カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 128 )

2017年 11月 21日
11月田中学校-その1
伝書鳩の出番か。

なんぼかけても出ない。
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3月の月日荘展を終えて、この春夏秋、ずっと。

リバマこと、リバーマウスこと、川口。

の、正藍型染師 田中昭夫御大。
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具合が悪かった。

どこ、というより全体的にダウン気味であった。
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腱鞘炎で指が痛い。
雨ばかりで染めがうまくいかない。

言葉もつまってぜんぜん出てこない。
トイレ関係、おシモのあんばいもよくない。

根は頑丈なタチだが、そんなこんなでしょっちゅうお医者に行っていた。

食欲はあるが、痩せてしょうがないって。

10月に伺った時は、ちょっと小さくなっていた。
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わたしと御大をつなぎとめる手段は、ケータイのみ。

ただし、着信に気付いて折電をする技量はない。

出ないとなると、やりようがないのだ。
でも出ない。

もしや。

まさか。

はたまた。
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万が一、御大に何かがあったところで、わたしは知る由もない身分なのだ。

そのことを再認識した不穏の日々だった。

伝書鳩寸前のラストチャンス。

どうにも出ないホットラインへかけてみた。
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あっさり出たのでずっこける。

伺いたい旨を伝えると「うん」。

せっかくカケ放題プランに入っているのに、15秒で済んでしまった。

ちっ。
などと一切思わず、速攻でリバマ上陸する。
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正直言って。
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ピンチ!な、11月田中学校。

いささか気が重い。
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四方八方、八百八町。

もうもうといぶった藍場。
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ああ、やってるんだ。
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ご寵愛のバラはお元気。
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本人は板場にいた。
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「来るって言ってたっけ」ってお顔で。
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例によって挨拶もそこそこ。
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何かを取りに行った。
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最近の染めを見せようってことらしい。

けろセンセーの花丸でも励みになるのだろうか。
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実は10月のこと。

この夏の宿題、というわけでもないが、染めた反物を10反ほど拝見した。
調子の悪い中やっと染めた、って。

ラオス谷さんの白生地・残りわずかとなった耳付きの岡崎木綿ばかり。
貴重な生地を染めていた。

あの時はブログ内でぼやかしたが、正直良くなかったのだ。
ひいき目に見ても(本来はひいき目で見てはいけない)ダメだった。

そもそも糊がダメで、すぐ落ちた。
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直す先から手につき、やればやるほどキーッとなり、悪循環。
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仕上がりも、見ていられなかった。

往時の見る影もなかった。
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ショックだった。
来るべき時が来た、と思った。
本人へのコメントは控えた。

帰り道、黒幕にすぐさま報告した。
「田中さん、仕事はもう無理っぽいです」

やるな、とは言えない。
やりたいだけやらせよう。

でも、この染めを外に出すことは出来ない。
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端ミシンした岡崎木綿はたんと準備済み。

向こう100年分ある。
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あの染めでは、引き受けることは出来ない。

今後は月日荘で取り扱いしてもらう約束。
それが最大のモチベーションなのは間違いない。

でもこれじゃあダメだ。
出せない。

「紺定」印を守らないと。

いつか言わないと。
たぶん、年内のどこかで、はっきり言わないと。

それを見極める意味もあっての、訪問だった。

確かにこんな大作業、いつまでも出来るものではない。
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あの日の真新しいサンがなくなっていた。
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どうせ持ち上げられないことだし、そういうことは早いんだ。
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でもまあ。

なんやかんやで染めていたんですね。
ほかにやることもないしね。

やっぱ、そうだよね。
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見せてもらうの、こわいなあ。

と、気取られないように平静を装う。

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「湯のし屋(染布の最終仕上げ屋)が入院しちゃってさ、まだ出せてないんだけど4反ある」って。

4反と聞いて、ホッとしつつ、拝見。
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続きます。



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by kerokikaku | 2017-11-21 11:56 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 10月 13日
要領を得ないリバマ
だいたい。

リバマ御大から電話が鳴ると、ハッとする。
何かあったんじゃないかと身構える。

そして間違いなく、何かある。


数日前の電話。

「税務署から書類が届いた」とおっしゃる。
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「90万円って書いてある」と。

何の書類で、期限はいつか等々たずねるが、全く要領を得ない。
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2014年田中紺屋展・2015年青山展・2017年名古屋展。

リバマ案件に関わって以来、金勘定はけろ企画が一手に引き受けている。

数字がカラキシ苦手のけろたん。
こんな羽目が恨めしい人生だがしょうがない。

ズルをせず、払いすぎることもなく。
分からないからこそ、何度も何度も関係各所に通い、いやらしいほど確認をしている。

自分のコトならテキトーだが、一応ひとさまのコト。
それなりにキチンと提出、しかるべき処置をしているつもり。
ホレ、廃業してたの、開業したりとかさ。

なぜ今、90万円なのか。

払えと言われたら、払うしかない。

お上の言うことに間違いはございますまいから。

どぼちよう。
どぼちよう。

眠れぬ夜を越し、慌ててリバマへ降り立った。
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おねえちゃんを望む余裕もない。
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九十万田中学校に見えてきた。
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いぶりがっこルームに、御大は居なかった。
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板場の奥で、糊の修正をしていた。
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染めてるときに電話が鳴ってさ。

長靴脱いでる間に切れてさ。
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おかげで染めがダメになってさ。

糊がはがれてさ。
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直すのがたいへんでさ。

もうやになったよ。
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要するに。

おいらがかけた電話のせいだとおっしゃりたい。
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てかさあ、と言いたいのをグッとこらえる。

結局言っちゃうけど。
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「まあ、昔よりも集中力がなくなったんだな」と、ご自身が一番分かっていた。

言いにくいが「そういうことですかねえ」と答える。

おらのせいにする気も、分からんでもないけども。
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それよりも。

何か、通知が来たんでしょ。
見せてください。

「ああ」
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大枚90万円の払い込み用紙が来たのかと思いきや。

必要な届を出してね、の書類だった。


てか、90万円ってさ。

「記入例」にある数字じゃないのさ。
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しかも、正確には900万円ですよ。

もはやどうでもいいことだけど。
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書類をそろえてハンコ押して郵送するってワケだった。

90万円ってなんのこっちゃ。

ひーはー。
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やれやれ。

ここへ来ないとワカランチだったな。
慌てて来たのには意味があった。

と、思いたい。


おもむろに、ごっちゃりした段ボールを見る。
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これって、いいモンじゃないすか?

広幅のタイ木綿、白生地、発掘。
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オレが型染めしたと言う、自動アンティークな絹のワタ入れのカワも発掘。
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ぜひTG幕田くんに差し上げたいものだと勝手に決めるが、とくに反応はない。
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薄藍のこの布、韓国手引木綿とみた。
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これこそ貴重な生地なんで、ぜひ染め直しでお願いします。
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その他のもろもろは、と言うと。

おじいちゃん的ズボンとモモヒキ。
ついつい、広げてたたんで区分けして。

汗だくになり整理させていただく。

まじで、これは、何の因果でしょうか。
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するとシャツのポッケから500円玉が2枚出てきた。

我らが生姜焼き定食屋は、本日定休日。
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「これでコンビニ弁当買わせてもらいますよ!」と言ったが返事はない。

どうでもよさそうなので、コインを握りしめ、セブンで弁当を買い、爺の部屋でひとりで食べた。
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ふと、田中御大のケータイの設定をチェック。
これに関して、彼のプライベートはいいとする。

なぜならば。

履歴を見ると95%がけろ企画から。
4%が黒幕から。
のこり1%は存じません。

いつもケータイにかけると「聞こえにくい」らしく、話がヤギさんゆうびん化していた。

こっちは向こう三軒にとどろく大声を張らないといけない。

だな。

やはりね。
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無断で直しとく。
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さあ逃げろ、のその前に。

谷さんから案内が届いてるって。
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来週10/17(火)18(水)は、いよいよ東のN家でH.P.Eの展覧会

白生地の出展はないにしろ、行ってみたいらしい。
ラオス谷さんにも会える。
東N家の主にもアンダーグラウンドでお世話になっている。

じつはその日、東京にいない予定のわたし。
御大をお連れ出来ない。
黒幕こと津田さんも、箱根菜の花直前につき頼めない。

「その気になれば行けるでしょ」
ずいぶん強気発言だが、あやしいもんだ。

東のN家は田端駅南口からだと上り下りがあるので厄介とみた。
迷っても困る。

ケータイなんか、不ケータイに決まっている。
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田端駅北口からタクシーを使うよう、指令を出しておく。

自立支援キャンペーン、緊急発動。
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もし、東のN家界隈で迷い爺を発見された方。

どうか、お導きのほどをお願いします。



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by kerokikaku | 2017-10-13 17:48 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 10月 04日
リバマ近況・2017秋
朝イチに電話しますんで、ご都合を伺ってからお邪魔するようにします。

数日前に、そう約束した。

けさ早く電話すると(ちなみに3回かけてやっと出た)
「今日ならいい」と。

お昼過ぎになる、と伝えると
「そんなに遅くちゃ医者に行かれない」と。

医者は何時か、と尋ねると
「昼過ぎだ」と。

今からだと、どう急いでも昼ちょい前になるため「今日はやめときますか」と提案すると
「来てもいい、でも遅くちゃダメだ」と。

「なら何時までならいいんですか」
つい声が大きくなるのを、こらえきれずお尋ね申し上げるが、一向に埒があかない。

だめだなあ、わたし。
年寄り3人衆に育てられたくせに、優しいご対応が出来ない。

うっすら反省してみるものの。

おうおう、田中さんよう。
「とにかく行かせてもらいますよ!」

「うん」だって。
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ハダカのお姉ちゃんはコスモスの精だった。
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何回目かの10月田中学校。

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通算60回に近い田中紺屋。
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こんちはー。

返事はなく、藍場はいぶりがっこ。
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ご寵愛は、種取り時期か。
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板場にいるのかな。
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おお、いらした。

岡崎木綿に型付けの真っ最中。
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こちらをチラリ一瞥だけで、無言であった。
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デリケート作業中につき、こちらも無言。
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お邪魔せんよう、そぉっと佇む。

次々やりたいと見えて、型紙が左に準備してあった。
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体調もろもろサイテーの夏だったらしいが、宿題はやってあった。

これは何かと言いますと。
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2015夏、ハギレ大捜索のとき。
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ハギレにもほどがあるハギレ。
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巾20cmあるかないかの科布のハギレを救出し、洗い、アイロンし、つなげたもの。

「いつかこれに型付しといて下さい」と頼んであった。
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調子の悪かった今夏。

手慰みにやってくれたらしい。
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「いちおう、両面型付けした」という、ミニ科布。
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まあともかく。

無言の数十分。
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鳴ったら困るケータイを傍らに。
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うるさいケータイを鳴らす張本人はここにおります。
故、ご安心あれ。
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奥様はお出かけのご様子。
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必死のパッチで、端まで型付けをやり切った。
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「あー、腰が痛てぇ」

ここではじめて口を開き、糠を巻き出した。

細かいところも、ピトっとねっとり糊。
見事だ。
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紺定特有、粘着質な糊である。
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さて、この後どうするか。
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在りし日の風景はこちら⇒「きものと装い」 春夏号 主婦の友社/1980年刊

30kg近くある長板は、もはや持ち上がらない。

82歳の御大、さあどうするか。

台車2台をクルマがわり。
しかるべき位置にセット。
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長板を、慎重に動かす。
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奥からも押す。
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台車に乗せたい。
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ずりずりっと。
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前から引っ張る。
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もっと引っ張る。
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後ろから押す。

これを何度もリピート。
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台車2台に乗っける。
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微調整。
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ゴロゴロゴロ。
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おしまい。
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今年になって、元のサンより一段低い位置に、真新しいサンを作り直していた。
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しかし長板を立てかけることは、結局しなかった。
立てかけれない、のが現実。

これで天日干しは十二分だけど。
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色々と変化していた。

日々刻々、変わっていた。

やれること、やれないことが、前景化してきていた。
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やりたいことはただひとつ。

誰も止めない。

やりたいだけやって頂きたい。

売ることとか見せることとか、それは二の次だとご自分でも承知し始めている。

限界が見えてきている。

夏の間、数反を仕上げていたのを見せてくれた。
麻生地で、いい染めもあった。
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うーん、と言わざるを得ないものもあった。
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「いいですね」と言えばよかったのかもしれないが、言えなかった。
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もうお医者の時間だし、きょうはこれでお暇します。

また来ます。

「うん」だった。
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リバマ。

来なきゃいけないな。

また安否確認に来ないとな。
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ただの様子伺いだとしても、来なきゃいけないな。
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お昼を誘ったが「出かける気がしねえな」と。
おうちで食べるってさ。

なので生姜焼き定食は、予想通りひとりで食べた。

女将さんが「あら、きょうはひとり?」だって。




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by kerokikaku | 2017-10-04 20:19 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 10月 02日
リバマ安否確認を怠った2か月半
にわかに後悔している。

リバマ御大こと、正藍型染師 田中昭夫さんの安否確認を、この2か月半怠った。

初めてお目にかかった2014年以来、だいたい1か月に1-2回訪問。
開いても2か月に1度のリバマをかかさなかった。

この3月。
名古屋月日荘展も終わり、ほんとのほんとのボチボチモード。

指も痛いし、そんなに出来ないし、ってことだった。

それでも7月は、リバーマウス川口へ2回お邪魔した。
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梅雨明け「前」、猛暑のあの日。
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痛さより何より、染めが出来ないことが、ストレス。

仕事のし過ぎで「指が痛い」と嘆きまくるリバマ御大だった。
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7月の訪問のうち1回は、川口駅まで連れ出し、酷暑を歩かせた。
どうしても連れ出す用があったのだ。

ピシッと白シャツできめて、お洒落さんだった。
30分前に来そうなので1時間前にスタンバっていたら、やはり30分前に来た。

そして白シャツ御大に、あろうことかカレーうどんを食べさせたわたくしであった。
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じつはその頃、某所より入手した、御大にふさわしい上等の白生地が手元にあった。

しかし、今渡すとエライこっちゃと判断。

やっちゃうから。
指を無理してやっちゃうから。
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指痛を機に、夏の間は養生してもらうことにした。

小さめの仕事だけを夏の宿題とし、また秋に伺います、と別れた。

そんな期間があってもいいかなと。
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それきっきり、うんともすんとも。

もともとそういう仲。

便りがないのは、、と思うようにしていた。

こちらも動けない日々だった。
爺のことを忘れていた日もあった。

リバマと無縁の2か月半。

あれよあれよ、サラサラと流れた。
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リバマホットラインはタイミングが難しい。

ケータイなる夢の機器を持っているが、出る確率は3割を切る。
コール音1分以上で、あきらめる。

御大からの折電は無理な注文。
あらためて4-5回かけるのはザラ。

今週リバマへ伺えそうなので、一報を入れておきたい。
けさ「お昼休みの前で仕事の手を止めていそうな」タイムを見計らい、かけてみた。

コール音1分半で出なかったので切ってしまった。
またかけ直そう。

夜になり「御飯がおわって寝室に戻っていて、寝ていないだろう」タイムにかけてみた。

珍しく1分以内に出た。
運がいい。

「昼間電話が鳴ったのさ、染めをしている最中で、長靴を脱いでいる間に切れた」と。

そのため「染めがめちゃくちゃになった」とのクレームが第一声。

言葉もない。
「そんなんなら出なくていいんですよ」と答えるのが精いっぱい。
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そして声が違った。

弱い。

この夏は、体調が悪かったそう。

さらに藍の調子も悪く、天気も悪く、何もかもが天中殺。
「いいことなかった」と。

食欲はあるにはあるが、ずいぶん痩せたらしい。

仕事がはかどらなかったおかげで指は治ったみたいだった。

やっとのこと糊付をし、やっとのこと染めをした矢先。
わたしからのケータイが鳴り、集中が切れ、染めがパアになったとのこと。

おいらのせいかな。

むぅ。
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なんか知らんが、良くない模様。

2か月半、安否確認を怠ったため、ほんとの様子がみえない。

どんなことになっているのか。
早めに行かねばならん。

元気な時でさえ、毎度驚かされるリバマ訪問。
ノー元気な今は、推して知るべし。

行きたいと伝えた日は「医者かもしれず、いるかどうかわからない」とあやふや発言。

「田中さんのご都合に合わせます」
ヘタな強要は逆効果。
当日朝のホットラインで確認してから行くことにした。

こうなると。
何もなくても1か月に1回は、安否確認しておくべきだった。

顔だけ見てバイバイして、近所ひとり生姜焼き定食を食べて帰るとしても、行っておくべきだった。

生姜焼き永年無料ポイントを使わなかったとしても。
行けば行ったで「ったくもう」と思うことが多々だとしても。

染めはやり始めてて、日々動いている。
気はお元気でなくても、まあそれなりだろう。

と思いたい。
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とにもかくにも、近々リバマ、行っときます。



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by kerokikaku | 2017-10-02 20:56 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 07月 09日
痛手
「手が痛くてだめだ。仕事ができない」
7月はじめ、リバマ御大から沈痛の電話が、黒幕あてに鳴った。

右手の腱鞘炎が痛すぎる。
医者に行っても治らない。

染め仕事が出来ない。
やることがない。
意気消沈のションボリ電話だったという。

わたしには伝えてくれるな、と念押しがあったらしい。
適切なアドバイスも、慰めも、やさしさもないので、面倒と思われたか。
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ざんねんながら、黒幕&けろ企画は連携が整っている。

秘密はすぐさま共有され、あっと言う間に川口へ降り立ったわたくし。
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先月、ラオス・レンテン族白生地のハギレの試し染めをしてもらった。

春のもにょもにょ問題は何だったのか。
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この染めなら帯地分を渡しても問題ない。
預かり(隠し)持っていた白生地本体を渡しても大丈夫だ。

どこから目線なのはご容赦を。
これまでの学習による、的確な管理操作である。

生地全体にあったヒゲ糸の始末をTG布茶に依頼し、平らにきれいにしてもらい、手間と気は存分に遣った。
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「いま染めて」ってワケではなく、なんというか。

いわゆる毎度の安否確認てやつ。
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ベニバナが干してあった。
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あそこにも。
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ここにも。
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おが屑も手に入ったんだな。
しばらくは暑いので使わないだろうけど。

こんちはー。

見当たらないので板場に御大を探す。
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ああ、やってるんだ。

やれないって言ってもやってるよね。
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おや。

糊がところどころ落ちている。
こりゃあ修正がまた大変だ。
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「ああ」とわたしに気付くと、すたすた、もとい、よたよたと外へ出た。
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染めてるんですね。

手は大丈夫なんですか?
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あれは前のやつだ。

糊が落ちて、いやになって、そのまま置いてある。
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梅雨時期は糊がもたない。
作った糊が一日でわるくなる。
ボソボソになるため冷蔵庫で保存したくない。
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それよりなにより手が痛い。
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右手の中指がカクカクして痛くてだめなんだ。

そう言ってわたしに中指を立てる。
ふうぅ。
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どちらも太いが、たしかに右のほうが太い。
腫れていますね。

黙っていても痛いんだ。
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グーはやっとできる。
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ここに注射を打つのが、痛いのなんのって。

顔をゆがめて実況してくれた。
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あれは5月だったか。

播磨藍の建ちもいいし、気候もいい。
それ、とばかり気前よくやったものの、落ちた糊の修正に明け暮れることになった。
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大変で大変で。

手も痛いし、やになるよ。
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へんに縛ったのもよくなかった。
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どうしたって不具合は出る。

材料・用布の手配も。
何もかも、ギリギリ綱渡りの現在。

歳もとった。
長板も持ち上がらない。
屋外で薪を炊いての精練もできない。

江戸時代のやり方で、40年前でさえ絶滅種と言われながらも、よくぞここまでやって来た。
なまなかではない。

だって去年の今頃なんて、こっちが面食らうぐらい染めに染めまくって、仕舞いには藍が足りなくなって、無い無い無い、って。
この春まで大騒ぎだったんですから。

大騒ぎでなく、大暴れだ。
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医者には、仕事をやめろと言われたらしい。
やりすぎなんだと。

やめるのは酷だとしても、休むしか方法がない。
実際、こんなことでもなければ休まない。

休むのもクスリ。
気が弱るのだけが毒。
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あのですね。

なんか、今、これを渡すのがですね。

タイミング的に最悪なんですけど。

八方手を尽くしてどうのこうのは言いませんから。

手の様子を見ながらで、どうぞ。

「うん」
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外のベニバナはどうするんですか。
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タネを採って来年植えるんだ。
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染めるためですか?

いやあ、こればかりじゃ染められないよ。
植えるだけだ。
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ふうん。

ご寵愛のようで、そうでもないように見えての、
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ご寵愛。
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いい意味でも、別の意味でも、意味不明でも。

リバマ御大の言うことは、経験上、真に受けない。

そのたびに一喜一憂してはいけないことを学んでいる。
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ゆえに、また来ます。

平常心でお邪魔します。

定期券は買いません。
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話によると、生まれたのは5月のアタマ頃。
8人兄姉末っ子の出生届は、農家の繁忙期につき後回しになった。

帳簿上では、あしたが82歳のお誕生日。
おめでとうございます。
星占いはあしたの誕生日で見てますか。

特になにもしませんが、末永くお元気で。
ほんとに。
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早々においとまする。
だって、やることないもの。

日の高いうちに帰るって、いままでなかった。
いつも何やかんや忙しく、丸一日お邪魔していた。

去年の今頃は、この騒ぎ。
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やれどもやれども。

洗っても干しても。

終わらない夏だった。
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終わったけど。
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さあ帰ろ。
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リバーマウス、川口駅には半裸のお兄さんがいたのをはじめて知った。



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by kerokikaku | 2017-07-09 15:02 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 06月 19日
リバマ近況ー2
なんでまた。

ここリバマ紺屋に、科布があるのか。
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これはさ。

たいしたことないよ。

どうしてもって言うんで、染めるんだ。

これだけだからさ。
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以前付き合いのあった方面から、科布帯の染めを依頼されたらしい。

「名古屋のもやるんなら、うちのもやってくれ」

断りきれずに受けたのだ、と言う。

3反だけだ。
たいしたことない数だから。

こちらを見ないで繰り返している。

じゃあこれは?

紙布だな。
タテが絹でヨコが紙の紙布だな。
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これもだ。

たいしたことないよ、これだけだ。

背を向けて行こうとする。
この件について、話を終わらせたがっている。

が、そうは紺屋の足元ちょい濡れ三寸が卸さない。
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おいおい。

ちょっと待って。

田中紺屋「紺定」染布の取り扱いは、今後すべて名古屋月日荘
そういう話だったでしょうに。

TGから月日荘にバトンタッチしたじゃない。
バトンの影がうっすら残っているきらいはなきにしもあらずとはいえ。

ともかく、月日荘特約の専属って話でしょうよ。
なのに別の仕事を引き受けるなんてさ。

おう。

そりゃ、ないんじゃない?

仁義が通らないんじゃない?

だって、あれだけ多くの皆さんが最後の展覧会に来て下さったでしょう。
今後はボチボチ月日荘取扱いってことで、周知なんですよ。
田中さんの今後の染めを、みなさん生温かく見守って下さっているんですよ。
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月日荘を飛ばして、別方面で出すの、よくない。

そういうの、非常に、よくない。

黒幕からは遠隔電話、わたしはそのまま直接。
ダブルでがっつり諫言申し上げる。
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シュンとなった。

田中さんは人が良いやら悪いやら。
頼まれた仕事は受けてしまう。
断れないのが職人の性。

染用布は先方からの提供。
布集めの心配をしなくていいのだ。
いい生地だし、腕も鳴るだろう。

以前のお付き合いがあっても当然です。
おかげ様ももちろんある。

しかし。

僭越ではあるが、今となってはハッキリさせないといけない。

だめ、です。

困ります。

ただ、受けた以上はしょうがないです。
それだけはやって、今後は断然ナシにして下さい。
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播磨藍の調子がいい今、こっちの仕事をやらんでどうする。
レンテン白生地や切り株科布が控えているのだ。

優しい風で、結構きつく申し付け、リバマを後にする。

もう今日は染める気にならないそうだ。
朝の糊が落ちたせいだ。
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じゃあね、また来ます。
今度はレンテン帯地分1反、持ってきますね。

外ではベニバナが咲き誇っていた。
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TGのひとりから種をもらって植えたもの。
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「持ってくか」って。
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葉っぱを食べるには育ちすぎ。
染めるには少なすぎ。
タネを採ってもウチには植える庭はございません。

返事はない。

どんどんハサミを入れている。
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あ、そっか。

花ってものは、食べたり植えたりしなくていいのか。
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飾る、って手がありましたか。

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これって。

陳謝の意か、まさかのダンディか。

意味ナシか、はたまた、大いなる意味アリか。
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リバマの御大、正藍型染師 田中昭夫さんより、

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棘のあるお花を頂戴しました、ってお話。



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by kerokikaku | 2017-06-19 19:06 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2017年 06月 18日
リバマ近況ー1
きっちり洗ったのに、なんとなく濡れっぽい。
洗ったはずの足が、湿っている。

梅雨だからか、なんなのか。

カラリと好天のリバマこと、リバーマウス川口へ。
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都合54回目の上陸、とカウントするのはやめにしたい。
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太郎焼に、夏バージョン登場。
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先を急がねば。
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この前日のこと。

某有力筋から、染用布の入手に苦労しているリバマ御大へ。
「手持ちの科布をお分けしたい」とご厚意の旨、黒幕より連絡が入っていた。

翌朝、クロネコ便で拙宅に届けてもらった。

届いたのは巨大な切り株。
ならぬ、豪華科布、しめてドカンと40m。

お察し通り、リバマに直接送らないのが、我々の賢明なテクニック。
手にしたら、一も二もなく染めちゃうんでね。

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東北方面で3-40年前に入手したという、ロール状の科布。
とうぜん手績手織、状態もかなりいい。

今後の「紺定」帯地用布として、喉から手の出る代物である。
そう簡単に得られるモノではない。

あぁ。

困った時は、必ず愛染様のご加護がある。
リバマ御大の恐るべし運の強さよ。
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よくぞキレイに残っていてくれた。
よくぞここまでたどり着いてくれた。

ご縁のありがたさで感涙にむせぶ朝であった。
必ずや有効活用させて頂くことを、リバマの遠方で誓う。

広げて見て、タマシイが黒光っているわたくしは、ひらめいた。
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40mぜんぶをリバマ御大に分けるのは、ちと惜しい。

黒幕自身も半分GETするよう、逆指名しておく。

あらためて言うまでもないが、黒幕こと津田千枝子は、あの、その、かの型染作家である。
次回、もしくは次々回の展覧会を、震えて待たれい。
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御大には電話で、科布購入OKの了解をとった。
「それはいいな」って。

でしょ、いいでしょ。
このあと、月日荘へ出す帯地にバリエーションが出ていいでしょ。

いちおうサンプルハギレをカットし、その足でリバーマウス川口へ向かう。
写メとかそういうの、届かない秘境につき、直に見せに行く。

素晴らしく良い動きだ。

だからか、洗った足が湿っているのは。
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こんな陽気だもの、張り切って染めているかな。
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そうでもなかった。
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「朝染めてる時に電話が鳴ってさ、気が散ってる間に、糊が落ちちゃったんだよ」

と、冴えない。
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あちこちガタで体の調子も良くないし、言葉も出にくいし。

と、冴えない。
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ああ、ほんとだ。

せっかくの染めなのに、糊が落ちてますね。
修正に手間がかかりますね。

「でも、電話が鳴ったせいなんですか?」と、聞いてはイケナイことを尋ねると
「糊のせいもあるかな」だと。
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そんな中でも朗報は、播磨藍の建ちが良いこと。

何より有難い。

それもこれも、まわりからのご加護なんですけど。
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さて。

先日遠隔指示してあった、レンテン白生地ハギレ試し染めはどうなったのか。
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うん、まあまあだな。
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なによ、上出来じゃない。

すごーくいい染めじゃないですか。
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クッキリ、バッチリ、新骨頂の「THE 紺定」の染めじゃないですか。

久しぶりに拝む濃藍色ですね。

「まあ、そうだな」
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って、どの口が言うのか、と、まず問いたい。

じゃあさ。

先のレンテン白生地、数反がうまくいかなかった原因は何だったんですか。

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それはもうハッキリしている。

精練のし過ぎだ、と言う。

貴重な白生地とあって、やたら気合が入りすぎた。
いつも以上に精練をし過ぎた。

よって生地にコシがなくなったのが一番。
さらに、藍が完全に建つのも待てなかったこと。
豆汁も残ってムラになり、慌てた染めになってしまったこと。
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まるで分かっていた風の発言だ。

あの時は善後策がサッパリ見当たらず「困った困った」と、右往左往のSOS。
こっちまで困らせたじゃない。

とは、言うまい。

じゃあ、後日レンテン白生地の本体、帯地分をお渡しします。
今度こそ渾身の染めでお願いしますね。

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すると、我が目を疑う光景が。

あのう。

それって、何ですか?

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今朝届いた科布は、拙宅にまだある。

まだ渡していない。

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なのでここにあるはずもない。

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じゃあ、精練している、この科布は何?


苦虫顔で続きます。




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by kerokikaku | 2017-06-18 19:48 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 06月 11日
シロヤギ
TG散会の会から10日経った。

この先こそ、好きにやってもらって一向に構わない。
正藍型染を、思うよう存分にやってほしい。

余計なお世話はいたしません。
故に、遠方安否確認の立ち位置で。

赤の他人ならぬ藍の他人。
そっと、生暖かく見守りますんで。

ただし、僭越ながら依頼していた案件が、ひとつだけあった。
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この春。

藍と糊と布などなど。
すべての不穏な要因が重なり、染めがうまくなかった。

つい、忖度。

ラオス・レンテン族の手紡手織の白生地を地下工作しておいたのだ。
某所有者を、アレしてナニした末、貴重な1反を極秘入手した。

「これからの染めのための、実験と確認」という意味のだいじな1反。

この行方だけは見届けさせて頂きたい。
「うん、そうだな」と合意したはず。
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様子伺いホットラインをしてみた。
1分以内のコールで出たのはラッキーだ。

尋ねてみると、82歳の脳内で、依頼案件は「しなくていい」ことに仕分けされていた。
「しばらく置いておくんじゃなかったっけ」との返事に大いに慌てる。

全く手つかずだと言う。
見てもさわってもいないと。

「うん、わかった」って、言ったよね。
「さわるなって言ったよね」って、言ってない。

「話が変だ」と、埒が明かない。

そのかわり、岡崎木綿の新しい染めをどんどん進めていた。
順調なのは目出度いが、僭越案件を放置されていたのは、良くない。
後先が逆。

・・・・・・・・・・・・・・

我ら僭越忖度組合。
鉄砲玉の御大に、貴重な白生地1反ぜんぶを渡さなかった。

帯地分5mは死守し、わざわざ持ち帰った。
「持ち帰る」ってところが最高レベルのリバマテクニック。

もう替えがない。
渡したら、すぐさま丸っと染めちゃうの、わかっている。

帯地分を取って、余った2mを半分に切り、1m×2枚のハギレだけを渡す。
そのハギレで実験染めしてほしい、ってわけ。

そうすれば、いまいちの原因が何か分かる。
今後の傾向と対策が得られる。

何度も何度も説明し、電話を切る。
だって、あの日も重々説明したんだもの。

すると数分後、電話が鳴る。
「あのさ」と。

実際にハギレ2枚を手にし、この非効率さをとうとうと述べ始めた。
染め以前の精錬に時間がかかるんだ、と。

何日もかかる、10日はかかる。
なので「すぐには出来ないのを覚悟してもらわないと」と、ずいぶんな言い分。

いやいや。

それを承知で僭越依頼してます。
何より今後の「紺定」の染めに関わりますんで。

ってことで、合意だったんですけど。
あれは何だったのか。

無用でなく、むしろ有効な作業なのだ、と繰り返し丁寧にお伝えする。

何度も何度も「時間がかかる」と、あちら。
何度も何度も「大事なことなんだ」と、こちら。
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わたしもしつこいタチだが、あちらもなかなか。

これは大事なこと、大丈夫、間違ってない。
けろたん、がんばれ、負けるな。

電話を切り、麦とホップの一気飲みで、なんとか息を整える。

するとまた電話が鳴った。
「自宅にも電話した?」って。

さっきまでケータイでやりとりしていた。
御大の自宅電話は着信番号出ないし、きょうはそちらへかけていない。

いま2回目のケータイ長電話を切ったばかりなんですけど。
「おっかしいな」と不審がっているが、それはこちらのセリフ。

なにがなにやら。

解き明かすことをやめ「いつかの着信が残ってたんですかね」と、ふんわり電話を切る。

ああ遠い目。


♪シロヤギさんからお手紙ついた 
クロヤギさんたら読まずに食べた
仕方がないのでお手紙かいた 
さっきの手紙のご用事なあに♪


誰もわるくない。
郵便局もしくは電話局の問題か。

来週もっぺん電話してみる。
手紙じゃ、むり。

てか、直接出向くのが有効か。



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by kerokikaku | 2017-06-11 19:37 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 05月 31日
リバマTG散会の会
あれは春三月、名古屋月日荘でのこと。

いわゆるひとつの「正藍型染師田中昭夫の新作染め布と、若い衆とのコラボ展」。
遠い昔のことのよう。

みなさま、その節はありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
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打ち上げ宴会がやっと出来る。
2か月以上も経ってしまった。

リバマ御大は、この日を指折り数えていたに違いない。
ただの宴会として、待っていたに違いない。
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宴会前につき、太郎焼は控える。
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田中紺屋へは、駅から30分バスに揺られる。

一部で有名となった「十二月田中学校」を越え、2017年5月田中学校が始まる。

耳タコ案件として、ここで降りてもどうにもなりません。
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最新版の表示になっていた。

じゅうにがつ、でなく、しわすだ。
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ハングル対応も済ませた。
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田中紺屋に着く。
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中では、黒幕と御大がアタマを突き合わせていた。
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月日荘展後もどんどん染めていた。
お察しどおり、やる気マックス。

色々あって切り替えた「播磨藍」は建ちがいい。

しかし、いまひとつうまくいかない。

そうSOSがあったのだ。
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藍が建ったらすぐ染められるよう、型付けしてあった反物。

「寒明け蒅」がアレだったので、昨年末以来、数か月放置せざるを得なかった。
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その後の「播磨藍」が建つやいなや、しんぼうたまらず染め始めたのは4月。

・はじめての「播磨藍」
・がまんできず、完全に建つ前に染め始めた
・いつもの岡崎木綿とは勝手の違う、ラオス・レンテン族の白生地
・型付けしてから時間が経ちすぎている 
・精錬の具合、等々

さまざまな要因が重なり、藍染め歴60年の型染師は染めに苦労していた。
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先週のこと。

「田中さん、糊伏せしてるんですね」
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新しく糊を炊いていた。
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「もう、やになっちゃったよ」
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先に薄藍で染めてみたものの、全体的に糊が落ちた。
それを補うための、修正につぐ修正。

田中紺屋のがっちり糊には、まずありえないこと。
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なぜこんなことになったのか。
御大も首をかしげる。

さらに手を酷使による腱鞘炎で指が曲がらず、仕事が思うように進まない。
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それでも、と包帯(という名の染めハギレ)を巻き、せっせと修正していた。

持ち手の壊れたカゴ同様、満身創痍である。

つい、見るに見かねてしまった。
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何が災いしたのか、何がよかったのか。
条件にもろもろの事案が重なった。

原因を探るため、あたらしい白生地がほしいが、もう有効な生地はない。
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そう。

TG忖度組合は、またやっちまった。

極秘ルートを使い、ラオス・レンテン族の白生地1反を入手。

やれやれだが、仕方ない。

「田中さん、これ1反しかないんだから、いっぺんに染めてはだめですよ。精練を変えたり、染めを変えたり、まずハギレで実験をして下さい。納得いってから本番の帯地を染めて下さい」

布を持って、この顔。

ありがとうも何にもないが、この顔でいいとする。
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そうと決まれば、問題ある反物の修正をやめることにした。
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せっかく丁寧な細かい型付けがしてあるが、あきらめて糊を落とす。

見るのもつらいが後追いはしない。
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「あのさ、レンテンの生地を藍染めする前は、ぬるま湯に漬けるといいんだよな。水ではよくないんだ。」
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へえ、そうなんですか。
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だからって。
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そのためだけに、あつらえますか。

バカでか容器。
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「奥のコンクリ水槽では間にあわないの?」と問いただしたいが、時すでに遅し。

排水口もないし、最後はどうやって湯を捨てるのか。
言いたいことはたくさんあるが、もう遅い。

知ーらない。
買っちゃった。
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長板が持ちあがらなくなったので、干し場の低い位置にサンをつけてもらったと言う。

暗すぎですが、わかりますか。
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そもそもはこちら。
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往時は、ほいほい持ち上げていた。
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リバマ御用達の大工さんに依頼し、追加のサンをつけたと言う。

真新しい、NEWサン。
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とにかく藍染めがやりたい。

年季で出来なくなったことも、なるべく出来るよう、最大限工夫したい。
その一心。
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そうこうするうちに、メンバーが集まり、近所のトンカツ屋へ移動。
TGと若い衆有志で、散会の会だ。

おしょうゆマイクで挨拶をもらう。

もぞもぞと何か言ったらしきあと、乾杯となった。
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さすがリバマのデフォルト。

なんでもかんでもたっぷり。
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色んな話をしていても、藍以外の話には1mmも乗れない御大。

ぼんやり、ふんわり。
しずかなものだ。

おとなしく食べる。
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そのキズ、どうしたんですか?

転んだか何だか覚えてないって。
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とにかくケガせず、やって下さい。

藍染めができなくなったら、どうにもならないでしょ田中さん。
これからは、、おっと、これからも大いにやって下さい。

お眠の時間だ。
さあ帰ろう。
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「その新聞、撮ったほうがいいんじゃない」って、TGより指令。

まさかの、一面「藍」ちゃん。
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うまく出来ていた。
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じゃ、ども。
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ありがとございました。



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by kerokikaku | 2017-05-31 15:28 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2017年 05月 26日
田の字
はてさて、ある日のこと。

この方も「行く」っておっしゃるものだから。
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「いちおう11時に現場でね」

松屋銀座で開催中の「菅原匠展」に行こうと、ふんわりのお約束。
TG数名も集合予定。

リバマの年ごろ的に、11時ってことは10時の開店前から並んでいるんじゃないかと。
ヘタすると、9時頃から銀座で所在なげに突っ立っているんじゃないかと。
どうせ出ないリバマホットラインのため、前日確認はしなかった。

したらば、11時の会場に居なかった。

10分経っても、30分経っても現れない。
いまさらケイタイも自宅も、何度かけても出ない。
おかしい。

どこかでスッ転んでいないか、日にちを間違えていないか。

すっかり他人となった無関係者ではあるが、何となしに気になる。

1時間近く経ち、いよいよ菅原さんに事情を説明し、もし来たら電話するよう伝言。
会場を離れようとしたその時。

「あ、ども」って。

申し訳なさのみじんもなく、ぬうっと現れた。
あきらめて帰ろうって時、このタイミング。

藍のみじんもなく、ふつうのお爺ちゃんスタイルがやや好感度。

ケイタイなんか不ケイタイで、好感度は取り消す。
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年に一度、松屋銀座展で会う、藍キチ巨星のお二人。

先だっての「寒明け蒅」談義となり、外野のTGは耳ダンボで直立する。

「まあ聞けよ」
藍染研究者でもある菅原さんは、リバマ御大を小気味よく制する。

「田中さんは気が短いからやっちゃったけどさ、オレはねちっこいからね。あの蒅をちゃんと科学的に調べたよ」と。
さすが菅原さんは、わたしでも腑に落ちる明解な分析の元、具体案も得ていた。

「でも、素人には難しい蒅だったよな」

超絶プロであるお二人さえも、手こずった今季の阿波藍の蒅。
リバマ御大なんて早々に「こりゃだめだ」と放り投げた、後の祭りの代物だ。

「染物屋は、短気と横着がいちばんよくない」

菅原さんてば、名言すぎる。

田中御大は苦笑い。
我らTGは心の中で大拍手。

リバマ紺屋の門前に書いて貼っておきたい。
「横着」はともかく「短気」は太字にしよう。

唯一の朗報として、あの後建てた「播磨藍」は調子がいい。

「阿波藍」とは微妙に勝手が違い、日々の観察の末、2か月経って「ようやく播磨藍が分かってきた」らしい。
いまこそガンガン染めたいんだ、ってお話。

しかし、じつは用布に手こずっている。
それについては、まだ言えないので、後日の報告とする。

リバマ爺、おっとリバマ御大にお中飯を食べさせ、松屋へ置き去りバイバイする。
一人で来たのだから一人で帰れるよね。
TGは大きな意味でやさしい。

MUJIカフェに移動し、TG会議。
爺、おっと、リバマ御大のアレコレを、爺抜きで相談したかった。

MUJIカフェでは「このテーブルとってます印」として、漢字札がある。
「実」「葉」「山」「木」「種」など、自然に由来する一文字がテーブルの目印。

やれやれ。

うちらって、相当やられちゃってるね。

なんでたくさんある漢字の中で「田」なわけ?

言いたくないけど、田中紺屋の「田」っぽいね。
気付きたくもなかったよね。
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田中御大不在のなか、御大の善後策を「田」のテーブルで考えるって。

もう、リバマ案件から足を洗ったんじゃなかったっけ。

洗ったよね。
きれいに洗ったよね。

おっかしいな。




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by kerokikaku | 2017-05-26 20:16 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)