人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2017年 04月 25日
リバマ忖度-その2
ここに、たっぷり切望派の御大がいる。
リバマ忖度-その2_d0182119_18522322.jpg
気分よく、思い切りやるために、たっぷり&たっぷり&たっぷり欲しい。

リバマ紺屋のわがままだ。
たっぷり大甕1つの播磨藍でも、、ってこと。

あれだけ騒いだ阿波藍の寒明け蒅は、2俵ともよくなかった。
3甕仕込んでみたものの、使えない。

いまメインとなった播磨藍だって、既に完売しているところをツテを頼り、ご厚意で分けていただいた。

これ以上まわりを巻き込み、無理を乞うのは難しい。
リバマ忖度-その2_d0182119_18575766.jpg
この話、ちょっと預からせて下さい。
黒幕と相談してあらためます、と軽くお茶をにごしておいた。

じゃ、梅酒の梅でもいただくとするか。
リバマ忖度-その2_d0182119_19034465.jpg
これ、食べていいですか?
リバマ忖度-その2_d0182119_19035346.jpg
去年のがあるよ、と出してくれた。
リバマ忖度-その2_d0182119_19045251.jpg
いえ、わたしは実が好きなんで。
液体は田中さんがお飲みください。

なのに「ホレ、飲んでみ」と、お玉を突き出して
リバマ忖度-その2_d0182119_19061335.jpg
続いて自分も飲む。
リバマ忖度-その2_d0182119_19064021.jpg
いやだなあ。

固めの杯ならぬ、お玉ですか。
リバマ忖度-その2_d0182119_19074336.jpg
去年の今頃いただいた梅の実は、ぜーんぶ美味しくかじりました。
リバマ忖度-その2_d0182119_19084008.jpg
甘さ控えめ、濃い目で辛口の梅は、麦とホップのアテに最高だった。

次はジプロック持参にしよう。
わたしには、もらう権利が、きっとある。
リバマ忖度-その2_d0182119_19092849.jpg
座敷にあった風呂敷はなんぞ?
リバマ忖度-その2_d0182119_19105148.jpg
「同窓会で配ったんだ」
手紡手織、ヤール巾の中国木綿らしい。

いい記念品を作りましたね。
リバマ忖度-その2_d0182119_19130057.jpg
筒書きか蝋防染?と野暮な質問をしてしまった。
リバマ忖度-その2_d0182119_19140967.jpg
夢のように、これも型染め。

うーん、お見事。
リバマ忖度-その2_d0182119_19115749.jpg
って、見せびらかしたのね。
くれるわけじゃないのね。

わたしの見えないところへ大切にお仕舞い下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もやっとしたまま、ほどなくリバマを後にした。
リバマ忖度-その2_d0182119_19355487.jpg
さて、どうしようか。

蒅を分けてもらうよう、再度各方面へお願いした方がいいのか。

「手配してくれ」とは言っていない。

「欲しいんだよなあ」ってだけ。

常識的には足りているが、超々規定外のリバマが「欲しい」ってお話。


「これが最後の藍建て」ってなんだっけ。

「もう手伝わない」ってなんだっけ。


どうしよう。

どうしよう。

大きなお世話だが、藍一心の爺には有難いお世話だろう。

やっちゃうか。

いわゆるひとつの忖度ってやつ。

忖度が本業化しているリバマ用務員ってやつ。
リバマ忖度-その2_d0182119_19493988.jpg
ここから先は早かった。

黒幕に相談すると「ああもう、しょうがないね」となり、まず黒幕より播磨藍の村井さんに連絡してもらい、3月にも分けて下さった都内卸先の藍染工房にお願いし、播磨藍1/3俵(1袋)移譲の快諾を得て、翌日速攻わたくしこと用務員が受取りに出向く。

さすがに10数キロで重い。
運びやすいようスーパーのカゴを工夫した有難いパッキングで待っていてくれた。

こういうご厚意、爺は分かっているのか。

近くのおばちゃん店で配送の手配。
翌日AMリバマ着、とうぜんのとうぜんの着払いで送りつけてみた。
リバマ忖度-その2_d0182119_21033027.jpg
次の日も、その次の日も、リバマから連絡がない。

届いたとも、ありがとうとも、ありがたくないとも、何にもない。

別にどうだっていいが、よくもないので、こちらから電話するが通じない。

チッチッチっと、イラッチMAXの頃、電話がかかってきた。
リバマ忖度-その2_d0182119_21153977.jpg
いやー、たいへんでさ。

大甕の入れ替えに丸2日かかって、さっき終わったんだ、と。

建っている播磨藍の大甕1つを半分に分け、新しい蒅も半分にし、都合2甕を仕込み直したそう。
ポンプであっちこっち大騒ぎの藍引っ越しをしていたんだと。

以下、想像画像。
今季何度目の作業なのか、数えるのも難儀。
リバマ忖度-その2_d0182119_21363900.jpg
「受け取ったらすぐさま播磨藍の村井さんと藍染工房の方へお礼電話すべし」
着払い便に、そうメモを入れておいた。

アリガトゴザイマシタしか言えないし、言葉もつまるので、電話でなく手紙にしたんだという。
名案だが、それに半日費やしたのだと。

播磨藍の仕込みについて、この後の染めについて。
夢と希望あふれるリバマホットラインは、延々40分も続いた。

言いたいことはたくさんあるが、言葉が出にくくつまりつまり。
半分しか聞き取れない饒舌な秋田なまりで、生き生きと電話をかけてきた。
運よくおが屑も再入荷したとみえ、さらに嬉しくてしょうがない。

ふだんは時節の挨拶すら出来やしないのに、藍になるとこれだもの。

阿波藍から播磨藍。
勝手がだいぶ変わったという。

結局のところ「藍はやってみないとわからない」。
だからこそやりたい。

藍染め歴60年。
引退して復活した老職人は、今もって「わからない」藍と対峙しながら、ガッツンガッツン染めてみたい。

ああ。
真っ青な、青い、青い、青春真っ盛りだよ、まったく、そんたく。

「とにかく急かずに丁寧にやって下さいね」
リバマ用務員は不思議な立ち位置から、話の止まらない正藍型染師をなだめすかし、電話を切った。


うーーーーー。

やれやれーーーーー。
リバマ忖度-その2_d0182119_10491967.jpg
わたしたち、いま、どんな関係性なわけよ。

あちらは意に介してないけど。

4月田中学校。
リバマ忖度-その2_d0182119_22265662.jpg
とりあえず、回数券は買わない。

でも、たぶん来月も、5月田中学校に行くのだろう。




by kerokikaku | 2017-04-25 19:16 | 正藍型染師 田中昭夫


<< ぼやくパンダちゃん      リバマ忖度ーその1 >>