えない温かなご支援を頂き、そのおかげで成り立ちました。
なによりそれが一番うれしいのです。

ったくもうと横目で見つつ、キレッキレの往時の染めを見るにつけ、うす藍でぼやっとした「紺定」からはずれかけた染めを見るにつけ。
邪気のない清涼な染めに胸を打たれました。

こんな職人がいた(まだいる、んですけど)ことを、みなさまに知って頂けただけでも万々歳です。
御大はいま一つわかってないですが、ご容赦下さい。

適切で強力な黒幕の統率力に、用務員は思いっきり働けました。
TG(もち月日荘含む)は、湿り気なく意識の高いプロ集団につき、なんら迷いのない布陣でした。

若い衆とのコラボが出来たことが、用務員何よりの自慢です。
御大がまんざらでもなかったことも、大きめに叫びたい。

team-osubachi2 様の後方広報支援に深く感謝申し上げます。
ご案内下さったこと、大きなきっかけでした。


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