カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 128 )

2015年 03月 14日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-3.5 灰ならし
道、ってタイトルでいいのかどうか。

いやいや、これこそが道っていうか。

シンクロニシティっていうか。


季節は移り春先になりましたね。

つい半月程前、あの時はまだ冬。
川口の田中紺屋にて。

囲炉裏端で灰ならしを何気にさわると「これ、オレがブッ叩いて作った」と聞いて「ふぇー」。
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囲炉裏の灰も「オレが山燃やして作った」で「ふぇー」だった。
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川口のおんじ、ハイジのおんじ。
おんじは何でもつくっちゃう。

何でもつくっちゃう、で思い出す。
そういえば去年という年は、素晴らしいおんじ(叱られる前にこう呼ぶのをやめておこう)と栗駒でも出会ったのだった。

照雄さん、どうしているかなと久々にブログ訪問をする。
GWにHPEラオス谷さんと展覧会をした、宮城栗駒・陳ケ森窯のあの鈴木照雄さん。

照雄さんブログの特長は、ご自身で筆書きした文章を撮影し、それをそのままUP。
おお、そんな手があったか!と膝を打ちたくなる、潔くニヤリとする方法。

それもいっぺんじゃなく、ひとつの投稿が数回に渡る。
時々ダブリもあるがそこは気にするところではない。

去年暮れの投稿まで繰った時「あれ?」とマウスが止まった。
「灰ならし」? 
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(画像はお借りしました)
凡庸な人生において「灰ならし」を目にする機会はそんなにないのだが、続いた。
しかも偉大なあのお二人から。

ちなみにこの回のブログ「2014年、年の瀬の近況」、ピリっときます。
耳がチクリと痛かったり、そうだそうだとコブシを挙げたくなったり。
筆書き投稿を3回位繰った後、灰ならし画像が出てきます。


さて、ブックマークをし忘れて照雄さんブログを探す場合。
お名前だけだと漢字変換が怪しいので、陳ケ森窯の「陳ケ森」と入れる。

検索1位が「秋田県由利本荘市陳ケ森」なのだ。

ふーん、って。
あなた。
ふーんじゃないよ。

川口のおんじの出生地が由利本荘市だという事実。

寒いですか。
そうでもないかな。


その数日後のこと。
「工場を片付けたらけろの好きそうなものが見つかった」と家人が言う。

そりゃなんだ、見せてごらんよ。
「古くて貴重なものだからあげないけど、見せるだけなら」と、ずいぶんな焦らしっぷりだった。

おいおいおい。
何の思し召しだろうか。

危うく失神だ。
とりあえず3歩のけぞっておいた。
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ほんもの(うそって何?)の鉄だという。
50年以上前のハツリ工具らしい。
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見た目よりずっと重い。
かわゆす。


翌日、自転車で中距離移動する。

気持ちがとろけた植栽を発見。
だだもれているね、いいかんじだね。
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もしやと思って写メ内を確認する。
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灰ならしはもはや無関係。
シンクロって言っていいのかどうかも不明。

特にオチもなく、以上です。
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by kerokikaku | 2015-03-14 01:03 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 03月 04日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-3.0 値札書き宿題
川口の田中紺屋へ。
来る5月の頒布会に向け、月一度のご機嫌伺いと相互安否確認。
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いっそ「五月田中学校」だと分かりやすい。
ここで降りてはたいへん、めちゃめちゃ手前です。

御大には、反物の値段タグ書きを命じ、おっと、お願い申し上げていた。
まだ先だし、ボチボチやっといて下さい。
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果たして、想定内の、やはり。
完璧にこなしていた。

「筆ペンとボールペン、どっちがいいか思って二種類書いたけど、どうかな」
そこですかい!と突っ込みたくなるが、ともかく。
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あれだけの正藍型染仕事を黙々とやり続けてきた職人は、手抜きを知らない。
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お宝ハギレ群も「バラバラになると厄介だから」と、彼なりにランク毎にまとめて糸で綴じてあった。

いまだから打ち明ける。
昨秋、田中昭夫の型染布に初めて出会ってから。
素晴らしい仕事に感激し、皆様にご紹介する機会を得、それなりにわかったつもりだった。
一生懸命ご案内させていただいたことは間違いない。

でも全然わかっていなかったんだよなあ。
今のほうがあの時よりも田中さんの布のすごさを思う。
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これは藍と弁柄でとか、呉(大豆)をつけて藍色を際立たせたとか、紅花でやるときには真糊を別に付けるとか。
ひとつひとつ違った色柄の反物を見て、恐れ入る。
あらためて、すごい仕事だと、しみじみ思う。

「おれも相当、バカをやったよなあ」
こちらとしても、大きく頷かざるを得ない。

そんでもって、じゅうぶんに満足げなのがスカッとしている。

情熱と執念もあるだろうが、布にはそれらを超えた清々しさしかない。
これは本人の性格の清潔さが大きい。

おーい、何やってんですか。
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どうしても染めたいときかない布。
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水色の反物がたくさんあるのだ。
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ぜんぶを濃く染めたいのだと。
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ああ、いい感じになりましたね。
でもぜんぶ染めなくっていいですよ、水色のも残しておいていいですよ。

と、そういうことじゃないらしい。

「濃く染めてさ、5月のさ、手伝いの人用に半纏を作らなきゃならない」って。

手伝いの人?
それが我々ゲリラ部隊のことだと気づくのに間が空いた。

おーい、大丈夫だから。
新しく作んなくって大丈夫だから。

こないだ奥ノ院から、もりもり発掘したじゃないですか。
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ほうら、まだたくさん、ありますから。
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田中紺屋半纏を着て、笛吹いて、ワッショイ神輿、あげるんで。
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しーらない。
言ったってきかないんだもの。
わたしは一応止めましたからね。

どうやら我々ゲリラ部隊に、悪からぬ感情を持っているようだ。
喜ばせようという厚意のような気がしなくもない。

御大、朴訥すぎて、表情からうかがい知るにはまだまだ修行が足りない。

どうせだったら
「S正藍K型染師T田中A昭夫KD今度こそ最後のHP頒布会」
SKTAKDHPを染め抜いた半纏もいいよねー。

なーんて、これっぽっちも思わなかった。

むー。
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by kerokikaku | 2015-03-04 22:42 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 02月 20日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-2.5 山を焼く
川口、田中紺屋の囲炉裏端にて。

なにげなく見ていた灰。
焼いた炭じゃなくて、その周りの灰。
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ふつう、何気なく見ますよね。
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「山を焼いて持って来た」とおっしゃる。

そう言われても「はてな?」となりますよね
こちらは何のこっちゃわからない。

田中さんはそんなわたしを意に介せず、楽しそうに話はじめた。


「秋田の同級生がさ、山を持っててさ」

「へえ(そんなこともあるだろう)」

「その山を焼いて灰を作ってさ、ドラム缶5杯分、持って帰ってきたんだよ」

「はい?」

「あの時、山火事起こしちゃったらさ、オレ、そん中に飛び込まなくっちゃならなかったな(笑)」

「はいぃぃ?」


「囲炉裏用」の灰だと思って、無邪気に聞いたわたしが間違っていた。
そりゃそうでしょう。
そもそもは「正藍染に使う灰汁用」の灰なのだ。

消石灰は使わず、あくまでも木灰を使う。
昔の藍染めはそうだったんだから。

「買っていたら、とてもじゃないけど出来ないよ」

木灰を買うとたいへんな経済になる。
あれだけの正藍染をするためには、相当量が要る。

でもここ川口じゃ木灰が作れない。
ならば実家のある秋田へ帰って作る、ということだったらしい。

でも秋田ならいいのか?
牧歌的な時代の話として伺った方がよさそうだ。

山に入り分け、トタンで枠を作り、その中でナラの生木を焼く。

「枯れた木を燃してもダメなんだよ、生木を焼かなきゃアルカリの高い良い灰はできない」

ドラム缶5杯の灰を作るにはどれだけのことか。
一晩では(山を!)焼ききれなかったそうだ。

その後、灰をドラム缶に入れてトラックに積み、秋田から川口へ運んだという。

「昔だったから出来たけど、今ならだめだろうな」

「で、でしょうねぇ。」

ちょっと、わたくしの想像を超えてしまい、生返事でしかご対応できなかった。
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「藍染めってのは、たいへんなんだよなあ(笑)」

わたしくらいになっちゃうと、「ははは」と一緒に笑うしか方法がなかった。
どうぞみなさんもご一緒に。

インディゴピュアを使わず、正藍染に憑りつかれた田中紺屋だもの。
推して知るべし。
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昨秋、田中ツアーの頃。
田中さんについて、素晴らしい正藍型染布について。
少しだけわかったつもりだった。

しかしパーソナリティについての把握が全く甘かった。

無骨だとか、頑固一徹だとか、問合せ電話に出ない(汗)とか。
ニュアンスはわかっていたつもりだったが、全然わかっていなかった。
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こういうことです。
本物がやりたくて、灰も作っちゃったわけです。

そりゃそうだわな。

ああ。
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やれやれ。

当ゲリラ関係者として、恥ずかしながら今更ながら。
田中昭夫の、正藍型染に対する執着の強さに、震える。
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by kerokikaku | 2015-02-20 18:00 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 02月 18日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-2.0 奥ノ院再び
冬の冷たい雨。
けろたん川口ひとり旅。

前回の訪問からちょうど一か月経つ。
打ち合わせと言う名の相互安否確認をする時期だ。
バレンタインチョコを忘れたことに気付いたがもう手遅れ。

川口の田中紺屋へ向かうバスの中。
つい「じゅうにがつ たなかがっこう」と読んでしまう。
正解は「しわすだ ちゅうがっこう」。ここで降りるわけではないけれど。
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あの時の皆々様が十二分に場を温めて下さったおかげで、孤高の正藍型染御大はお元気。
ナイスなことにご機嫌であった。

着くやいなや、
「5月頒布会のために値段タグを書いてくださいよ」
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傘寿の伝統工芸師である御大に、下から叱咤激励を投げかける、鬼のけろろ軍曹であった。
ひらがなでけろろ。

しばらくして「これ、染めたんだ」と布を見せてくれた。
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薄青の水玉綿型染を、そのままどぶんと藍甕で濃く染めたらしい。
何かをたくらんでいるようだった。

見回すと、見慣れぬ半纏を発見した。
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「わー、また発掘だ、いい色ですね」
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「前からあった」と強くおっしゃるシルクの半纏。
布の糸味がそのままよく出ている。
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おお、これはゼンマイ織。
昔は水弾き用にも着られたとか。
これも染めるのかな。型つけするのかな。あれれ、引退だったよな。
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こちらは科布。型はつけずに藍に染める。
科布は砧で打ってから使う。
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「ほれ、そこにある」
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はい、ございました。

そういえば、前回見つけた無地のカヤ。あれはよかった。
ざっくり、しかしすっきり清々しい藍染のカヤ。
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御大は裏へ消えてしまった。
型染師に「無地がいい」とは禁句じゃなかろうか。
以前フレームが名物の某メガネ屋へ行き「フレームレスを下さい」と言ってしまったことを思い出す。

またやっちまったか、わたし。

すると風呂敷包みを抱えて戻って来た。
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「あれよりずっとグダグダだけど、まだあるんだよ。」
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な、
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なんと。
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持ってるねー。
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グダグダなほうは糸が太い。
中古のカヤで、古裂屋でまとめた買ったものだという。
素材に目がないのが表情で分かる。
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おーい、たいへんだ、本日のミッションが進まなーい。

気を取り直し、「それとですね、5月の案内DMについても相談しようと思って」
そう言ったところ、また秘密の扉、奥ノ院へ消えてしまった。
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でーん。
過去のDMが、引き出し一杯出現してしまった。
新旧ひきこもごものDM群に、古いアルバムを見るような目になる御大。
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はからずも封印され、御大さえも知らないこのゲリラチラシ。
次回こっそり入れておこう。
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これは30年前、男前と型染の腕に一番油の乗っていた頃か。
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あらー、豪華はぎれ付。
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アバカ麻の型染も付いている。
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この時代のDMデザインが、わたくしのハートにグッときてしまった。
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両手に桶を持っているんじゃないですよ。
紺屋が手を藍に染めて、伸子を張り、甕に入りやすいよう蛇腹にした藍染布を取り出しているところです。
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30年以上前にこれを先に発見し、今度のDMを作っておきたかった、と悔やむがどうしようもない。
5月頒布会に向けての大いなる参考資料になった。

あ、どこかで見覚えのあるような。
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YES、隣室。
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ふすま紙、黒部分は藍で染め、最初は青と白。
そこに柿渋を塗ってこの市松。
なんでも自分でこさえちゃう。
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わたしが灰ならしをいじくっていたら「これ、ブッ叩いて作ったんだ」って。
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「銅をブッ叩いて、たがねで削ってオレが作った」って。
ま、ちなみに囲炉裏の枠、黒い太縁もオレが作ったんだけどね。
たしかに湯呑やつまみ置き場として、いい仕事をしている。

わたくし、やっと、だんだん、徐々に、ようやく。
今になって、この御大の性質を把握してまいりました。

何でも自分でやっちゃう。
自分でやらなきゃ気が済まない。
手を抜かない。

と、いうわけなのでしたね。
そうでした、そうでした。

そして、本日予定していたミッションは完全にストップ。
らるー。

流れで囲炉裏に座りこんでしまった。
そこでの茶飲み話。
冗談かと思ったら、大真面目だった藍染めウラ話を伺った。
それは次回へ。
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by kerokikaku | 2015-02-18 23:05 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 02月 06日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-1.0 5月開催決定
昨年秋、正藍型染師 田中昭夫の展示会があった。
川口市立アートギャラリーアトリア「川口の匠」展と同時開催、田中紺屋自宅での展示。

真っ直ぐで、頑固で、一途。
ひたすら正藍型染だけをやってきた無骨な79歳。

この偉大な職人が、人知れず引退すると知った。
慌てふためいてゲリラ活動をした経緯と顛末を、ご承知の方も多いと思う。

急きょ開催した田中紺屋展ツアーには多くの方にご参加いただいた。
いたらないことも多々あったが、ありがたいことに事情を十分ご理解いただいた。
たくさんの方がお求めもくださった。

しかし、数十年の間、真面目一辺倒に作りためた型染反物に終わりはなかった。
作ることだけに終始してきた、執念にも似た仕事ぶり。
売る方も長けていたなら、こんなことになっちゃいない。
あの時、せっかくの機会だったにもかかわらず、閉展後も「うぶだし」布が発掘される始末

引退だから、最後の展示会だから。
当然その言葉にみなさんがひきつけられた部分はあると思う。

最後と言っておいて、またどうなのか。

まだ反物はある。

まだご覧になっていない方もいる。
まだまだ知ってもらいたい。

そこで「頒布会」を開催することにした。

あの時は展示会だったが頒布もした。
こんどは頒布会だけれど展示もする。

それでどうでしょう。

まだ少し先ですが良い季節なこともあり、みなさまの手帳に早目に書き入れていただきたく、ここにお知らせします。

「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」
2015/5/21(木)22(金)23(土):DEE'S HALL(表参道)

5/21(木)初日は夕方~OPENの予定です。会期時間は決まり次第お伝えします。
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こんどこそ我がゲリラ活動のラストになる。
もちろん田中御大も川口から青山へ連日お呼びする所存だ。

実は本人ちょっとやる気になったりしたが、5月頒布会では現存の布だけにする。
まだ甕に正藍は生きている。
細々と染めはするかもしれないが、それはそれ。
長板型染は引退。
新しいものはない。
それでいいと思う。
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いちばんいい頃の、力強い、正藍型染師 田中昭夫の布がある。

―頒布品ー ※ほとんどが手引の木綿地です
・着尺(浴衣地ではありません)
・細巾帯地反物
・中巾反物
・広巾反物(カット販売可能)
・麻無地正藍反物(カット販売可能)
・座布団(5枚追加発掘)
・風呂敷
・テーブルセンター
・袋物、バッグ
・麻地のれん
・「川口の匠」カタログ


その他、写真やパネル、型紙や道具の「展示」を予定しています。
藍甕は持って来られません。
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さて、田中御大はけろ企画から宿題を課せられ、測って巻いて、今頃こんなことだろうか。

頒布会について、また随時お知らせしていきます。
どうぞしばらくお付き合い下さい。

しばらくって。
5月まで、息切れしませんように。

1月だったのにあっという間に2月。
5月なんて、更にあっちゅう間だ、きっと。

田中御大は傘寿になっているのだろうか、こんど聞いておきます。

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by kerokikaku | 2015-02-06 13:06 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 01月 23日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-0.5 顔合わせ
あにはからんや、川口の御大。

囲炉裏に火をくべ、エアコン暖房全開、茶菓子もセット済み。
まぁまぁにこやかに我々を出迎えてくれた。

我々というのは、不肖けろ企画と、最高黒幕津田千枝子のふたり。

そりゃあ津田さんは、御大とは38年のお付き合いですし、あ、今年で39年目。
そして押しも押されもせぬ型染作家。
ぽっと出の馬の骨なわたくしとはステージが違う。

この数か月かそこらで、無骨朴訥職人の信用と笑顔を、わたくしごときが得られるとは思わない。

が、

いえーい。
ニッコリ!

注:「怪訝」っぽく見えますがこれは十分「ニッコリ」の部類に入る。
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川口ギャラリーアトリア「川口の匠vol.4 麗のとき」展のカタログをゲットする。
「″けろ″はひらがな、″へ″は江戸の江でお願いします。」
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「表紙に?」とそこは怪訝だった。
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本日は、5月に都内某所で開催する「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」に向けての初回打ち合わせだ。
事務的な詳細はともかく、「いったい、あと、どんだけあるの?」確認が最大の目的。

律儀な御大は「出しといたよ」と、すべての藍染布段ボールを用意していてくれた。
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わたしは田中昭夫の型染仕事について、絶大な信用をおいている。
天地神明に誓って間違いがあろうものか。
布を見て触れるたびに、怖いぐらいの真っ直ぐな情熱と確かな仕事に畏れ入る。

しかしお言葉については、申し訳ないが疑ってかかる。
かつて奥の院よりすばらしい座布団を発掘した経緯がある。

「奥の院、もういちど見せて下さい」
「もう何にもないよ」
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「てか、あるじゃん!!」
時空の扉を開けると、またぞろ出てきた。おらおら!
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田中紺屋は白袴ではなく、豪華正藍型染半纏を制作していた。
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裏地の柄は一枚づつ違う凝りよう。股引も数枚出てきた。
こちらすべてオートクチュール。
おしゃれさんなのだ。

なんだこりゃ?
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布の販売について、田中さんはほんとうに試行錯誤していたんだなあという証拠作。
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御大自らのチクチクによる制作途中が3枚。
しかもミニスカートだぜ。
涙がでそう。

つづいて、帯地反物をカテゴリ分けし、丈を計りなおす。
津田千枝子が働く。
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田中昭夫も働く。
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御大豪華2名を働かせ、わたしは半纏を着て「似合うかな」なんつって。
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驚くことに、いや、驚くのは失礼ながら、田中御大が過去に計測して書いたサイズは、まったく間違いがなかった。
こんな人のやった仕事だもの、そうだよね。

これで頒布会についての道筋は見えてきた。
けっこう反物ありましたな。

じゃあ、そんなわけで、いよいよ走り出しますか。
準備もろもろ、それなりに大変ですが、がんばりましょう。
そうしましょう。

このあとは黒幕津田は完全黒幕に徹し、けろ企画が田中御大とがっぷり四つに組んで頒布会の準備をすることになる。

ニッコリだもの。
だいじょうぶだよね。

だいじょうぶかな。
こわくないかな。
今度からけろちゃんひとりだ、どぼちよう。

そして夕方、小雨降りぞぼる中、田中御大は外まで見送ってくれた。
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我々が角を曲がって見えなくなるまで立っていた。

手を振るでもなく、声を出すでもなく、笑うでもなく。
姿が見えなくなるまで立っていた。

こういう人って、もうね、困りますね。


S正藍K型染師T田中A昭夫KD今度こそ最後のHP頒布会
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」

あまちゃん風に「SKTAKDHP」Tシャツとかいいよね。
やっぱ正藍型染かな。
おおそうだ、御大は引退だった、そうだった。
ならばプリントで充分だ。

田中紺屋の半纏を上に羽織ったりして。
おしゃれさんだよね。
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by kerokikaku | 2015-01-23 19:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(6)
2015年 01月 22日
川口再訪
本降りの雨と寒さにご注意下さい、な冬の日。
川口くんだりまで、今年初の正藍詣で。

秋のあの日も雨だった。

田中翁は怪訝な顔でわたしを迎えた。
いや、とくに迎えてもくれなかったので、無理くりスキマから入り込んだ。

あとは皆さまご承知の通り。
すったもんだ、ジッタバッタがありまして。

紺屋展最終日。
囲炉裏端で、翁を囲んで一献の折には笑顔だった。

さて。
田中翁と正藍、本日のご機嫌はいかに。
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わたしのこと、覚えているかな。
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by kerokikaku | 2015-01-22 09:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2014年 11月 16日
第三回ツアー&田中展終了、このあとどうする?
田中展の黒幕津田千枝子より親愛なる皆様へひとこと申し上げます。

昨日、田中紺屋展は終了いたしました。
皆々様には、様々なご配慮と熱心なご指示、温かい眼差しを頂きましたこと、心からお礼申し上げます。
田中昭夫さんの長板中型職人として幕を引かれる時を、皆様とともにご一緒できたことを心から感謝しております。

今回、特に私がうれしかった事のひとつは、若い方々が多く田中さんのお仕事を見て下さったことです。
かつて 何も知らない若造だった私が、偶然 行った講習会で思いもよらぬ体験をし、今にして思えば それが自分の考え方の原点ともなっていると感じます。
そういう出会いが また 今の若い感性の中に 響いて、真っ正直で 本当のこととはどんなものであるかが、心の中に残ってくれたら嬉しいです。
田中さんが 全身全霊で追い続けてきた仕事を、記憶に留めていただけたら、この大馬鹿とも言える 大職人の仕事は、消えることはないと思います。

本当に、皆様 ありがとうございました。
津田千枝子

11/15(土)、いよいよ最後の田中ツアー。
あの人も?まさかこの人も?ヒコーキや新幹線など万障お繰り合わせのご様子。
「都内からなので近くてすみません」と恐縮している方もいましたがオーマイ、そういうことでは一切ありません。

「どちらから」「なぜ知って」と一人一人にお尋ねし、全員様へ感謝のハグをしたい気持ちをグッと抑え(されても迷惑)、川口アトリアからバス2便に分かれて田中紺屋へと移動しました。
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当局はツアー段取りを考えていた。
大人数の場合、藍場と板場を2組に分かれて交互にシャッフル見学がベター。
田中さんの興さえ乗れば各所で説明して下さるだろうと。

ライブってのは、いや、田中さんって人は、ナマモノなんですね。
「オレがいっぺんに説明する、二回もやんない」との当日発言にザワっと肝を冷やしましたが、もはやいかんとも。

藍場、板場からあふれでた皆様、田中さんの声も届かなかったでしょう。
せっかくの藍甕も長板も見られたかどうか。説明も聞こえたかどうか。帯地反物も見れたかどうか。
もちろんお茶もでませんで。

そんなバタバタにもかかわらず「こんないい機会をありがとうございました」とお帰りになる皆様の後ろ姿に、わたしの胸はいっぱいでした。
そうは見えなかったでしょうか。
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まだこんなにございましてよ。
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閉場時間が近づくと、田中翁の動きがにわかに活発化してきた。
囲炉裏に炭をくべ、出前なんか頼んじゃって。
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残った数名の方々と打ち上げ会と相成った。
これを待ってたんだな。
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津田さんより、田中紺屋の愛染明王様へ寄贈のお酒が開けられ、生きたご本尊様へ供えられる。
出身地秋田の酒とは泣かせるなあ。

花なんかはじめてだ、とまんざらでもなさそう。
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しかし宴会前には、ひとり静かに藍甕の世話をしていたのだった。
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藍はまだ生きており小さなものは染めるかもしれないが、長板も広巾も無理。
これで引退。

おかげさまで多くの方に知ってもらえて本当に良かった。
弱弱しく引退をつづり数名だけに知らせた最後の案内。
小さな花火だった。
線香花火よりもっと小さく、吹けば消えそうな。

そこに津田さんがポッと火をつけた。
大職人の最後をもう少しどうにかしたいとの思いだった。
あれよあれよで賛同を得ることができ、あちこちより火が追加され、途中火消しにも回ったが(汗)、終わってしまえば尺玉級の美しい打ち上げ花火になった。

ここに田中昭夫紺屋展の終了、川口アトリア展も終了しましたことをご報告します。
皆様のおかげです。
ありがとうございました!
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で、途中から反物がぞくぞくと発掘された経緯はご承知の通り。
根っからの職人で販売はからきし、、も美談っちゃあ美談ですが、程があると思いませんか。

引退だから、最後だから、これだけの方々が注目してくれた。
しかし"最後の展覧会を2回やる"のはルール違反だ。

でも、頒布会だったらいいですよね。
今回来られなかった方にも、ゆっくりご覧いただけなかった方にも、いいですよね。
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まだこんなにあるんです。
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掘ったら出てきました。
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じつは今回の価格は古いものだと20数年前のまま未改訂。3%消費税導入前の古いおはなし。
しかも事情があって通常よりも安くつけたままだったのでした。
いくらなんでもこれじゃあと、当局は再三田中さんに伝えましたが努力空しく間に合いませんでした。

そんな事情もあり、未来の頒布会では少し値段が上がりますことをどうかご了承いただきたい。
「え~高くなるの~」とどうかおっしゃらないで下さい。
不条理な値上げは予定していません。いままでがあまりにも安すぎたのです。
今回お求めの皆様にはその点はよくよくご承知いただいているはずです。

"値上げ”なんてデメリット情報をお伝えしましたが、非常に残念なお知らせとして、当方の性質上、悪質値上げが出来るタマでもなかろうもん。
だいたいご推察どおりでございます。

そんなわけで、当局は頒布会について動き出しています。
来年の若葉の頃、都心の広めの空間で、2-3日間の開催予定。
こちらのブログであらためてご案内申し上げます。

未来の頒布会について 朗報その1
反物(細巾反物、主に帯地)は変わらず反販売ですが、広巾に関しては切り売りを考えています。
着物は着ないけれど生地は欲しい、自分ではじっこ縫って風呂敷を作りたいと言う方(まるでわたし)には良いと思います。広巾全部ではありません。詳細は後日。※反物は浴衣向けではありません

未来の頒布会について 朗報その2
いちばん最初の出会い、38年前田中紺屋での型染講習会に当局津田が参加した際、染織研究家菅原匠氏の説明を聞いて板書した「正藍染講習会」についてまとめたもの。
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こちらをパネルでお見せしようと思います。※本人未許可
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他の参加者のほうが熱かったそうですが、じっさい家に穴を掘って藍甕を埋めて藍を建てたのは津田さんおひとりだったそうです。
そしていまや押しも押されもせぬ型染作家という数奇な必然の始まり。

未来の頒布会について その他
たった2-3日の開催ですがご来場の皆様に少しでも楽しんでいただけるようにしたいと思っています。
あ、ワークショップとかはナシです。引退なんで。
田中御大を川口からかつぎだせるかどうか、今からスケジュール調整に入ります。

別件朗報
川口アトリア「川口の匠vol.4 麗のとき」のカタログが出来ました。
正藍染田中昭夫を始め、当展4匠の仕事が出ています。
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当局でさえカタログの存在をチェックしそびれていました。
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2014/11/16現在サイトにアップはされていませんが、川口アートギャラリーアトリアに問い合わせれば1部500円(送料別)で手に入るようです。

おまけ
いまとなっては苦笑いしながらお見せできる、今回わたしがもっとも恐ろしかったモノ。
会期中のある日、田中紺屋の玄関に貼られていたという貼り紙。
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貼られた形跡を見て戦慄を覚えた。
この存在を知った夜は震えて寝られなかった。


さて長丁場、お読みいただきお疲れ様でした。
現場から以上です。
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by kerokikaku | 2014-11-16 15:41 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(16)
2014年 11月 13日
田中昭夫 掲載誌をズームしてご覧頂けます
つづきまして掲載誌のこと。

初田中ブログに掲載誌画像を載せたところ「きちんと読みたい」とのお声を多く頂戴しました。

当ゲリラ主宰津田千枝子所有「染織と生活」「きものと装い」の二誌。
いずれも35-40年前刊行のため現在では入手困難です。

このたび出版二社にご快諾頂き、関係諸氏のご厚意とご協力の元、ウェブアルバムに掲載できることになりました!
田中さんに興味を持って下さった方々へここに広くご案内いたします。
往時の雄姿と共に仕事の写真や説明が紹介されています。
古い書籍のスキャンコピーのため多少見づらい箇所がありますがご容赦下さい。

―使い方―  
① このあとの画像をクリックして下さい。
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② するとウェブアルバムへ飛びます。読みたい画像を選択して下さい。
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次に虫眼鏡ツールをクリックしてください。

※スマートフォンからだと若干マークが異なりますがこのような虫眼鏡ツールをお探し下さい。
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④ さらに画面が変わります。拡大縮小ズーム、カーソル移動も可能。
お好きなサイズで読むことが出来ます。

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それでは、以下の二誌。
まず画像をクリックし、次に虫眼鏡ツールを使ってご覧下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
季刊「染織と生活」第10号 秋 染織と生活社/1975年刊
●特集 日本の藍
 P93-105

正藍型染の工程が順を追って詳しく紹介されています。
文字部分は、染織研究家 菅原匠氏寄稿による「藍の型染」について。これは藍染をする者の必読書でありました。
型染作家 津田千枝子の"教科書"のためところどころラインが引いてありますがそのまま掲載しています。
そんないきさつも楽しみつつご覧下さい。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「きものと装い」 春夏号 主婦の友社/1980年刊
●特集 日本の藍染め
 P44-45、P81-84

工程に加えて田中さんの正藍に対する強い思いと波瀾万丈人生がお分かりいただけます。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以上、田中紺屋(屋号「紺定」)、正藍型染仕事の貴重なアーカイブです。
どうぞご一読下さい。
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by kerokikaku | 2014-11-13 17:10 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(3)
2014年 11月 12日
正藍染布について
きのうの第二回田中昭夫展ツアーにご参加のみなさまへ。
だいじな御言付けがございます。

田中さんは正藍染めについての説明書きをご用意していました。
30余年前にご自身が書かれたもののプリント。

お買上げいただいた方へはもちろん、ご参加の皆様へ渡しそびれてしまった。
ここに深く深くお詫びいたします。

「え、なんで出してなかったんですか?」
「いや、ずっとここに置いてあったよ」
全て当局の不徳の致すところでございます。

田中紺屋の正藍染布の性質、お手入れ方法についてがしっかりと記されています。
おどろきの達筆でございます。

これを機に広くご覧いただけるようサイトにアップすることで、勝手ながらこの度のお詫びにかえさせていただきます。

正藍染布について
この画像をクリックしてください。
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するとウェブアルバムに飛びます。虫眼鏡ツールをクリックしてください。
移動・拡大・縮小が可能になり、細かい文字も読むことが出来ます。
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こんな虫眼鏡や
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あんな虫眼鏡のこともあるとかないとか。
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藍は色が落ちると簡単に敬遠されがち。
そうじゃない、田中紺屋の正藍染めはほかとは違うと静かなこぶしをあげ、ひたすら研究を重ね、誇りを持って作り続けてきた様がうかがい知れます。

何ひとつうそのない仕事をやり続けるのは、言うは易し。やるは難し。
ほんとうの仕事がいいのは誰しも分かっている。そりゃあいいですよ。
そうもいかないのが世の常だし時代だしそれが悪いとも言わない。

でもやっちゃった。

こんな職人がまだいたんだなあ。
目の前に。
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―全方位業務連絡-
第二回ツアー参加丘の上から通信さんのレポートブログが素晴らしい。黒幕の津田が泣いています。
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by kerokikaku | 2014-11-12 22:45 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)