カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 115 )

2016年 09月 04日
ビバ、オオカミ老年-その1
わたしくらいになっちゃうと。
川口までの通勤定期を買った方がいいのでしょうか。
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雨女疑惑を払拭したこの夏、何度目かの川口来訪。
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しばらくは、あの日救出した大群のお宝布を洗うのが目的。
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量からして数日に渡ることは覚悟の上。
晴れた日にガーッと洗わないと終わらない。

まとまった大きさの藍無地や白生地もあり。
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「お仕事の邪魔にならないよう、わたしがやりますから」と申し上げるが、毎度じっとしていられない81歳。
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洗濯の合間に、江戸期らしき蚊帳生地の端っこミシンは、不肖あたくしが。

こうしておけば、染めの時に端がピロピロせずに按配が良い。
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やってもやってもオワランチ。
嬉し涙がちょちょぎれる。
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すると「あのさ、こんなのあってさ」と、御大が近づいてきた。

白い大きな包みから、フツーに、フツーに、型染反物がゴロゴロ出てきた。
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「はいぃ??」
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親愛なるみなさま。

お願いします、呆れないで。

どうかこの後、説明させてください。
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by kerokikaku | 2016-09-04 13:21 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 30日
型染師に無地染めを依頼する-その2
電気屋さんは夕方にならないと来られないと言う。
暗闇アイロンは出来ない。

仕方あるまい。
電源を求めて、エアコンのない板場へ移動する。
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我々の作業ツナギ姿も、いよいよ板についてきた。
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どうやらこの蚊帳生地。

手績み、手織りということから推測すると、明治以前の大麻の布。

私たちが知っている緑色の蚊帳生地とは別モノのビンテージ。
まさに骨董布。
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紡績糸が出現してきた、昭和・大正時代ではないと見る。
江戸時代であっても不思議はない。

一枚ずつ、作り手が違う。
糸の色も、織り味も違う。
違うと言うのは、触ればわかる。
良さが違う。

日本昔話のようなおばあちゃん達が、農閑期に作ったのだろうなあと夢想。
おばあちゃん、と決めつけてもいけないけれど。

売るためなのか、自分ちのためなのか。
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よく見ると、ところどころ糸飛びがある。
どこかへ売るためのB反C反にもならず、放られた布かもしれない。

古民芸もりたさんを経由し、田中紺屋に届き、ずっと寝かされ、100年以上経って日の目を見る瞬間だ。
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せっせとアイロンし、新着の芯棒に巻き、ひいふうみい。
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お宝布、29反ございました。

ひーはー。
なんでも仰山、お持ちなんですね。
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型染師に藍無地を頼むのは、フレームが売りのメガネ屋でフチナシメガネを頼むようなことだろうか。

いや。
それとは違う。

藍無地と言っても、そんじょそこらの、ただの藍無地ではない。

阿波蒅たっぷりの、田中紺屋「紺定」の正藍無地染め。
生地は、江戸時代かという手績み手織りの蚊帳生地。

何の問題があろうか。

藍無地に染め上がったことをイマジンし、ほくそ笑む。
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さて、その前に、端ミシンをせねばなりませんな。

ロックミシンの準備をしてもらおう。
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「わたしがやりますから」と言う割には、いつだって御大が働いている気が。
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電気屋さんにブレーカーを直してもらい、いつの間にか日が暮れかかる。
端ミシン仕事は、あらためて出直すことにする。

そうそう。
蚊帳生地の横にそっと置いてあった新作帯地。
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御大は「出来たから、見て」とは決して言わない。
我々が気付くところにそっと置き、黙っている。

ちゃーんと気付いてましたってば。

おお。
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今回のは、なかなかいいじゃない。
今回のも、だけどね。
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型も違い、染めもその度同じではないし、気候も、そしてさすがに体調も。
その中で一定の高クオリティを保つ。

これなんか、帯になったらステキだよね。
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よしよし、上出来ですな。

と申し上げたら、ニヤニヤした。
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また近いうちに端ミシンに来ます。

そしたらさ、ホンモノの蚊帳生地を、ホンモノの正藍無地に染めて下さいな。
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by kerokikaku | 2016-08-30 17:56 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 29日
型染師に無地染めを依頼する-その1
川口の御大こと正藍型染師 田中昭夫。

岡崎木綿のでっかいロールをおろして切って精錬して。
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染下を100反用意している81歳。
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いつお邪魔しても仕掛かり品がぶらさがっている。
着々と帯地の型染めを進めている。
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ちょ、ちょっと待て。
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降っても晴れても、まだ暑い日々。
御寵愛のバラさえも枯山水。
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染めたいお気持ちは重々理解だが、やりすぎは体に毒です。

たまにはこんなのどうですか、と。
ブレイク推奨の意味も込めて、謹んでご提案。

ねえねえ、古民芸もりたさんで大昔に求めたという蚊帳生地、あったでしょう?
冬に一度見せてくれたでしょう?
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大風呂敷に満タン。
丸まったまま、手つかず数十年のお宝生地。
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あれを無地に染めるって、どおですか?
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型染師に「無地を染めて」って。
この一言を申し上げるのに、どんだけ躊躇したことか。
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「型染めもやって、蚊帳生地の無地染めもやったら、カラダがもたないよ」と、たいそうブツブツおっしゃっていた。
だから、型染めを暫時ブレイクして、と申し上げているのだが。

その数週後「こんにちはー」とお邪魔する。

返事がない。
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じゃーん。
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やってくれたじゃない。

蚊帳生地が精錬してあった。
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その時はブツブツ言っても、その後腑に落ちてくれれば、必ずやってくれる。
頑固一徹、でも柔軟なのがチャームポイント。

生地端のピロピロを切っていた。
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すかさず「ゴミ箱に入れたピロピロ、捨てないでください」と申し上げる。
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8月初め、藍染めハギレをアイロンがけした時。
生地を巻く芯棒がなく、そこらにあった厚紙で芯棒の代用としたのだった。
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「200本、注文しておいた」って。

やることなすこと、豪儀なんです、この御大。
染下白生地100反も視野なのか。
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芯棒に巻いてはみたが、デコボコ蚊帳地はそのまま染められない。

「アイロンで平らにして、ピロピロが出ないよう端ミシンもかけなきゃなんない」って。

やります、やります。
無地染めして頂けるなら、アイロンでもミシンでも、喜んでやります。
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わたしと黒幕2人、アイロン2台にスイッチを入れた途端。

停電。

万事休す。
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続きます。
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by kerokikaku | 2016-08-29 11:14 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 19日
科布ハギレの整理を承って、それからどうした-2
できることからコツコツと。
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ローガンを怪しみつつ。
オリンピックさえ忘れて。

毎晩少しづつ、端っこを綴じまくり、ようやくミッション完了。

御大がかけたロックミシン部分はそのままとする。
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これだけでは終わらない。
完成までだと、千里の道の2歩目くらい。

これらをつなげる必要がある。
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やり方が合っているのかがわからない。
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とりあえず見本を作り、川口の御大に見せてみよう。
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あのですね。
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この前、持ち帰った科布のハギレなんですけど。
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小さいのをつなげてみたんですけど。
型付けして染めてもらえますか?
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御大は、困ったような、苦笑いで答えた。

「継ぎ目のスキマに糊がはいって、やりにくいな」
「出来なくないけど、スキマの穴を埋めなきゃだめだ」
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ははーん。

さすがに無下には断れない様子。

「出来なくない」って言ったね。
「出来る」ってことですね。

埋めます、埋めます、埋めますとも。

スキマを埋めるって、こういうことでしょうか?
スキマ委員会設立。

らーん。
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現段階ではステキ度が最低レベルだが、見た目は二の次だ。
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型染め後の完成予想図はこちら。

当スキマ委員会は、これらのミニミニ版を夢想します。
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てか、敷いてあるこの染布だって、レスキューしたんだもんね。
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我々はレスキュー眼に自信がある。
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救う神あれば、染める神あり。

上等の生平麻、ぜんまい布、そして科布のハギレ、一旦完了。
では現場にお返しします。

御大は、染めを断る理由が見当たるまい。
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ここだけの話。

ヤール幅の岡崎木綿。
帯地反物を切り取って、のこったハギレ。
画像手前の細いヒモの山のこと。
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気まぐれで、これらが正藍染めしてあるのを見逃さなかった。
用途未定、と御大にカクニンした。

レスキュー魂が再燃。

誰も救ってほしいって言ってないけど、いいとする。
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ポッケから溢れんばかりガバッと持ち帰る。

「お借りします」といちおう了解済み。
なので、後日返します。

但し、同じ形状で返すとも限らないが、いいとする。

わるいようには、いたしません。
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酷暑のアイロンがけには意味がある。

我々は、これらを有効どげんか活用する自信がある。
いい仕事をしている予感でいっぱい。
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御大だけは、何もしらない。
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by kerokikaku | 2016-08-19 22:22 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2016年 08月 18日
科布ハギレの整理を承って、それからどうした-1
帰省しない盆こそ、保留案件をやっつけるチャンス。

歯医者の予約をとるとか、部屋の片づけとか、スケキヨ様にお目にかかるとか。
ああ、忙しい。
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6月末。
自主承りした科布案件も、いい加減どげんかせんといかん。
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川口の御大宅で、完全に家探し強盗まがい。
レスキューしてきた、科布&生平麻&ぜんまい布のハギレ。
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我らが救わず、誰が救う。
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アイロンはかけました。
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しかし、ここのペロペロを
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せめてこうしないと、御大に染めてもらえない。
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泣いても笑っても、これにて科布は終了。
超ミニミニ科布ハギレ。

このように染めてもらえるよう、レベルUPしたい。
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あー、困った。
ぎょうさん、あるがな。
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不器用組合の会長は、ハギレを前に途方に暮れる。

気を取り直し、針と糸を持った。
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はっ。
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けろたん、ひらめいた。
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洗濯時に抜けた糸。
捨てずにとってございました。
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この糸で綴じたら、よかろうもん?
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よか
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ばい?
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お目めの焦点が合いづらい。
加齢のせいではなく、過労もしくは麦とホップのせいに違いない。
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やってもやっても、ちーとも終わりません。
ようやく半分。
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やれやれ。
お盆ミッションは、けっこうヒーハーだった。

続きます。
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by kerokikaku | 2016-08-18 21:35 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 09日
8月のアイロンーその2
8月のアイロンに、ゲストが登場。
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沖縄のびんがた工房くんや冝保聡さん・賀川理英さんご夫妻。
お二方とも紅型染めの作り手である。

各方面より「見たい・買いたい・お話を伺いたい」というオファーは少なくない。
しかし基本的に田中紺屋「紺定」の見学は、一律お断りさせて頂いている。

こうして定期的に御大の元へお邪魔しているが、御大のご都合を最優先し、前後それなりのフォローで関係性を築き、この先の「紺定」を見守っていくべく動いている。

だが、びんがた工房くんやさんからのご連絡は、お断りするのをためらった。
何かピンときた。

彼らは型から彫る紅型職人であり、「紺定」仕事への造詣も深い。
現代の若い職人に「紺定」を見てもらうことはアリ、と勝手ながらTG的判断をさせてもらった。
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御大にひっついて、ひととおり説明に立ち会うのかな。
翻訳はできんけど通訳はできるかな。

なーんて大それたことを予想していたが、全く不要であった。

型染職人同志。
質問も応答も阿吽の呼吸で、こちらの出る幕、まるでナシ。

3人を早々にほったらかし、うちら洗濯&アイロン作業部隊に戻る。
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冝保夫妻は、想像以上に布オタク、型染オタク。
御見それであった。

かつての田中昭夫応援団・三彩工芸藤本氏の出版本、「染織と生活」などの「紺定」掲載本、すべて研究済みときたもんだ。

彼らが小気味いいボールを投げれば、しかと御大が受けとる。
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がぶり寄りで食らいつくが、御大も負けない。
棒立ちながら、背中が喜んでいるのがわかる。
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布の見方が、職人の目でマニアの目。
二人がひーひー言っている横で、御大ニヤリ。
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沖縄紅型の人たち、というインプットは完了したと思う。

冝保さんの、目の回る「柄ON柄コーディネート」を突っ込むと「柄が好きなんで」って笑っていた。
紅型職人の正しいお姿。
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さて、こちら火を噴くアイロン部隊。
過酷な労働の意味は、このあとの一杯に賭けている、とみていい。
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一日で半分以上はアイロン済み。
大箱ひとつ分、やりきった。
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ただのハギレだなんて言わせない。
上等博覧会が出来るクオリティ。

我々は今、とてもいい仕事をしている、と自負したい。
細腕でみなさん、ようがんばった。
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で、しつこいようだが、もう一度吠えておく。
誰だ、この染め布を、何十年も、隅っこの段ボールに、ぐしゃっと入れっぱ、ほったらかしにしていたのは!


返事がない。

まあいいでしょう。

そして、マル秘ハギレプロジェクト始動の予感。
詳細は震えて待て。
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紅型つながりで。

2016/8/21(日)まで日本民藝館で「沖縄の工芸」展開催中。
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紅型衣裳の染物がすばらしかった。

恥ずかしながら、わたしの知っているパキパキ色と型のそれとは別物で、紅型がこんなに愛らしいものだとは。

TG&冝保夫妻から聞いていた、まぼろしの布「桐板(トゥンビァン)」の紅型衣裳もあった。

桐板、トゥンビァン。
もちろん読めず、「桐生か板橋みたいな産地名か」と、勘違い寸での間一髪。
あぶなかった。
10年前の布茶ブログに投稿があったのにはひれ伏す。

この表紙が桐板布。
極細番手で透明感が美しい、苧麻のようで苧麻ではないとの意見もある、不思議な布のこと。
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併陳 坂本万七氏撮影の沖縄写真があったことも大きい。
戦前の1940年、沖縄の民衆や風景の写真は、当時のにおいや湿度まで感じられた。
そのころの貴重な映像もあった。
これらがあったことで、イメージがふくらませた。

いとへん各位、ぜひとも行かれたし。
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by kerokikaku | 2016-08-09 14:28 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 08日
8月のアイロンーその1
ハギレ洗濯、2週間後の8月某日。
現在35℃。
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TGこと田中ガールズ。
ハギレアイロンかけに、御大こと正藍型染師・田中昭夫宅へ集合した。

こんな日ばっかりピーカンの川口。
おーい、今日はアイロン日なんで、なにもそこまで晴れなくても、と思わなくもない。
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8月田中学校も、汗と涙の予感でいっぱい。
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あじさいもとうとうカラカラに。
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御大はお元気かな?
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蜘蛛の巣にひっかかったセミが空中浮遊していた。
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ええ、お元気です。
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おや?
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普段はおしゃれマスターTGの面々も、今日ばかりはツナギと白衣。
作業する気マンマン。
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なんでわざわざ、こんな酷暑日にアイロンをかけるのか。
世界には、理屈で説明できないことにまみれている。
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これいいよねー、なんて悠長にやっていると、ぜったい終わらない質と量。
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でも、まあ、せっかく晴れたことだし。
レスキューした白生地も、半分位洗っておこうか。
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綿も絹も麻も、さまざまな大きさと素材で。
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半分量でもこんな。
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ちょっと板場のウラをパトロール。
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御大は、さすがにさすが。
ご自分のペースで、着々と新しい染め仕事をやっている様子。
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で。
春からいっしょうけんめい切ったり精錬したりの岡崎木綿の白生地がまとめてあって
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ひいふうみいと数えたら100反超!
恐るべし、やる気モード全開の81歳。

お願い、御大。

「最後」の頒布会もやったことだし、ここから先は数じゃないですから。
体調と相談しながら、ゆっくり、いい仕事だけを選んでやればいいですから、と、これで何度目かの懇願をする。

精錬前の畳まれた布を指さし「こっちはやめとくかな」って。

ホッ。
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続きます。
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by kerokikaku | 2016-08-08 13:37 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 06日
レスキュー布を洗う
あれは7月下旬のこと。
自分の予定と天気予報をにらんでいた梅雨のおわり。

6月に、川口の御大こと正藍型染師田中昭夫・屋号紺定宅、奥の院で、段ボールにごっちゃり入っていたハギレを救出した。
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ハギレとは名ばかり。
けっこうな長さの布もたくさん。
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とりあえずレスキュー仕分けをし、洗濯は後日とした。

そして、いよいよ7月下旬のある日。
曇りと晴れの中間だが、いいでしょう。

朝イチに御大に電話し、川口へ向かう。
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7月田中学校は、汗みどろの予感。
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御大は、新しい染布の仕上げと、次の準備をしていた。
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仕事のお邪魔にならぬよう、
「わたし一人で洗いますんで、ご自分の仕事をしてください」と申し述べる。
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水槽にレスキュー布を入れ、洗う。
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なぜか、御大もここへ来て働く。
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「いいですって、わたしがやりますから」ってのに、気が気でないらしい。
このところ「見るに見かねて」がキーワードになりつつある、当方けろ企画。
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洗うだけで半日かかりそうだ。
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この量だと、洗う先から干していかないと、間に合わない。

むしろを敷く御大。
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うわあ、これ、ハギレという名のお宝じゃないか。

田中昭夫「紺定」の染布は、ほんの小さなハギレになったとしても、仕事が仕事だけに、布の力が違う。
ハギレだからこそ、すごさがわかることもある。
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この手ぬぐい、レアすぎ。
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「オモテ向けて干したらダメだ。ウラ向けて干さないと」と御大。
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そうね、藍染布は色褪せやすい。
ウラ向けて干しますね。

御大が働く。
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張り手に、カシャン
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ポン
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干すぞ干すぞ。
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ウラ向けて干すぞ。

御大が働く。
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張り手が足りない、と御大が働く。
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地面も足りない。
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ともかく、敷いたりぶら下げたりして、ぜんぶ干す。

ぜんぜんハギレに見えない大布もたくさん。
干しても干しても、沸いて出るかのごとく、まだある。
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日暮れ前に取り込み、藍染めのハギレ、洗濯完了。

結果的に、御大がよく働いて下さった一日だった。
自分の仕事、ほっちらけ。

次のアイロンがけは、また8月に。
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さて。

なぜ、藍染布をウラ向けて干したのか。

色褪せ防止もあるが
「ハトがさ、クソひっかけるからさ」と、おもむろすぎる発言に「え?」となる。

昼ごはんに外へ出た時、御大が「ホレ」と。
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たしかに。
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by kerokikaku | 2016-08-06 14:07 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 06月 28日
科布ハギレの整理を承る
日本三大古代布のひとつ、科布。
沖縄の芭蕉布、静岡の葛布、山形の科布。
※三大のセレクト正しくないとのご指摘、日本古代布のひとつに訂正します。

しなふ、と呼んでいたが、しなぬの、とも言うらしい。

ご存知「木綿」といえば最近(といってもアレですけど)の布である。
麻より古いのが科布。
自然素材中の自然布。

昨年DEE'S HALLでの頒布会で、正藍型染されたこのあたりの科布をたくさん出した。
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川口の正藍型染師、御大こと田中昭夫が大事に持っていた科布。
そうね3-40年ぽっちかな。
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長くそのままにしていたもの。
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もはや日本むかし話のように、さいごは砧でトントン打ってキメを整える。
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みなさん喜んで下さって。
おかげ様で完売しまして。
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京都・美山ちいさな藍の美術館、館長新道弘之氏宛に、勝手に納品した逸品も科布。
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これで科布ハギレは終わったはずだった。
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だった。

のに、あった。
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御大曰く「これしき、ちいせぇの、しょうがないよ」
そりゃそうだ、長板中型染めには小さすぎる。
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ハギレ中のハギレ。
ほかにゼンマイ布や麻のハギレも少々。

小さすぎてどうしようもないと言えばそれまでだ。

でもね。

このまま永遠に放置もどうなんだろうか。
いままで永遠に放置だったことはおいといて。
なんとかなるんじゃなかろうか。
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たなか印の入ったものもある。
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こそっと持ち帰りこそっと洗う、シークレットサービス。

洗濯槽をタライに見立て、洗剤液につけこむ。
たいそう濃い目の出汁が出る。
お煮しめでも作ろう。
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ほぐれた糸もキープ。
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梅雨の晴れ間に、干す。
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とりこむ。
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糸も乾く。
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アイロンをかける。
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ハギレ中のハギレばかり。
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端のペロペロした部分。
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ここですね。
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ここをこのように綴じるのが、自己負担ミッション。
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細かいの1ツ1ツじゃやってられないけれど、これら何枚もつなげて長い一枚にしたならば、きっと御大だって、染める気になってくれるんじゃなかろうか。
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という、淡い期待を込めて。
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不器用組合代表理事けろ企画が、勝手に科布を持ち帰り、鋭意整理中でございます。

なんで受けたか。
気は心で受けた。
てか、ライフセーバー的に勝手に持ち帰った。

但しアイロン以降進んでいません。

なるべく平らにつなげて、御大が型染しやすいよう、心をこめてつなげたいのです。
千里の道も一歩でね。
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あしたからやるよ。
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ハギレつなげて、なんとか御大にネゴして。
かっちり染めてもらいます。

じっちゃんの名にかけて。

川口のじっちゃーーーん。
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by kerokikaku | 2016-06-28 23:32 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2016年 06月 25日
お宝救出作戦その2
この生地、ちょっといいんじゃない?と黒幕。
うん。と御大。
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ちょっとどころか、相当いい。

ざっくりとした上等の手織綿のよう。
どこで手に入れたかはもはや不明。

長さを測る。
帯、2本出来るね。
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綿にしては糸につやがある。
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端っこを洗って様子を見てみると
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うーん、これは絹らしい。
よかった、これで次回新作に絹が加わる。
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さて、まさかの。

救出場にしていた板の下、白生地が貼ってあるではないか。

おーい、いま置いた山積み、早くどかせー。
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やれやれ。
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これも最近発掘の布。

韓国の手引き麻で八寸帯用小幅のもの。
貴重な布すぎるため、御大は黒幕に「何を染めるべきか」を相談したく、保留にしていた。
サインだけは型置き済み。
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これだけの上等白生地は泣いたってもう出ない。
さて何を染めるのがいいのか。
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やはり、ザ・紺定・田中紺屋らしいすっきりした唐草花型がよかろうもん。
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しかし型紙がダメになっていた。
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なのに「同じ型がまだある」と用意周到、恐るべし。
あとは仕上がりを震えて待つのみ。

驚くべきこととして。
これだけ藍染布をいじくっても、手が青くならない。

藍染めは手につくって、誰が言ったか。
御大の藍染めは違うんでね。
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すべてをカテゴリ分けし、本日は一旦ここまで。
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元の場所へ戻すとしよう。

ここ、ただの物置き場じゃない。
その昔、両面型付けをした場所である。
ガラス板に蛍光灯が仕込んであるが、現在たまねぎ置き場。
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御大らしからぬ、けろ好みのキッチュなゴザをガラスに敷き、えっほっほ。
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別カテゴリなお宝は端へ寄せ
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黒幕に働かせる。
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どうよ、整然。

後日、梅雨の晴れ間を見計らい、すべてをキレイに洗いたい。
これに1-2日かかる。
その後のアイロンと整理は、有力なTG各位を招集し一気にやっつけようと目論む。
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発掘別枠として。
無造作に、こんな布。
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三彩工芸故藤本氏が、参考に分けてくれたと思しい大麻の型染ハギレ刺繍入り。

藍・墨・渋木・弁柄で染付てあり、江戸時代の仕事のよう。
いちおうこれも後日洗っておきます。
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給食窯での精錬が思いのほか調子のいい御大。
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板場にぶらさがっていた白生地を、また精錬し始める。
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精錬3回目で、あと数回。
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ここに8本入っている。

やる気モードが止まらなくなっている御大だが、ちょっとブレーキかけないとまずい。
どんどんやっちゃう、このひと。

本数が欲しいわけではない。
きっちりした紺定仕事が出来たのならそれでいい。
こちらが言うことでもなく、本人も分かり切ったことだが、あまりのノリノリモードに、少しばかりためらってしまう我々である。

暫時見守り&見張り番として、とれる責任は無限ではない。
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あのベニバナはどうなったのか。
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たいそう過保護な一本は、種採り用として、乳母日傘でお育て中。
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だいじなおまけ。
最近染めたという特例布をご紹介します。

同じ型を一本の中で染め変えたもの。
糊伏せ次第で雰囲気がずいぶん変わる。
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これは御大にしては珍しい染め方。
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麻生平生地に型付けをし、藍で薄く染め、型の糊をおとす。
その後花部分だけをまるく糊伏せし、藍で濃く染めたもの。

インドの木版更紗のような独特の雰囲気。
あたらしい紺定、レアな逸品だ。
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ではでは。
ピーカン晴れの佳き日に、わたくし、洗濯おばちゃんとして参ります。
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中性洗剤を買っておいてね、と念押して辞する。
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反物じゃない、御大ハギレを洗うなんて、超たのしみ。
やるぜ、ツナギ&マスク隊うでまくり。
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こんどばかりは晴れの川口しかありえない。
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by kerokikaku | 2016-06-25 12:07 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)