カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 119 )

2016年 10月 11日
座布団カバーを作る
作る、なんてエラそうに。

じゃーっと縫っただけ。
ただの直線、チャックなし。

天高く、以下省略。
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リバティ生地をじゃーっと縫い、汗と涙と何かのしみ込んだ枕カバー。
臀部に敷けば、お座布団にも変貌するすぐれもの。

10余年前は赤だったと、見る影もなく、色褪せもかくや。
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そうだ、御大の座布団カバーがあるじゃないか。

御大の型染めに鳩車を発見した時は嬉しかった。
とっくに死んだお爺ちゃんが長野出身で、お土産にもらったのが懐かしい。
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入れ替え完了。
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ぱっくり開いた口は、正藍染めの木綿糸で綴る。
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やれやれ、目のカスミめ。
近眼がさらに進んだ、と思いたい。
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みじんぎりも、小口切りも、まつり縫いも、人間関係も、何だってざっくり。

ブラックジャックをオマージュするお座布団、一丁上がり。
苗族にだけはお嫁に行けない。
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なんか、一個だと、さみしい。
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そうだ、うちには御大ハギレがあるじゃないか。

あの頃、田中染布の通販サイトを立ち上げ、2日目の夜になってから「もう先取りじゃないからいいよね」と、自分でも購入したカット布。

風呂敷を作った後の、菊と牡丹のハギレをつなげる。
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ウラは適宜接ぐ。
レイアウトに問題があるのは承知だが、いつの日かほどくとし、先を急ぎたい。
いちおうどれも御大布、ということに意義を持ちたい。
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紗綾形も50cmあったっけ。
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はじっこ処理するも、捨てられない。
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これを捨てると、お天道様と、各方面から叱られますゆえ。
あれに見えるは科布の糸端。
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じゃーん。
お座布団、3丁上がり。

あわわ、

どぼちよう。

ウィンター仕様の背景とのマッチングが、悪すぎて、濃ゆくて、暑い。
冬に向けてでなく、夏に向けるべきだった。
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どぼちよう。
折り曲げるにも生地が足らず、お口ぱっくり子。
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そうだ。
H.P.Eのお座布団はどうなってたっけ。

谷さんがむきむきっと出したのはホンモノのワタでした。
当方、ユザワヤのポリ綿使用なのがタマにキズ。
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困った。
こおゆうヒモ、ない。
作れない。
綯えない。
正藍染め木綿糸も足りない。
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GSSで、手ごろなの、見たような、売っちゃったような。

あいたたた。
ひと晩考えます。


つけたし:
魔法のビンのあっち側には
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H.P.Eの糸端が、ぴらぴらっとな。
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by kerokikaku | 2016-10-11 22:01 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2016年 09月 30日
型染師と絞り染めーその2
ハギレを三つ編み。
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たったそれだけ。
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大のオトナが3人かかって
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からまるからまる。
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船頭多すぎて、息のあわないことったら。
おかしすぎて手が震え、腰が砕ける。
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やれやれ、わたしはイチ抜けさせていただく。
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御大ってヒトはね、結局ヒトに任せられないんだよね。
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四つ編みになった三つ編みを、君たち二人でなんとかしたまえ。
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最終形は、正藍染めして、こうしたい。
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2本目からは力を合わせず各々が三つ編みし、平和を維持。

どうにかこうにか、6本出来まして
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一旦水に漬けて、引き上げて水を絞る。
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女子部の絞りは非力で甘い。
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御大としては気に入りませんで、すかさず修正が入る。
ははは。
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藍のご機嫌はいかがかな。
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まあまあ、よかろうもん。
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カゴを用意し
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棒を渡し
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藍甕に沈め
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ぜんぶの三つ編みをジャボンかと思いきや、1本ずつ、そおっと。
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5分染めを3セット。
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その度にギュウギュウ絞り、ぶら下げて酸化させる。
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締め上げが足りませんですと。
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御大からすると、ま、気が気じゃないですよね。
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水にとって、すすぐとこんな感じ。
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ひと晩水につけて、また明日も同じ工程を重ね、思った藍色まで染める。

って、我々は来ないんで、続きは御大がやるってこと?
ですよね。

結局、御大のお手を煩わせたような。
ま、いっか。

彼岸過ぎると日暮れが早くてイケナイ。
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~オッタマゲオマケ情報~

おもむろに干されていた大座布団。
こんないいものがあったなんて、聞いてない。
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藍無地のような、うっすら格子柄が透けるような。
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たっぷりの真綿が詰まっていて
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おいおい、まさかのウラ使い!?
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しかも広幅、ナナメ格子で、超お宝布じゃないの。

アロハシャツをウラ使いするのはよくある話ですけど、こんなのアリなの?
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こたつの下に敷いてるんだって。
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豪儀すぎ。
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by kerokikaku | 2016-09-30 15:38 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 09月 29日
型染師と絞り染めーその1
降りも降ったりこの9月。
そして毎度おなじみの川口定期訪問。
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御大こと正藍型染師・田中昭夫は、型染め仕事が出来ず、たいそうイラっちの日々。

不穏な9月田中学校の幕開けだ。
※念のため、ここで降りても御大は居ません。
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お宅に着き、目を疑う。

わわっ。

我々以外に、家捜し強盗が入ったんですか!?
ナニゴト?
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前回すべてのストックを整理チェック、きれいにまとめ上げたのが、ひっちゃかめっちゃか。

聞けば、Yシャツが見当たらず、全部開けたと。
しかし見つからず、近所のお通夜に行けなかった。
と、こっちを恨めしく見る。

いやいやいや。
ここにYシャツはないですし、せっかく整理したのに、なにゆえここまで散らけるんですか。
と、あっちを恨めしく見る。

不穏な予感的中。
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気を取り直し。

大風呂敷に数十年仕舞われていた、あのカヤ生地
江戸期の手仕事、手績み手織りのお宝生地。
それを藍無地に染めてもらうよう依頼してあった。
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「なんべん染めても同じ色にならない!」

雨ばかりで染めに10日もかかるわ、同じ色にならないわ。
もう嫌になったと、嘆きとも怒りともとれるSOSが入っていた。

御大の本分からすると、バラバラ染色はアウトなのだ。

こちとら、それは承知。
作り手が1枚ずつ違う布だし、いっそそれが面白い。
帯地にならない生地なのも承知。

寝かせてあるなら、御大の手で正藍無地に染めてもらい、その後に扱いを考えたい。

と、いうことを理解してもらうのにどれだけ時間がかかったことか。

これでいいのかどうか、御大には判断つかないと言う。
仕上げ前に確認してくれと、置いてあった。
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一瞥で「100点満点です!」と、不肖けろ企画が、大いに褒めてつかわす。

すると御大はふにゃりと笑い「じゃ、豆汁を入れて仕上げるかな」と安堵のご様子。

不穏なご機嫌、急速回復。
褒められて伸びるタイプ。

しめしめ。
型染師に依頼した無地染め企画、大成功。
いいでしょ。サイコーでしょ。

さて、何にするか、どうしようかと、ウレシイ悩みが発生する。
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それはそうと、雨ばかりでカヤ生地以外の仕事がやれなかった。
型染めは天気じゃないと出来ない。

完全無趣味で仕事以外にやることのない御大は、どうしていたのたか。
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「しょうがないからさ、岡崎木綿のハギレで絞り染めをして遊んでた」って。

これで何か作れるかな、とマーケティングを視野のビックリ発言。
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絞り染め開業ですか?と言ったら笑っていた。
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そう、我々も、岡崎木綿ハギレで三つ編み絞り染めが目的だった。
たくさん白ハギレがあるので、何か出来ないかと、試行錯誤の回。
ああ見えて予行演習をしてくれていたのかもしれない。
御大には、けっこう、そういうトコロがある。
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布茶も合流し、ハギレの三つ編み作業にかかる。

壁に布端をひっかけて
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息を合わせて、あっちへ、こっちへ。
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あ、御大の手の絆創膏は、ひっ転んですりむいた痕。
会うたびに、御大の足元のおぼつかなさが気になっている昨今である。

やることなすこと、わりと大仰なのが心配。
仕事ぶりは、ご承知のように相当細かいんだけどなあ。

続きます。

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by kerokikaku | 2016-09-29 13:58 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 09月 05日
ビバ、オオカミ老年-その2
ええ、お察し通り。
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また出ました。

バツが悪すぎ。

てへ。
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「だって、聞いてこないからさ」と、御大は一切悪びれもせず。
よくもまあ、けろ様の前でケロッと。

染布も白生地も「これ以上ない」って言ったでしょうが!
捜索&救出も一緒にしたわけですから。

それ以上、何を、どうやって、聞くんですかぁぁ!!!!

と、心で吠えるに留めておく。

さあ、本人に、キッチリ説明してもらおうか。
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45年程前、田中昭夫30代後半。
それまでの合成藍を一切やめ、阿波蒅の正藍型染師としてやっていこうと決心した頃。

若かった田中昭夫の応援団・三彩工芸の藤本均氏が、韓国の手引き木綿布を田中に渡した。
「これに染めてみろ」という腕試しだったらしい。

染め上がった布を、藤本氏へ送り返した。
何かの展示に出したらしいが、しばらくして田中紺屋へ戻ってきた。

それっきり、風呂敷に包んでポン。
板場の陰に置きっぱだったことを、ふと思い出したのだろう。

ハギレさえ喜ぶ我々を見て、自分の布の貴重さにようやく気付いたか。

おーい、今頃ですかい!
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ま、いいでしょう。
ギリ、間に合ったと喜ぶべきだ。


あの時代の韓国手引き布は、それぞれが違う手。
どれも糸味が抜群にいい。

もうないです。
ない、と言うのは、この手の生地はもう手に入らないということです。
あの蚊帳生地しかり。
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最も初期の正藍型染がこの力強さ。
藤本氏は応援の甲斐があっただろう。

夢中で走っている若い田中昭夫のエネルギーが、ビンビン伝わってくる。

これって、お宝って言うんですよ、田中さん!
覚えといてね。

数十年置きっぱのせいか、都合よくヴィンテージ風味を帯びていた。
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長さや生地巾が帯に微妙に足りない。
が、何とかしよう。
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そして埃っぽい。

洗いましょう。
本日の目的は洗濯だったっけね。
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「もうゼッタイないよね?あったら出してね!」
と、これで100万遍目の念を押したが「ないよ」と、いつものお返事。
申し訳ないですが、信用しかねます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

賢明で、親愛で、寛容なる、全国一千万の田中紺屋「紺定」ファンの皆様へ。

どうか、お見限りなきよう。
本人、ぜんぜん、オオカミ少年のつもりじゃないんです。

反物については完全把握しているんです。

それ以外の、端布や、仕掛品や、別注品や、誰かの手に一度渡った布に関して。
一様に意識が低すぎるのが、チャームでウィークなポイント。

が、ちびたハギレひとつを取っても、ご承知の通り、手抜きのない仕事なんで。
そこは重々、なにとぞ。
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オオカミ老年、ここにあり。

もしまだお宝布があるのなら。

怒らないから早めに出しといて、と言いたい。
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by kerokikaku | 2016-09-05 00:46 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2016年 09月 04日
ビバ、オオカミ老年-その1
わたしくらいになっちゃうと。
川口までの通勤定期を買った方がいいのでしょうか。
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雨女疑惑を払拭したこの夏、何度目かの川口来訪。
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しばらくは、あの日救出した大群のお宝布を洗うのが目的。
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量からして数日に渡ることは覚悟の上。
晴れた日にガーッと洗わないと終わらない。

まとまった大きさの藍無地や白生地もあり。
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「お仕事の邪魔にならないよう、わたしがやりますから」と申し上げるが、毎度じっとしていられない81歳。
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洗濯の合間に、江戸期らしき蚊帳生地の端っこミシンは、不肖あたくしが。

こうしておけば、染めの時に端がピロピロせずに按配が良い。
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やってもやってもオワランチ。
嬉し涙がちょちょぎれる。
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すると「あのさ、こんなのあってさ」と、御大が近づいてきた。

白い大きな包みから、フツーに、フツーに、型染反物がゴロゴロ出てきた。
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「はいぃ??」
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親愛なるみなさま。

お願いします、呆れないで。

どうかこの後、説明させてください。
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by kerokikaku | 2016-09-04 13:21 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 30日
型染師に無地染めを依頼する-その2
電気屋さんは夕方にならないと来られないと言う。
暗闇アイロンは出来ない。

仕方あるまい。
電源を求めて、エアコンのない板場へ移動する。
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我々の作業ツナギ姿も、いよいよ板についてきた。
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どうやらこの蚊帳生地。

手績み、手織りということから推測すると、明治以前の大麻の布。

私たちが知っている緑色の蚊帳生地とは別モノのビンテージ。
まさに骨董布。
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紡績糸が出現してきた、昭和・大正時代ではないと見る。
江戸時代であっても不思議はない。

一枚ずつ、作り手が違う。
糸の色も、織り味も違う。
違うと言うのは、触ればわかる。
良さが違う。

日本昔話のようなおばあちゃん達が、農閑期に作ったのだろうなあと夢想。
おばあちゃん、と決めつけてもいけないけれど。

売るためなのか、自分ちのためなのか。
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よく見ると、ところどころ糸飛びがある。
どこかへ売るためのB反C反にもならず、放られた布かもしれない。

古民芸もりたさんを経由し、田中紺屋に届き、ずっと寝かされ、100年以上経って日の目を見る瞬間だ。
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せっせとアイロンし、新着の芯棒に巻き、ひいふうみい。
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お宝布、29反ございました。

ひーはー。
なんでも仰山、お持ちなんですね。
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型染師に藍無地を頼むのは、フレームが売りのメガネ屋でフチナシメガネを頼むようなことだろうか。

いや。
それとは違う。

藍無地と言っても、そんじょそこらの、ただの藍無地ではない。

阿波蒅たっぷりの、田中紺屋「紺定」の正藍無地染め。
生地は、江戸時代かという手績み手織りの蚊帳生地。

何の問題があろうか。

藍無地に染め上がったことをイマジンし、ほくそ笑む。
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さて、その前に、端ミシンをせねばなりませんな。

ロックミシンの準備をしてもらおう。
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「わたしがやりますから」と言う割には、いつだって御大が働いている気が。
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電気屋さんにブレーカーを直してもらい、いつの間にか日が暮れかかる。
端ミシン仕事は、あらためて出直すことにする。

そうそう。
蚊帳生地の横にそっと置いてあった新作帯地。
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御大は「出来たから、見て」とは決して言わない。
我々が気付くところにそっと置き、黙っている。

ちゃーんと気付いてましたってば。

おお。
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今回のは、なかなかいいじゃない。
今回のも、だけどね。
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型も違い、染めもその度同じではないし、気候も、そしてさすがに体調も。
その中で一定の高クオリティを保つ。

これなんか、帯になったらステキだよね。
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よしよし、上出来ですな。

と申し上げたら、ニヤニヤした。
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また近いうちに端ミシンに来ます。

そしたらさ、ホンモノの蚊帳生地を、ホンモノの正藍無地に染めて下さいな。
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by kerokikaku | 2016-08-30 17:56 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 29日
型染師に無地染めを依頼する-その1
川口の御大こと正藍型染師 田中昭夫。

岡崎木綿のでっかいロールをおろして切って精錬して。
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染下を100反用意している81歳。
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いつお邪魔しても仕掛かり品がぶらさがっている。
着々と帯地の型染めを進めている。
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ちょ、ちょっと待て。
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降っても晴れても、まだ暑い日々。
御寵愛のバラさえも枯山水。
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染めたいお気持ちは重々理解だが、やりすぎは体に毒です。

たまにはこんなのどうですか、と。
ブレイク推奨の意味も込めて、謹んでご提案。

ねえねえ、古民芸もりたさんで大昔に求めたという蚊帳生地、あったでしょう?
冬に一度見せてくれたでしょう?
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大風呂敷に満タン。
丸まったまま、手つかず数十年のお宝生地。
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あれを無地に染めるって、どおですか?
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型染師に「無地を染めて」って。
この一言を申し上げるのに、どんだけ躊躇したことか。
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「型染めもやって、蚊帳生地の無地染めもやったら、カラダがもたないよ」と、たいそうブツブツおっしゃっていた。
だから、型染めを暫時ブレイクして、と申し上げているのだが。

その数週後「こんにちはー」とお邪魔する。

返事がない。
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じゃーん。
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やってくれたじゃない。

蚊帳生地が精錬してあった。
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その時はブツブツ言っても、その後腑に落ちてくれれば、必ずやってくれる。
頑固一徹、でも柔軟なのがチャームポイント。

生地端のピロピロを切っていた。
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すかさず「ゴミ箱に入れたピロピロ、捨てないでください」と申し上げる。
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8月初め、藍染めハギレをアイロンがけした時。
生地を巻く芯棒がなく、そこらにあった厚紙で芯棒の代用としたのだった。
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「200本、注文しておいた」って。

やることなすこと、豪儀なんです、この御大。
染下白生地100反も視野なのか。
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芯棒に巻いてはみたが、デコボコ蚊帳地はそのまま染められない。

「アイロンで平らにして、ピロピロが出ないよう端ミシンもかけなきゃなんない」って。

やります、やります。
無地染めして頂けるなら、アイロンでもミシンでも、喜んでやります。
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わたしと黒幕2人、アイロン2台にスイッチを入れた途端。

停電。

万事休す。
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続きます。
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by kerokikaku | 2016-08-29 11:14 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 19日
科布ハギレの整理を承って、それからどうした-2
できることからコツコツと。
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ローガンを怪しみつつ。
オリンピックさえ忘れて。

毎晩少しづつ、端っこを綴じまくり、ようやくミッション完了。

御大がかけたロックミシン部分はそのままとする。
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これだけでは終わらない。
完成までだと、千里の道の2歩目くらい。

これらをつなげる必要がある。
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やり方が合っているのかがわからない。
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とりあえず見本を作り、川口の御大に見せてみよう。
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あのですね。
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この前、持ち帰った科布のハギレなんですけど。
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小さいのをつなげてみたんですけど。
型付けして染めてもらえますか?
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御大は、困ったような、苦笑いで答えた。

「継ぎ目のスキマに糊がはいって、やりにくいな」
「出来なくないけど、スキマの穴を埋めなきゃだめだ」
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ははーん。

さすがに無下には断れない様子。

「出来なくない」って言ったね。
「出来る」ってことですね。

埋めます、埋めます、埋めますとも。

スキマを埋めるって、こういうことでしょうか?
スキマ委員会設立。

らーん。
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現段階ではステキ度が最低レベルだが、見た目は二の次だ。
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型染め後の完成予想図はこちら。

当スキマ委員会は、これらのミニミニ版を夢想します。
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てか、敷いてあるこの染布だって、レスキューしたんだもんね。
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我々はレスキュー眼に自信がある。
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救う神あれば、染める神あり。

上等の生平麻、ぜんまい布、そして科布のハギレ、一旦完了。
では現場にお返しします。

御大は、染めを断る理由が見当たるまい。
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ここだけの話。

ヤール幅の岡崎木綿。
帯地反物を切り取って、のこったハギレ。
画像手前の細いヒモの山のこと。
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気まぐれで、これらが正藍染めしてあるのを見逃さなかった。
用途未定、と御大にカクニンした。

レスキュー魂が再燃。

誰も救ってほしいって言ってないけど、いいとする。
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ポッケから溢れんばかりガバッと持ち帰る。

「お借りします」といちおう了解済み。
なので、後日返します。

但し、同じ形状で返すとも限らないが、いいとする。

わるいようには、いたしません。
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酷暑のアイロンがけには意味がある。

我々は、これらを有効どげんか活用する自信がある。
いい仕事をしている予感でいっぱい。
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御大だけは、何もしらない。
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by kerokikaku | 2016-08-19 22:22 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2016年 08月 18日
科布ハギレの整理を承って、それからどうした-1
帰省しない盆こそ、保留案件をやっつけるチャンス。

歯医者の予約をとるとか、部屋の片づけとか、スケキヨ様にお目にかかるとか。
ああ、忙しい。
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6月末。
自主承りした科布案件も、いい加減どげんかせんといかん。
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川口の御大宅で、完全に家探し強盗まがい。
レスキューしてきた、科布&生平麻&ぜんまい布のハギレ。
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我らが救わず、誰が救う。
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アイロンはかけました。
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しかし、ここのペロペロを
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せめてこうしないと、御大に染めてもらえない。
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泣いても笑っても、これにて科布は終了。
超ミニミニ科布ハギレ。

このように染めてもらえるよう、レベルUPしたい。
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あー、困った。
ぎょうさん、あるがな。
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不器用組合の会長は、ハギレを前に途方に暮れる。

気を取り直し、針と糸を持った。
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はっ。
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けろたん、ひらめいた。
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洗濯時に抜けた糸。
捨てずにとってございました。
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この糸で綴じたら、よかろうもん?
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よか
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ばい?
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お目めの焦点が合いづらい。
加齢のせいではなく、過労もしくは麦とホップのせいに違いない。
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やってもやっても、ちーとも終わりません。
ようやく半分。
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やれやれ。
お盆ミッションは、けっこうヒーハーだった。

続きます。
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by kerokikaku | 2016-08-18 21:35 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2016年 08月 09日
8月のアイロンーその2
8月のアイロンに、ゲストが登場。
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沖縄のびんがた工房くんや冝保聡さん・賀川理英さんご夫妻。
お二方とも紅型染めの作り手である。

各方面より「見たい・買いたい・お話を伺いたい」というオファーは少なくない。
しかし基本的に田中紺屋「紺定」の見学は、一律お断りさせて頂いている。

こうして定期的に御大の元へお邪魔しているが、御大のご都合を最優先し、前後それなりのフォローで関係性を築き、この先の「紺定」を見守っていくべく動いている。

だが、びんがた工房くんやさんからのご連絡は、お断りするのをためらった。
何かピンときた。

彼らは型から彫る紅型職人であり、「紺定」仕事への造詣も深い。
現代の若い職人に「紺定」を見てもらうことはアリ、と勝手ながらTG的判断をさせてもらった。
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御大にひっついて、ひととおり説明に立ち会うのかな。
翻訳はできんけど通訳はできるかな。

なーんて大それたことを予想していたが、全く不要であった。

型染職人同志。
質問も応答も阿吽の呼吸で、こちらの出る幕、まるでナシ。

3人を早々にほったらかし、うちら洗濯&アイロン作業部隊に戻る。
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冝保夫妻は、想像以上に布オタク、型染オタク。
御見それであった。

かつての田中昭夫応援団・三彩工芸藤本氏の出版本、「染織と生活」などの「紺定」掲載本、すべて研究済みときたもんだ。

彼らが小気味いいボールを投げれば、しかと御大が受けとる。
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がぶり寄りで食らいつくが、御大も負けない。
棒立ちながら、背中が喜んでいるのがわかる。
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布の見方が、職人の目でマニアの目。
二人がひーひー言っている横で、御大ニヤリ。
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沖縄紅型の人たち、というインプットは完了したと思う。

冝保さんの、目の回る「柄ON柄コーディネート」を突っ込むと「柄が好きなんで」って笑っていた。
紅型職人の正しいお姿。
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さて、こちら火を噴くアイロン部隊。
過酷な労働の意味は、このあとの一杯に賭けている、とみていい。
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一日で半分以上はアイロン済み。
大箱ひとつ分、やりきった。
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ただのハギレだなんて言わせない。
上等博覧会が出来るクオリティ。

我々は今、とてもいい仕事をしている、と自負したい。
細腕でみなさん、ようがんばった。
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で、しつこいようだが、もう一度吠えておく。
誰だ、この染め布を、何十年も、隅っこの段ボールに、ぐしゃっと入れっぱ、ほったらかしにしていたのは!


返事がない。

まあいいでしょう。

そして、マル秘ハギレプロジェクト始動の予感。
詳細は震えて待て。
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紅型つながりで。

2016/8/21(日)まで日本民藝館で「沖縄の工芸」展開催中。
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紅型衣裳の染物がすばらしかった。

恥ずかしながら、わたしの知っているパキパキ色と型のそれとは別物で、紅型がこんなに愛らしいものだとは。

TG&冝保夫妻から聞いていた、まぼろしの布「桐板(トゥンビァン)」の紅型衣裳もあった。

桐板、トゥンビァン。
もちろん読めず、「桐生か板橋みたいな産地名か」と、勘違い寸での間一髪。
あぶなかった。
10年前の布茶ブログに投稿があったのにはひれ伏す。

この表紙が桐板布。
極細番手で透明感が美しい、苧麻のようで苧麻ではないとの意見もある、不思議な布のこと。
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併陳 坂本万七氏撮影の沖縄写真があったことも大きい。
戦前の1940年、沖縄の民衆や風景の写真は、当時のにおいや湿度まで感じられた。
そのころの貴重な映像もあった。
これらがあったことで、イメージがふくらませた。

いとへん各位、ぜひとも行かれたし。
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by kerokikaku | 2016-08-09 14:28 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)