2017年 07月 09日
痛手
「手が痛くてだめだ。仕事ができない」
7月はじめ、リバマ御大から沈痛の電話が、黒幕あてに鳴った。

右手の腱鞘炎が痛すぎる。
医者に行っても治らない。

染め仕事が出来ない。
やることがない。
意気消沈のションボリ電話だったという。

わたしには伝えてくれるな、と念押しがあったらしい。
適切なアドバイスも、慰めも、やさしさもないので、面倒と思われたか。
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ざんねんながら、黒幕&けろ企画は連携が整っている。

秘密はすぐさま共有され、あっと言う間に川口へ降り立ったわたくし。
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先月、ラオス・レンテン族白生地のハギレの試し染めをしてもらった。

春のもにょもにょ問題は何だったのか。
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この染めなら帯地分を渡しても問題ない。
預かり(隠し)持っていた白生地本体を渡しても大丈夫だ。

どこから目線なのはご容赦を。
これまでの学習による、的確な管理操作である。

生地全体にあったヒゲ糸の始末をTG布茶に依頼し、平らにきれいにしてもらい、手間と気は存分に遣った。
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「いま染めて」ってワケではなく、なんというか。

いわゆる毎度の安否確認てやつ。
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ベニバナが干してあった。
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あそこにも。
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ここにも。
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おが屑も手に入ったんだな。
しばらくは暑いので使わないだろうけど。

こんちはー。

見当たらないので板場に御大を探す。
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ああ、やってるんだ。

やれないって言ってもやってるよね。
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おや。

糊がところどころ落ちている。
こりゃあ修正がまた大変だ。
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「ああ」とわたしに気付くと、すたすた、もとい、よたよたと外へ出た。
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染めてるんですね。

手は大丈夫なんですか?
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あれは前のやつだ。

糊が落ちて、いやになって、そのまま置いてある。
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梅雨時期は糊がもたない。
作った糊が一日でわるくなる。
ボソボソになるため冷蔵庫で保存したくない。
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それよりなにより手が痛い。
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右手の中指がカクカクして痛くてだめなんだ。

そう言ってわたしに中指を立てる。
ふうぅ。
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どちらも太いが、たしかに右のほうが太い。
腫れていますね。

黙っていても痛いんだ。
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グーはやっとできる。
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ここに注射を打つのが、痛いのなんのって。

顔をゆがめて実況してくれた。
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あれは5月だったか。

播磨藍の建ちもいいし、気候もいい。
それ、とばかり気前よくやったものの、落ちた糊の修正に明け暮れることになった。
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大変で大変で。

手も痛いし、やになるよ。
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へんに縛ったのもよくなかった。
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どうしたって不具合は出る。

材料・用布の手配も。
何もかも、ギリギリ綱渡りの現在。

歳もとった。
長板も持ち上がらない。
屋外で薪を炊いての精練もできない。

江戸時代のやり方で、40年前でさえ絶滅種と言われながらも、よくぞここまでやって来た。
なまなかではない。

だって去年の今頃なんて、こっちが面食らうぐらい染めに染めまくって、仕舞いには藍が足りなくなって、無い無い無い、って。
この春まで大騒ぎだったんですから。

大騒ぎでなく、大暴れだ。
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医者には、仕事をやめろと言われたらしい。
やりすぎなんだと。

やめるのは酷だとしても、休むしか方法がない。
実際、こんなことでもなければ休まない。

休むのもクスリ。
気が弱るのだけが毒。
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あのですね。

なんか、今、これを渡すのがですね。

タイミング的に最悪なんですけど。

八方手を尽くしてどうのこうのは言いませんから。

手の様子を見ながらで、どうぞ。

「うん」
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外のベニバナはどうするんですか。
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タネを採って来年植えるんだ。
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染めるためですか?

いやあ、こればかりじゃ染められないよ。
植えるだけだ。
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ふうん。

ご寵愛のようで、そうでもないように見えての、
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ご寵愛。
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いい意味でも、別の意味でも、意味不明でも。

リバマ御大の言うことは、経験上、真に受けない。

そのたびに一喜一憂してはいけないことを学んでいる。
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ゆえに、また来ます。

平常心でお邪魔します。

定期券は買いません。
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話によると、生まれたのは5月のアタマ頃。
8人兄姉末っ子の出生届は、農家の繁忙期につき後回しになった。

帳簿上では、あしたが82歳のお誕生日。
おめでとうございます。
星占いはあしたの誕生日で見てますか。

特になにもしませんが、末永くお元気で。
ほんとに。
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早々においとまする。
だって、やることないもの。

日の高いうちに帰るって、いままでなかった。
いつも何やかんや忙しく、丸一日お邪魔していた。

去年の今頃は、この騒ぎ。
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やれどもやれども。

洗っても干しても。

終わらない夏だった。
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終わったけど。
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さあ帰ろ。
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リバーマウス、川口駅には半裸のお兄さんがいたのをはじめて知った。



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by kerokikaku | 2017-07-09 15:02 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)


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