カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 115 )

2016年 12月 15日
薄藍と冬空
わたくしってば、じつは。

藍染めは、とくに好きでも嫌いでもなく。
モノによって野暮ったく見えて難しい、と、なにさま目線でスルーしてきた。

色落ちと退色も、いぶかり気味で。
そのくせ白シャツと合わせたがるので、必ず色移りし、その度に渋い心になり。

最近は、何の因果か藍ばかりに目が行く。

何があったというのだろう。

ま、あったよね。
少なからず。

谷さん×MITTAN展でもレンテン族濃藍反のMITTANシャツ、もちのろんでオーダー申した。
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トミーの青かばん、ゲットできずに歯噛みをした。
ほらあかんやろ、初日にいかんのやもん。
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世紀の黒幕ヤギ展で、数多ある名品の中で「ミャンマーのハス布に藍染」帯が、一目で気に入る。

わたしくらいになっちゃうと、帯をアタマに巻くわけもいかず逡巡した(さてなにを)。
はからずも、某たけし軍団ことTGがお求めで嬉しいやら悔しいやら、でもやっぱり嬉しかった。


それはそうとして。

お伝えのように御大こと田中紺屋の藍甕は、ただいま鋭意待機中。
寒明けの新しい蒅が届くまで、じりじり待機中。

ああ、しんぼうたまらん。

藍がギブアップなので、求める藍色が出ない。
御大はすることがない。

することがないと、何にもない。

困った。

お茶濁しの藍濁しに、三つ編み絞り染めをすすめてみたが、あんま、乗ってない。
それっきりの、そのまんまである。
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「せっかくの薄藍なんだし、半纏ウラ地みたいな薄い染め、やってくれませんか」と、下からしずしず注文しておく。
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それなりの仕事だ。
なのに「紺定」印をつけられないレベルの出来だろう。
それを承知でお願いしてみた。

「しょうがねえな、それしかないな」
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気乗りしない返事の場合、次の時は「しょうがねえ」ことが出来ている場合が5割。
意外に強打者の御大。

ひやっほう。
超かわゆすになりまして。


あ、いかん。

いろいろあって、今お見せできない。

見せられないけど、見せたい。

いや、いかん。
御大だって、しんぼうたまらん待機中だもの、わたしだってしんぼうする。

そんなわけで、薄藍の反物が出来ておりました。
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型が古くてボロボロで、染めもへったくれもあったもんじゃなくてさ。
ムラになるし糊は足りなくなるし、こんなのダメだ。

とおっしゃる。
田中昭夫の長い染め人生でも、ありえない薄藍ムラ染めで、どうにもならないご様子。

だからこその、かわゆすな逸品ができました。
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薄藍はさすがに退色しやすいのです。
うすうすのムラムラのかわゆすであっても、あっと言う間の真っ白退色では、いくらなんでもお見せできない。

まずは状態を検証し、その後お披露目します。
時々やってる、よろず「けろ企画調べ」ってやつ。

日が暮れて、ふと見るはるかな冬空。
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その冬空とクリソツな、薄藍の三つ編み染めピラピラ。
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こんぐらいの薄藍だと、どんくらいで退色するのか。
南向きの屋外と室内とに配置し、しばし検証してみます。

GOとなったらお見せします。

でもこっちは、だだ見せ。
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マッキーで書いてしもうた。
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by kerokikaku | 2016-12-15 18:50 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2016年 12月 05日
型彫り御大-その2
だって御大ってヒトは、正藍型染以外、ほんとうにやることがない。

2年前に引退したし(長板中形の着尺のことです。帯地は細々とまだやっています)、最後の展覧会も頒布会も終わったし。
あとは余生をぼちぼち、ってお話のはず。

ぼちぼち余生の99%も、結局は正藍型染。
明けても暮れても。

残る1%はご寵愛(知らんけど)のバラの手入れとか、そんな程度。
放置風。
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新規「型彫り」をせずとも、すでに相当量の型紙のストックがある。
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一般的思考として、せっかく彫った型だもの、手を変え品を変え何通りでも染めたらいいじゃないかと思う。

御大は違う。
ひとつの型でもせいぜい2-3反。
1反しか染めないこともある。

似たデザインでも彫り直すことは茶飯事。
このように。
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職人というかアーティストというか。
やれやれだが、それこそが紺定イズム。

まあいいでしょう。
12月の田中学校、はじまります。
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こんちはー。

おーい、どちらにいらっしゃいますかー?
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「中にいるけど外から見えるよ」って?
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外の道路沿いに出てみる。
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ここ、ここ。
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はい?
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わお。
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ども、正藍型染師の田中昭夫です。
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北向きじゃないと光がだめなんだ、とおっしゃる秘密の型彫り部屋。
秘密も何も、誰からもチェックされていなかった小部屋にて。
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なるほどですね。
型紙を2枚重ね、古い型のあたりを墨でつけて、修正しながら彫るんですね。
ちょっとのことでも気になれば、彫り直す性分ですよね。

むこうに見える石はもしやメノウ。
秋田の海辺で拾った文鎮がわり。
ははは。これに言及したのは、不肖けろ企画だけでしょうなあ。
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目も手もだめだと言いつつ、おとなしく彫り続ける御大。
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たいへんお静か。
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ではお邪魔にならぬよう、夏に救出した白生地の残りでも洗っときますか、ピーカンだしね。
何かの役に立つかもしれないしね。
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後日談として。
三日三晩電話し続け、やっと通じたホットラインによると。
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あの日、わたしが洗濯やら何やらを始めたことで、御大は型彫りに集中できなくなったと言う。
「悪いけど、気が散ってさ」だって。

ひーはー。
あい、すいません。
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型彫りをし始めると、他に気が回らないし回したくない。
藍や天気の具合や来客で中断されると、集中が切れる。
一気に彫らないといい型にならない。

なので以前は、彫ると決めた日は、出身地秋田あたりの温泉場に数日逗留し、こもって型紙を彫ったのだと。
大作家の缶詰と同じ。

どんだけー。

一瞬呆れるが、すかさず「これ言うと遊んでいる風にとられるけど、違うんだ」って。

でもどんだけー、とリバーマウスの中心で藍を叫ばずにいられない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

手が固く思うように彫れなくなったことで「型彫り」は中断。

しょうがないから残った薄藍でもやるか、だって。
薄藍と割り切った型染をしとけば、何かにできるでしょ。

今月はそれしかないなって。
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寒明け蒅の届く2017年吉日まで。

だよね。
正藍型染以外、ないよね。

とか言って、おもむろにハヤトウリの収穫。
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こないだの雪で、葉っぱがだめになったって。
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実はだいじょうぶそうだけど。
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ここまで、藍染めしかないヒト、他に知りません。

これだけやっても、まだおもしろいんだろうな。
楽しいんだろうな。

ああ。
おとろちいな。
あらためて。

リバーマウス、現場から以上です。

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by kerokikaku | 2016-12-05 19:23 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2016年 12月 04日
型彫り御大-その1
不肖けろ企画の雨女伝説を払拭のピーカン日和。
川口詣も早や2年越し、の感慨にふける。
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川口、リバーマウスの御大こと、正藍型染師・田中昭夫の定期安否確認は今月も続く。
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思い起こせば今春あたり。

何かに憑りつかれたようにパッションが止まらず、御大は染めて、染めて、染めまくっていた。
給食窯を駆使し、岡崎木綿を100反以上も精錬して、染め準備も万端だった。
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うちらは唖然。
これから100反、やる気ですかい。
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ネコがネズミを銜えてニャーと見せに来るかのごとく、毎月伺うたびに新作が上がっていた。
怖いぐらいの勢いだった。
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引退宣言した後いろいろありまして(にがわらい)。
「最後」の展示会も「最後」の頒布会も終わったってのに。

『おめえさんてばよぉ、何ーんも考えず、ただひたすら、心のままに染めてるな』
TGこと田中応援団ゲリラガールズ一同の、心よりの声。

さあて、どうすっぺか。
おら知らねえぞ。

でもずっとそうやってきたんですもんね。
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たいへんいいことです。
御大の精神衛生上は。

いいことなんですが、ちょっと急いてはいませんかね、御大さんよう。
息切れして調子を崩しては元も子もないんですから。

との心配はご無用であった。

ご自身はお元気そのもの。
それなりにアチコチが悪いとおっしゃるものの、まあ元気。

そのかわり藍がギブアップした。
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一年に一度、阿波徳島の藍屋から蒅を2俵取寄せている。

おととしは「引退」ってことで、注文しなかった。
今では、これも苦笑いの事実だ。

去年慌てて注文を再開した。
それが一定の染め量オーバーとみえて、藍が濃くならなくなった。

江戸期の蚊帳生地はそれでも良く染まってくれたが、木綿に関しては納得がいかなくなってしまった。
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しょうがないので三つ編み絞り染めを提案。
ヒマジンになってぼんやりしないよう、宿題を出してはお茶を濁した。
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合間に「豪華ハギレ」と言う名のお宝布の発掘があった。
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なんで今まで仕舞い込んでいたんですか!と声を荒げつつも、ニヤニヤが止まらぬ洗濯婆な夏だった。
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10月の青山TOBICHI2。
H.P.Eのレンテン白生地GET大作戦もつつがなく終わった。
その精錬はとっくにやっちゃった。
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そして、型染が本分の御大はやることがない。
途中、追加の蒅を所望し、運よく届いたが、その量では間に合わない。

寒明け蒅を、指折り数え、じっと我慢の子である。

「ちなみにいま何してますか」とお尋ねホットラインをかける。
めったに通じないケイタイが、奇跡的に一発で通じた。

「型彫りしてる」とのこと。

そりゃいい。
一度も拝見したことがない。

長板中形の職人として、型染は当然だが、「型彫り」から一貫して行うのは、泣いても笑っても田中昭夫が世界中でただひとり。
江戸時代にはもうちょっといたと思われます。

ご機嫌伺いと称し、いそいそと伺う。
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続きます。
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by kerokikaku | 2016-12-04 17:34 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 10月 22日
御大SOS、一転TOBICHI
H.P.E谷由起子の布×MITTAN」展の初日。
けろ企画は所用で行かれない。

黒幕こと津田千枝子を遠隔アゴで使い、拝借した画像をもとに、妄想レポートをお届けします。
だって、わたし、見てないもん。

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数日前からにわかに沸き上がった「正藍型染師 田中昭夫、TOBICHIへ行く」企画。
レンテン族の白生地が出るのなら、何を置いても御大に買わせたい。

100反あるうち、黒85反・青5反・白は10反。
MITTANに服を仕立ててもらうもよし、自由に使うもよし、果ては使わないもよし。

御大は、この白生地がどうしても欲しい。
もちろん型染め用布として。
さらに自分の目で確かめたい。

御目にかなう用布を探すのは非常に困難。
手紡手織の綿生地は、手元にもうない。

一度この生地を型染めしたことがあった。
「木綿がよく熟していていい生地だ」と目を細めていた。

2014年の田中紺屋展に、谷さんと栗駒の鈴木照雄さんが訪問していたのは、知る人ぞ知る事実。
しかし生地を手に入れる機会はなかった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月20日(木)、TOBICHI展初日。

OPENよりずっと早い時間、会場に黒幕が並ぶ。

一番乗りのつもりが、まさかの3組目だったという。
おそるべしTOBICHI狂想曲。
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並んでいる面々は、見知った顔ばかり。
敵は身近にいた。

どなたさまも一律、ぬけがけ禁止の、公平で美しい眺め。

さて、場所を知らない御大を、表参道駅へ確保しに行く。
え、どこ?
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いた!
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紺定印の半纏を抱え、股引、型染古代麻のかばん、という気合の正装だ。

待ち合わせ1時間前に着いたという。
もし御大ご本人に並ばせていたら1番乗りだった、って後の祭り。

TOBICHIまでご案内し、行列に加わる。
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みんなー、生の御大だよ、レンテンの白生地、ゆずってあげようね。
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いや、そればっかりはちょっと。
だめですよ、順番ですよ。
そうよ、並んだ順よね。
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御大:あの白生地さ、先にどうにかならないですか?
谷さん:ならないですねえ。
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OPENと同時に、いざ入場。

よし、いいぞ、がんばれ、御大、行け!
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いちおう、選定させていただく。
いくらレンテン族の白生地とはいえ、気に入るものをしかと吟味したい。
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実は行列時、オトナの談合により選定の優先権を得ていた御大。
先ほどの敵は、愛すべき味方であったと判明。

ひいふうみい、5反ゲット。
わーい、わーい、これで型染が出来るぞ、ウレシイな。
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では、会場内パトロール。
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いい布には目がないんでね。
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お目当ての白生地ゲット後で、余裕しゃくしゃくのショッピングタイム。
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谷さん:うちの生地どうですか?
御大:ああ、いいですよ。
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MITTAN:はじめまして、感激です。ボク、御大の生地持ってます。
御大:いとへん末っ子男子だもんな、オレたち。
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お客様:わあ、お目にかかれて光栄です。御大の布でワンピース手作りしたんです。
御大:うん、そうか。
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たぶん御大は、誰だかわからず糸井さんとパチリ。
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あのツアーの若い衆も参上してくれて。

やれやれ。
御大にとっての大旅行は、おかげ様で終了。
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各方面の皆々様。
このたびは多大なるご協力とご配慮をありがとうございました。
田中御大になり代わり、高いところから伏して感謝申し上げます。
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さあて、早く帰って、布の精錬しないとな。
藍の面倒も見ないとな。


~反転の一転の大回転~

あの後、御大の藍甕は大きいため、届いた蒅では足りないことが分かった。
来年寒明けの阿波蒅を待つことになる。
「紺定」として先走った染め仕事をしてはならない。
来るべき佳き日に備え、ひたすら震えて待つ田中昭夫御大である。

※レンテン族の白生地が欲しい!という方へ
下のコメント欄に今後の生地の行方が投稿されていますので参考になさってください。
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by kerokikaku | 2016-10-22 21:54 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(9)
2016年 10月 22日
御大SOS、からの反転
そうだ。
いじっていない保留ハギレがあった。
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オレンジ色の、たぶんタイ産の手紡手織の綿。
このままだと食えないが、藍に染めると緑がかったいい色になる。
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この反物はなんだ?
キャンバス地のようなみっちり高密度の綿生地が2反。
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グレーの中に型付けのあとがうっすら見える。
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大昔、鳶の棟梁からの注文品で途中やり。
半纏用らしく紋が入っている。
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松の煤「松煙」を使って墨染めしたもの。

これだよ。
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松煙は手に付くからたいへんなんだ。
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パッケージを撮ろうにも、さわる勇気なし。
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ほら、手が真っ黒だ。
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墨染めはさ、松煙と膠を混ぜてさ、豆汁も使うんだよな。
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なるほど。
この反物はそっとしておきましょう。

それ以外、このあたりを無地染めしてもらっていいですか?
しばし、お茶濁しのためにも。
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うん、しょうがねえな。
他にやれることもないしな。
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とりあえずの宿題を作ったところで、御大宅をあとにする。
そうしておかないと、困ったちゃん。


翌日電話が鳴った。
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「藍が届いてさ、早かったなあ。そんでもう仕込んだよ」
おとといのしょぼくれた声色とは別人の弾んだ声だった。

田中御大の性質を熟知した、藍師のステキな計らい。

いつもの1/4量だったが、当座の型染めには間に合うかもしれない。
とにかく嬉しくて仕方がない。

「これで寿命が伸びましたね!」
ブラックぎりぎりの感想を述べる。
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で、まあお察し通り。
宿題の「無地染め」は保留決定。
正藍型染めが出来るのなら、それが本分なんです。


そこへ黒幕より、緊急速報!

10/20(木)からのTOBICHI②にて。
ラオスH.P.E谷さん×MITTANの展示会で、レンテン族の白生地が10反出るという。
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御大からすれば、喉から手の出る谷さんの白生地。
残りの型染人生、どうせならH.P.Eの生地に染めてもらいたい。
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栗駒の次はTOBICHI狂想曲か。
その日、わたしは所用で行かれない。

頼りになるのは、いつだって我らが黒幕。
御大のため、初日数時間前に並ぶと言う。

「津田さんが並んで下さるそうですよ」
その旨を伝えると「オレも行く」と即答。

去年5月のDEE'S HALL展以来の外出ってやつ。
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新しい藍が手に入り、御大のやる気ブレーカーは発火寸前のタイミング。
いい藍をいい生地に染めたい、その一心。

いくら御大&黒幕でも、事前ぬけがけは許されない。
魑魅魍魎のライバル達が跋扈する、という不穏な情報も入手し、万事休す。


谷さんの白生地のため。

シロヤギとクロマクが並ぶ。


こんな有事に、けろ企画はまさかの高みの見物。

続きます。
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by kerokikaku | 2016-10-22 10:02 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 10月 21日
御大SOS、藍が困った
川口の正藍型染師・田中昭夫御大から、めったにない着信。

声色は良くない。
お身体が悪いのかと焦る。

「あのさ、藍がだめでさ。染めができないんだよ」

今年はじめに徳島から取り寄せた正藍の調子が良くないと言う。
藍の具合が悪い=御大の具合もチョー悪いのだった。

意気消沈はなはだしい。
わたしにこぼすぐらいだから、困り切ってどぼちよ状態だ。

おいらが逆立ちしたって藍は治らないが、お話を伺うことは出来る。
すぐさま川口へ。
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コスモス畑のおねえちゃんを眺めている場合ではない。
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「こんちわ、だいじょうぶですかー?」
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白生地が干してあるじゃない。
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耳付きの岡崎木綿、ラスト数反の準備、してるじゃない。
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だめなんだ。
全然濃くならないんだよ。
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勢いづいて春に染めまくった結果、たぶん藍がへたったのだろう。
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実はね、ちょっと不安だったんですよ。
ペースダウンしなくていいのかなって。

これぐらいのコントラストが欲しいのに、がんばってもこの水色より薄くしかならない。
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型付けは着々と進んでいるが、藍がだめだとココ止まりなんでね。
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徳島の正藍の蒅、今期分は早くても年明け、寒の頃になる。
ダメもとで藍師に連絡をとることにした。

ほかの手段はない。
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去年分の在庫が少しあるかどうか、とのこと。
探して、もしあったら送ります。
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なくて元々。
うすい期待で待ちましょう、と御大をなだめすかす。
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困ったことに、この御大。

藍染め仕事がないと、何にもやることがない。
数日放置すれば、ぼんやり老人になりかねない。

手持無沙汰で懐かしの「銀花」を眺めている。
この号、おもちゃ絵特集ですけど。

オレもさ、なんであるのか分からないんだよ。
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そだね。
なんで御大ん家にあるのかね。
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バラバラ事件になってるしね。
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わお、まさかの阿波藍特集。
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蒅作りでも見て、気を落ち着かせるつもりか。
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はたまた、いらだたせるのか。
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いやー、ここらへんの特集は、あたくしの垂涎ページですよ。
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昔の仕事って、ため息は出ても言葉が出ないですねー。
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なーんて、粗茶をしばきつつお茶を濁していた矢先。
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あ、オレだ。
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いやはや田中昭夫、最初で最後の本「唐草染布帖」じゃないですか。
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昭和50年・三彩工芸刊、もちろん絶版。
田中応援団の藤本均氏は、広告を載せて下さっていた。
銀花に載せていたってことは、他の関連誌にもと推測する。

時空を超えて、藤本氏のご尽力に感謝する御大であった。

「だからうちにあったのか」だって。
いまですかい、気付いたの。
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型染めにふさわしい藍ではないが、無地染めならできるという。
じゃ、それ用の布でも用意するか。

無地染めでもなんでも、やることないと呆けちゃうでしょ、御大ってヒトは。

科布1反、いいのあるじゃない、と思ったら
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よく見れば虫食い穴ぼこ。
これだって無地染めしたらいいんでねえの?
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例の蚊帳生地も、豆汁をつけて仕上げたら、こんなにいい具合になった。

ヨカッタ、最高の藍無地が出来上がった。
でもこれも終わっちゃった。
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他の手で御大をなだめねばならない。

続きます。
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by kerokikaku | 2016-10-21 10:33 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 10月 11日
座布団カバーを作る
作る、なんてエラそうに。

じゃーっと縫っただけ。
ただの直線、チャックなし。

天高く、以下省略。
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リバティ生地をじゃーっと縫い、汗と涙と何かのしみ込んだ枕カバー。
臀部に敷けば、お座布団にも変貌するすぐれもの。

10余年前は赤だったと、見る影もなく、色褪せもかくや。
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そうだ、御大の座布団カバーがあるじゃないか。

御大の型染めに鳩車を発見した時は嬉しかった。
とっくに死んだお爺ちゃんが長野出身で、お土産にもらったのが懐かしい。
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入れ替え完了。
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ぱっくり開いた口は、正藍染めの木綿糸で綴る。
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やれやれ、目のカスミめ。
近眼がさらに進んだ、と思いたい。
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みじんぎりも、小口切りも、まつり縫いも、人間関係も、何だってざっくり。

ブラックジャックをオマージュするお座布団、一丁上がり。
苗族にだけはお嫁に行けない。
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なんか、一個だと、さみしい。
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そうだ、うちには御大ハギレがあるじゃないか。

あの頃、田中染布の通販サイトを立ち上げ、2日目の夜になってから「もう先取りじゃないからいいよね」と、自分でも購入したカット布。

風呂敷を作った後の、菊と牡丹のハギレをつなげる。
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ウラは適宜接ぐ。
レイアウトに問題があるのは承知だが、いつの日かほどくとし、先を急ぎたい。
いちおうどれも御大布、ということに意義を持ちたい。
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紗綾形も50cmあったっけ。
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はじっこ処理するも、捨てられない。
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これを捨てると、お天道様と、各方面から叱られますゆえ。
あれに見えるは科布の糸端。
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じゃーん。
お座布団、3丁上がり。

あわわ、

どぼちよう。

ウィンター仕様の背景とのマッチングが、悪すぎて、濃ゆくて、暑い。
冬に向けてでなく、夏に向けるべきだった。
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どぼちよう。
折り曲げるにも生地が足らず、お口ぱっくり子。
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そうだ。
H.P.Eのお座布団はどうなってたっけ。

谷さんがむきむきっと出したのはホンモノのワタでした。
当方、ユザワヤのポリ綿使用なのがタマにキズ。
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困った。
こおゆうヒモ、ない。
作れない。
綯えない。
正藍染め木綿糸も足りない。
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GSSで、手ごろなの、見たような、売っちゃったような。

あいたたた。
ひと晩考えます。


つけたし:
魔法のビンのあっち側には
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H.P.Eの糸端が、ぴらぴらっとな。
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by kerokikaku | 2016-10-11 22:01 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2016年 09月 30日
型染師と絞り染めーその2
ハギレを三つ編み。
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たったそれだけ。
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大のオトナが3人かかって
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からまるからまる。
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船頭多すぎて、息のあわないことったら。
おかしすぎて手が震え、腰が砕ける。
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やれやれ、わたしはイチ抜けさせていただく。
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御大ってヒトはね、結局ヒトに任せられないんだよね。
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四つ編みになった三つ編みを、君たち二人でなんとかしたまえ。
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最終形は、正藍染めして、こうしたい。
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2本目からは力を合わせず各々が三つ編みし、平和を維持。

どうにかこうにか、6本出来まして
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一旦水に漬けて、引き上げて水を絞る。
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女子部の絞りは非力で甘い。
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御大としては気に入りませんで、すかさず修正が入る。
ははは。
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藍のご機嫌はいかがかな。
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まあまあ、よかろうもん。
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カゴを用意し
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棒を渡し
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藍甕に沈め
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ぜんぶの三つ編みをジャボンかと思いきや、1本ずつ、そおっと。
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5分染めを3セット。
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その度にギュウギュウ絞り、ぶら下げて酸化させる。
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締め上げが足りませんですと。
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御大からすると、ま、気が気じゃないですよね。
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水にとって、すすぐとこんな感じ。
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ひと晩水につけて、また明日も同じ工程を重ね、思った藍色まで染める。

って、我々は来ないんで、続きは御大がやるってこと?
ですよね。

結局、御大のお手を煩わせたような。
ま、いっか。

彼岸過ぎると日暮れが早くてイケナイ。
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~オッタマゲオマケ情報~

おもむろに干されていた大座布団。
こんないいものがあったなんて、聞いてない。
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藍無地のような、うっすら格子柄が透けるような。
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たっぷりの真綿が詰まっていて
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おいおい、まさかのウラ使い!?
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しかも広幅、ナナメ格子で、超お宝布じゃないの。

アロハシャツをウラ使いするのはよくある話ですけど、こんなのアリなの?
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こたつの下に敷いてるんだって。
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豪儀すぎ。
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by kerokikaku | 2016-09-30 15:38 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 09月 29日
型染師と絞り染めーその1
降りも降ったりこの9月。
そして毎度おなじみの川口定期訪問。
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御大こと正藍型染師・田中昭夫は、型染め仕事が出来ず、たいそうイラっちの日々。

不穏な9月田中学校の幕開けだ。
※念のため、ここで降りても御大は居ません。
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お宅に着き、目を疑う。

わわっ。

我々以外に、家捜し強盗が入ったんですか!?
ナニゴト?
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前回すべてのストックを整理チェック、きれいにまとめ上げたのが、ひっちゃかめっちゃか。

聞けば、Yシャツが見当たらず、全部開けたと。
しかし見つからず、近所のお通夜に行けなかった。
と、こっちを恨めしく見る。

いやいやいや。
ここにYシャツはないですし、せっかく整理したのに、なにゆえここまで散らけるんですか。
と、あっちを恨めしく見る。

不穏な予感的中。
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気を取り直し。

大風呂敷に数十年仕舞われていた、あのカヤ生地
江戸期の手仕事、手績み手織りのお宝生地。
それを藍無地に染めてもらうよう依頼してあった。
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「なんべん染めても同じ色にならない!」

雨ばかりで染めに10日もかかるわ、同じ色にならないわ。
もう嫌になったと、嘆きとも怒りともとれるSOSが入っていた。

御大の本分からすると、バラバラ染色はアウトなのだ。

こちとら、それは承知。
作り手が1枚ずつ違う布だし、いっそそれが面白い。
帯地にならない生地なのも承知。

寝かせてあるなら、御大の手で正藍無地に染めてもらい、その後に扱いを考えたい。

と、いうことを理解してもらうのにどれだけ時間がかかったことか。

これでいいのかどうか、御大には判断つかないと言う。
仕上げ前に確認してくれと、置いてあった。
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一瞥で「100点満点です!」と、不肖けろ企画が、大いに褒めてつかわす。

すると御大はふにゃりと笑い「じゃ、豆汁を入れて仕上げるかな」と安堵のご様子。

不穏なご機嫌、急速回復。
褒められて伸びるタイプ。

しめしめ。
型染師に依頼した無地染め企画、大成功。
いいでしょ。サイコーでしょ。

さて、何にするか、どうしようかと、ウレシイ悩みが発生する。
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それはそうと、雨ばかりでカヤ生地以外の仕事がやれなかった。
型染めは天気じゃないと出来ない。

完全無趣味で仕事以外にやることのない御大は、どうしていたのたか。
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「しょうがないからさ、岡崎木綿のハギレで絞り染めをして遊んでた」って。

これで何か作れるかな、とマーケティングを視野のビックリ発言。
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絞り染め開業ですか?と言ったら笑っていた。
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そう、我々も、岡崎木綿ハギレで三つ編み絞り染めが目的だった。
たくさん白ハギレがあるので、何か出来ないかと、試行錯誤の回。
ああ見えて予行演習をしてくれていたのかもしれない。
御大には、けっこう、そういうトコロがある。
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布茶も合流し、ハギレの三つ編み作業にかかる。

壁に布端をひっかけて
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息を合わせて、あっちへ、こっちへ。
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あ、御大の手の絆創膏は、ひっ転んですりむいた痕。
会うたびに、御大の足元のおぼつかなさが気になっている昨今である。

やることなすこと、わりと大仰なのが心配。
仕事ぶりは、ご承知のように相当細かいんだけどなあ。

続きます。

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by kerokikaku | 2016-09-29 13:58 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 09月 05日
ビバ、オオカミ老年-その2
ええ、お察し通り。
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また出ました。

バツが悪すぎ。

てへ。
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「だって、聞いてこないからさ」と、御大は一切悪びれもせず。
よくもまあ、けろ様の前でケロッと。

染布も白生地も「これ以上ない」って言ったでしょうが!
捜索&救出も一緒にしたわけですから。

それ以上、何を、どうやって、聞くんですかぁぁ!!!!

と、心で吠えるに留めておく。

さあ、本人に、キッチリ説明してもらおうか。
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45年程前、田中昭夫30代後半。
それまでの合成藍を一切やめ、阿波蒅の正藍型染師としてやっていこうと決心した頃。

若かった田中昭夫の応援団・三彩工芸の藤本均氏が、韓国の手引き木綿布を田中に渡した。
「これに染めてみろ」という腕試しだったらしい。

染め上がった布を、藤本氏へ送り返した。
何かの展示に出したらしいが、しばらくして田中紺屋へ戻ってきた。

それっきり、風呂敷に包んでポン。
板場の陰に置きっぱだったことを、ふと思い出したのだろう。

ハギレさえ喜ぶ我々を見て、自分の布の貴重さにようやく気付いたか。

おーい、今頃ですかい!
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ま、いいでしょう。
ギリ、間に合ったと喜ぶべきだ。


あの時代の韓国手引き布は、それぞれが違う手。
どれも糸味が抜群にいい。

もうないです。
ない、と言うのは、この手の生地はもう手に入らないということです。
あの蚊帳生地しかり。
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最も初期の正藍型染がこの力強さ。
藤本氏は応援の甲斐があっただろう。

夢中で走っている若い田中昭夫のエネルギーが、ビンビン伝わってくる。

これって、お宝って言うんですよ、田中さん!
覚えといてね。

数十年置きっぱのせいか、都合よくヴィンテージ風味を帯びていた。
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長さや生地巾が帯に微妙に足りない。
が、何とかしよう。
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そして埃っぽい。

洗いましょう。
本日の目的は洗濯だったっけね。
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「もうゼッタイないよね?あったら出してね!」
と、これで100万遍目の念を押したが「ないよ」と、いつものお返事。
申し訳ないですが、信用しかねます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

賢明で、親愛で、寛容なる、全国一千万の田中紺屋「紺定」ファンの皆様へ。

どうか、お見限りなきよう。
本人、ぜんぜん、オオカミ少年のつもりじゃないんです。

反物については完全把握しているんです。

それ以外の、端布や、仕掛品や、別注品や、誰かの手に一度渡った布に関して。
一様に意識が低すぎるのが、チャームでウィークなポイント。

が、ちびたハギレひとつを取っても、ご承知の通り、手抜きのない仕事なんで。
そこは重々、なにとぞ。
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オオカミ老年、ここにあり。

もしまだお宝布があるのなら。

怒らないから早めに出しといて、と言いたい。
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by kerokikaku | 2016-09-05 00:46 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)