カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 115 )

2015年 05月 21日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-10.5 頒布会OPEN
ただいま5/21(木)14:50。

SKTAKDHP、位置につきました。
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by kerokikaku | 2015-05-21 14:52 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(6)
2015年 05月 20日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-10.0 準備完了
事の発端は一本の電話。
型染作家の津田千枝子から。

「けろちゃん、田中昭夫さんっていう正藍型染師が引退するの。もうゼッタイこれ以上出てこない、絶滅種の素晴らしい型染仕事なのよ。このあと川口アトリア展と自宅紺屋展があるんだけど、ほとんど誰にも知られていなくてね。ちょっとブログで紹介してくれない?」

昨秋の初めのことだった。
すぐさま川口へ赴き、事態を把握。
大きく賛同し、宣伝ゲリラ活動を開始した。

思いがけず、ほんとうに思いがけず、布好き・布関係ばかりでなく多方面の方々に興味を持って頂いた。

何十年も、ただひたすらに作ってきただけの御大。
自分の仕事が広く支持されるなど、夢にも思わなかったろう。
思うまま、求めるままに、正しく仕事をしてきただけなのだ。

無骨な老職人は大いに面食らった。
一時はパンク状態で、田中紺屋の玄関が閉じられたこともあった。

しかしみなさまの熱く丁寧なご対応の元、御大の心は徐々に開かれていった。

展後、山のような反物が奥から出てきた。
「え?これどうするつもりなんですか?」と詰め寄ったが、御大は口ごもるばかり。

このままじゃだめだ。
頒布会をやらなきゃいけない。
もっと広く、見て知って頂かなくては終われない。

我々は、5月の頒布会まで限定とし、宣伝ゲリラ活動を続けると決めた。

長板中形は引退。
この後小さな染めをしたにしても、今まで何十年分の力強い布群を出さなきゃいけない。
誰にも見られず仕舞われたままなんて、たまらない。

引退した80歳の老職人に説明し、了解を得た。

反物の整理、奥の院発掘、値段付け、安否確認、ご機嫌伺い等々、ギリギリまで作業は続いた。
この間も、各方面からたくさんの問合せや有難いエールを頂戴した。

「引退なんて言わないで、お仕事まだ続けて下さい」
お愛想に焚き付けることはタブーとしよう。
簡単なことじゃない。

田中昭夫の仕事として、今ここにある染布を見てほしい。
それが目的。


おかげさまで、ようやく準備が完了致しました。

当初は見られなかった笑顔が、今では拝めるようになった。
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本人の意向そっちのけ、有無を言わせぬゲリラ隊に巻き込まれるがまま。
よくぞここまで我慢して下さいました。

「オレ、もうやんない」
いつ言われてもおかしくなかった。
冷や冷やしながらの準備期間が終わった。

ふと見た、仕事場にかかったカレンダー。
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大丈夫そうだ。
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さあ、あとは、染布で満杯の段ボール群と、御大自身を会場へ運びこむのみ。
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あした21(木)頒布会初日は15:00からです。
23(土)までの2.5日間。

青山DEE'S HALLでお会いしましょう。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土):DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分)
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
5/21(木)15時-19時 22(金)11時ー19時 23(土)11時ー18時

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by kerokikaku | 2015-05-20 14:44 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 05月 19日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-9.75 中巾
我々が中巾と呼んでいるタイ木綿の反物がある。
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手引手織の木綿地に、幾何学紋が主に型染してある。
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昨秋のツアー時に発掘した布。
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カタチになっているらしき、これはいったい何か。
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お大尽専用の布団皮だったりして、もう、どんだけですか。
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縫製も田中昭夫だったりで。
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そもそもは帯地用。
3色使いもあるモダン柄シリーズ。
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からだに当ててみると、反物で見るよりイメージしやすい。
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ちょっといいでしょ。

もし頒布会場で、見知らぬ隣人と心がユナイトした場合。
半分ずっこで工夫して、ペアで半幅帯を作るってのもいかがでしょう。
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実行部ユニフォームの裏地に使われた特岡木綿は少しだけ残布あり。
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浴衣までは作れない長さだが、田中仕事の中では珍しい絞染め生地です。
カット売り可。
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インド手織タッサーシルクの座布団。

布団屋に仕立ててもらったふっかふかの中綿。
ツアー時で完売だったはずが、思いがけない再発掘により、泣いても笑ってもラスト5枚のみ。
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そうそう、少し汚れていた発掘染布を、おそるおそる洗ってみた。
と言いつつ、問答無用の、ざっくばらんな洗濯機。
おしゃれ着中性洗剤、ガラガラぽん。
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落ちなかったです、藍。
今まで見知っていた藍染のCAUTIONとずいぶん違った。
それだけ田中紺屋の正藍染めは固かった。→正藍染めについて
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そしていまだ残業中の御大。

値札に素材名を自筆で書くのが大事な業務。
字引を引きながらの、これまた生真面目仕事が田中流。
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間に合うのか。


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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-19 18:58 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 05月 18日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-9.5 無地キビラ麻とネオパラ
そんなわけで、最終発掘した麻の卓布を愛でる我ら実行部。
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反物は岡崎木綿を主に綿が多いが、卓布でも麻が入るとバリエーションが増え、みなさまにおかれましてもラッキーチャンス。

”型染”の頒布会だが、なんと無地もある。
これは嬉しい。
御大は「正藍型染師」という肩書きにつき、今までどの展示会にも無地は出したことがなかった。
そりゃそうだ。
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聞けば「畳のヘリに使った」という無地の正藍染め生平麻。
えっと、どちらのお屋敷用でしょうか。

こちらの無地はカット売り可能です。
御宅の畳のヘリなどにお使い下さい(まじか)。

実行部としては、一応すべての中を広げて確認する必要がある。

はっ。
確認して良かった。

「なんか出てきましたー」
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座布団用に型染がしてあった。
「忘れてた」だって。
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清涼感ある濃い藍染の麻地。これはいい。
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「なんか、字が書いてあるの、また出てきましたー」
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「忘れてた」ふたたび。
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田中紺屋の展示室入口にかけてあるのれんと同じモノが出現。
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書かれた文言は、御大のかつての応援団、門前仲町の小磯象牙店さんがお持ちの品にあった文言。
それが気に入り、自分用に彫って染めたという(小磯象牙店は江戸時代から続く象牙屋さん。友人である小磯昌彦さんは正倉院の象牙の藍染の技法を研究して、見事に蘇らせた方です。田中紺屋展も何回か小磯象牙店で開催されています)。

「手描きですか?」と聞いたわたしは、一瞬冷ややかな視線を浴びた。

型染師の仕事です。型を彫ってます。両面染めです(のれんはみんな両面染め・これ当たり前)。
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天気がよければ、参考品としてDEE'S HALLのアプローチになびかせよう。

あの秩父太織の帯も、仕上げの湯のしから帰って来た。
おタイコとマエの柄が大小になる。
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松皮菱アレンジの方も。
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すると「秩父太織の石塚さんの着物があるな」と、御大はどこかから持って来た。
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画像がいまひとつでごめんあそばせ。
すべて先代石塚さんの工房にて、繭から糸を引き、天然染料で染めて織られた茶細縞の男着物。

素晴らしい糸味と見事な染めの上等品だ。
羽裏は鎌やそろばんの柄でパンキッシュ。

するとまた御大が消えた。

次はいったいどんなお宝を持って来るのか。
またパンドラ箱を開けてしまうのか。

実行部一同、固唾を飲んで、じっと待つ。

どっかーん。
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ずどーん。
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「ネオパラが終わってたからさ」
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まったくそのとおり。
貴重な秩父太織だもの、虫がついちゃ敵わない。

いつだってひょうひょうと、我々の期待を、ワンダーにくつがえす御大であった。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-18 20:46 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 05月 17日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-9.0 型紙と再発掘
田中昭夫は30代半ばに「正藍染め」に特化することを決意し、本格的に型紙も彫り始めた。

一般的には、染めと型彫りは分業で、全てやりつくす紺屋はほとんどいない。

と、すまし顔で書き始めたが、知識の泉が浅すぎてギブアップ。
以下ご存知ゴーストラーターが的確に解説してくれた。
たいへんわかりやすいです。

昔からの染色職人の世界は、分業が多い。

例えば 友禅。
絵付師が下絵を描いたものを、糊師が糸目糊を置き、また絵付師が色差しをして、糊師が伏せ糊をし、引き染め師が地染めを行い、蒸し屋で蒸し、また戻って水洗いされて湯のしやに行く…といった具合。
もちろん、工房によっては一貫作業をするところもあるが、昔からのやり方は、基本は分業である。

長板中形の世界も同じ。
型紙は、彫り師が作り、型付けは型付け職人、染めは染め師、となっていた。
古くは、型付けの出刃ベラ一本持って、各地で仕事をした”渡り職人”が多くいたそうだ。

そのような染めの世界も、それぞれの技術だけでは食べていけなくなったか、現代ではむしろひとつの工房で、通して作業をするところが一般的になってきているようだ。

それでも、長板中形職人が型彫までするということは、まずない。
型紙は、型紙屋から買うというのが伝統のやり方。

翻って、田中昭夫。
「長板中形職人」というのが、本人の中心の肩書になるかもしれないが、型紙も自分で彫っている。

何故か?
田中は義理の叔父の家(型付け屋)で、まず型付け職人としてスタートした。
そこは様々な下職も請負うところだったので、場合によっては型彫りなどもすることがあった。

そして、婿養子に入ったのが浴衣を主に染める田中紺屋だった。
そのため「型付け、型彫、藍染」と、田中の修行は、運良く一貫して制作できるノウハウを自然に学んでいた事になる。

紺定を継ぎ、嘘のないものを作ると決心した後、有力な水先案内人が現れる。
それが、今までも何度も名前が出てきた大阪の三彩工芸社の故藤本巧だ。

藤本氏は、菅原匠氏を通して田中を知り、その気概を大いに買い、自分の集めた古裂を田中に見せ、この柄を作れ、こんな風に染めろと、次々と指示をだしたそうだ。

当然、型は自分で彫らねばならず、糊のあんばいも田中独自の工夫が必要となる。
藤本が送ってくる用布も、いわゆる長板中形用の浴衣地ではなく、表情も様々な個性あふれるものであった。
中には、粗々しいほどゴツゴツした科布とか、朝鮮の麻、手引手織の木綿布、越後の古い手績み大麻布…

当然、その布に合う紋様も、力強い唐草などが選ばれる。
そうして、田中の感性も磨かれていった。

布素材の持つ力に負けない田中の藍染は、用布まで考えたうえで、自身が彫る型紙によってひとつの調和を生みだす。

分厚くしっかりと糊置きされた紋様は、糊の土手のようになって藍の甕に入っていく。
その土手が、ギリギリ溶けかかるところで、糊際のかすかな藍のグラデーションが生まれる。

清々しく美しく色が引き立つ秘密は、田中の「型 、糊 、布 、染 」すべての工程が響き合い、どれもが最大限の持ち味を出しているからなのだろう。

今回、頒布会の展示のため、田中が彫った型紙を選んでいて、この大職人の凄さは「紋様、用布、糊、藍」の最終の総合的な完成が、自分の中でしっかりと描けているのだと痛感した。

世に認められるなどという事とは程遠い、己の求めるものを具現化するために、身につけた技の最大をいつも出しきって、自分が満足するためだけにここまで仕事を続けてきたのだと、今更思い至った次第である。


その型彫りとは、部屋に引きこもっての地道な作業。
ひたすら彫って彫って彫りまくった。
それは田中の性にも、手先の器用さにも合っていたのだと思う。

「でもさ、彫っている間は、金にならないんだよなあ」と。

しかし熱中していたことは間違いない。
100枚や200枚では済まない。

布巾に合わせて型紙の大きさを変えて彫っており、色版分も合わせるとトータルで500枚を軽く超すのではなかろうか。

そこまでやって何反も染めるわけでもなく、1-2反で終わることがほとんど。
狂気の沙汰だが、本人は実にカラリとしている。
純粋に面白かったのだろう。


反物の値段付けも終わり、「型紙も出したい」と言ってみた。

すると「オレは型紙を売るつもりないよ」ときっぱり。
仁王立ちになり、また口がぎゅっとなった。

「いえいえ、展示したいんです」と、了解を得て作業場へ移動した。
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1版用もあるが、主版+色版用もある。
勝手に触られてバラバラになってはたまらないらしい。
本人見張りの前で、一枚ずつ順番にめくり、いくつかをピックアップする。
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見事な型。
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このイカリと縄の柄、卓布として1枚あります。
その型がこちら。
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1つ作ればいいものを(と凡人は考える)、レイアウトを少し変えて2種の型を彫ったらしい。
ほんのちょっと違う型を何種類も。
そんなのばっかである。
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「てっさ」と呼んでいる白地の帯地(こちらは美山のちいさな藍美術館にコレクションされている)。
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これと同じ型かと思いきや、ふた回り位縮小された型が出現した。
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この染布はもうないとのこと。
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ベニバナの型紙も何種類も出てきた。
「ベニバナは心臓にいい」ので我々実行部のキツケグスリのために、ひとつを持ち込むことにする。
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鳩車の座布団カバーは頒布会に出ます。
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このあたりの大胆な唐草柄は、一番”焚き付けられて”いた頃の代表柄。
何パターンも出てきた。
渋紙の古さが物語る。
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DEE'S HALLの白い壁面いっぱいにダーっと飾りつけたいところだが、それはいずれどこかの美術館や相応な展示室にお任せしたい。
今回は一部を持ち込みます。

「ベニバナさ、大きくなりすぎちゃってさ」
「はぁ」

「天ぷらにしたら食えるかね」

我々とは違う次元のことが気になってしょうがない御大。
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板場の奥、進入禁止の(てか、誰も入らない)小部屋があった。
北向きに位置する2畳ほどの型彫り部屋。
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手に持った半纏はともかく、その奥の棚から麻布のハギレが大量発掘された。
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「そんなの、出すのかい?」とおっしゃるが、あーた、これ、超お宝っつうんですよ!

しかと抱えて、いそいそと作業に戻る。
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この細道がまたにおう。
何かが出る予感でプンプンしているが、いい加減にタイムアップ。
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吊られた染布さえ、見なかったことにしなくては間に合わない。

間に合わないよおおおお。
もう見ちゃだめなんだよおお。

お宝がどんどん発掘され、田中紺屋全体がパンドラ箱化している。
なんで今まで、と思ったが、今だからなんだね。
ははは、布茶幕の抱えた発掘お宝布の山よ。
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よさげな籠をいくつか拾い上げ、きれいに洗って天日干し。
以前、古民芸もりたで求めたという籠たちは、頒布会の什器として活躍する予定です。
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藍染講のための袱紗も複数出てきました。
塩瀬と羽二重生地にカタバミとキキョウのアレンジ紋。
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ポケットになっているものもあった。
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藍に関わる方にはたまらない逸品ではなかろうか。
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このシリーズ、ぜんぜん終わりません。


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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-17 11:16 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2015年 05月 15日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-8.5 見本帖とユニフォーム
あの日丸めて見せてくれた秩父太織布は、もちのろんろん、染上がっていた。
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ズームイン。
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木綿の帯地の多い中、絹の帯地が2本追加されることになった。
湯のしをして仕上げだ。
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職人によって、柄や染め上がりはそれぞれであり、それが個性にもなり、好き好きでもある。

しかし田中昭夫の布は糊際がすっきりと気持ちがよい。

それは何故なんだろう。
糊の強靭さだけなのか。
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みなさまへのラッキー情報として、帯地のはぎれを発掘した。
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それをまとめたお宝見本帖を作るべく、御大は実行部に言われるがまま残業中。
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こちらはもう二度と出来ることのない広巾布。
ヤール巾と御大は言う(90〜100cmちょい)。
15反位あります。
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長い広巾を染めること、広巾へ糊を付けることのむずかしさ。
男の腕のリーチでもぎりぎりだ。

藍を吸って糊もついた重い布を染める。
もう出来ない。
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ぱっきりした青×白といった単純さではない。
ぱっきりを競うならプリント布のほうが余程ぱっきりだ。
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藍と白の間、糊のきわっきわ、数ミリ以下の小さな世界での藍グラデーション。

田中染布のすっきりとした糊際は、ミラクルなグラデのゆらぎにより作られるのか。
黒幕の次に濃い茶幕ブログに詳しい。

頒布会には虫眼鏡を持ち込む予定。
各自目を皿にして確認されたし。

これだけの仕事の広巾布、基本は反売りですが、一部カット可もあります。
前投稿の紗綾形の水玉で、どんと大風呂敷が作れます。

さて、甕場に行こうとすると「田中さん、いる?」と訪問者があらわれた。
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その抱えたモノはいったい?
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らーん。
もしや、頒布会スタッフ用の、アレ?
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裏は薄い綿の絞り。
調べてみると、これまた田中さんらしく、「特岡」という浴衣地の最上等木綿だという。
特上を裏地に使っちゃうんだなあ。

黒幕と茶幕がご試着。
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半纏かと思えば、腕はコハゼで、仕事がしやすく、ポケットもある。
詳しくはいつだって布茶レポートへどうぞ。
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こんなの作っちゃてさ、何なのかな。
誰用なのかな、くれるのかな、買った方がいいのかな。

と、聞こえるように大きな声で言ってみたが、御大はニヤニヤするばかりで何も言わない。

なので、スタッフ用ユニフォームだと解釈し、さっさと実行部作業箱へ入れた。
「SKTAKDHP」Tシャツを型染してもらいたかったが、さすがに言えなくなった。
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お、さっきの布も乾いた。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-15 23:09 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 05月 14日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-8.0 岡崎木綿
田中昭夫の染め布によく使われている「岡崎木綿」のこと。
少しご説明しないと。

自筆の下げ札には「岡崎神谷木綿」と書いてあったりします。
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「岡崎って愛知三河の?手引手織でいまもあるの?」等々、きっとみなさんも疑問に思われるだろう。
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只今、来週の頒布会に向け絶賛準備中につき、ごっちゃりした画像をお許し下さい。
お尻に火がついております。

そんな中、この陽気に御大は「仕事日和」とばかり。
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田中のがっちり糊が見てわかりますか?
座布団カバーらしいが、こちらは頒布会用ではない。
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この染め、実は文化庁からの依頼によるもの。
制作過程の手順を追っての撮影だったか取材だったか、そんな用事のある布らしい。

でも御大は待たない。
こんな染め日和を待てるわけがない。
ご都合はつけない。
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わたしが言うのも今更だが、保護したり勲章くれたりって、遅いです(そういう話はまだない)。
もう引退なのです。

生きているうちに、元気なうちに、田中昭夫の今までの仕事を見てもらい(お求めいただければそれにこしたことはないけれど)、ちゃんと評価(勲章ではなく)して欲しい。

出来ることならば、美術館や学校など次の世代に伝えることの出来る機関にも布が届いて欲しい。
遠慮がちに言ってみましたが、本気です。

美山の「ちいさな藍の美術館」には、昨秋田中コレクションが入りました。
どうよ!!


では「岡崎木綿」について、以下どうぞご一読下さい。
ゴーストライターは型染作家津田千枝子

岡崎木綿について。
今回の田中昭夫の用布には、岡崎木綿が沢山あります。

もともと日本には木綿は無く、延暦18年に幡豆郡天竺村(今の愛知県西尾市)に漂着した崑崙人が
綿の種を伝えたと記録があります。
この時は高温地綿種だったため、日本では繁殖しませんでした。

後に、15世紀中頃に明国綿種が朝鮮経由で改めて輸入され、
中部地区以西に普及しました。
この綿種が三河地方に伝わり、三河・岡崎といった矢作川流域が木綿の産地になりました。

江戸時代は、手引の糸を地機で織っていましたが、
明治になり機械化されていくようになります。

機械化と言っても現代のような精密機械の大量生産とは違い、
家内工業として、製作には人の手が加わるものです。
ガラ紡の発明者 臥雲辰致も、機械と手の合理的調和の仕事を考えていたのだと思います。

さて、田中紺屋の岡崎木綿に戻りますが、皆様ご承知の通り田中昭夫というひとは、
自分の納得する素材を求めて最大の努力を惜しまない人間です。

田中が熱中して生地探しをしていた頃は、三彩工芸社の故藤本均さんが、
韓国で田中のために手引手織の綿布を作らせたり、古民藝もりたで麻の古布を求めたり。
様々な協力者から良質な布を手に入れていました。

しかし、日本の手引手織の木綿布は すでに入手困難で、
岡崎の神谷さんという機屋さんと協力して、藍染めに適した最上の布を作る事になります。
その時の織糸を決めたのも、田中昭夫です。

ですから、厳密に言うと田中の岡崎木綿は、人間の手だけで作った布ではありませんが、
機械の力も借りて、より良いものを目指したものといえると思います。

そして、この布も神谷さんの廃業により、今ではもう入手する事は出来なくなってしまいました。

頒布会の準備を進める中、この岡崎木綿布を見ると、その糸味から人の手の温かさと、
昔の機械が人に寄り添うようなほのぼのとした文明開化の名残りを感じてしまいます。

ラオスの谷さんがこの布を見て「機械を使ってもこんな布ができるんですね!」と、びっくりしていた事があります。


その岡崎木綿のはぎれ等で、古袱紗と風呂敷を上記ゴーストライターに作って頂いた。
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お願いしまーす、なんて簡単にお願いしてはいけないのだが、言っちゃった。
こわいモノ知らずはいつまで許されるのか。

手前に畳んであるものは風呂敷。

水玉の濃淡の布はただの水玉にあらず。
紗綾形の模様に並んだ水玉。

こちら、風呂敷にして大正解!
とってもかわゆすにつき、壁に貼って展示したい。
ご安心ください、カット売り可の水玉生地です。

ゴースト曰く、縫いながら岡崎木綿の布味・糸味のよさがあらためてわかった、と。
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カタチになると途端に輝きが増す。
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ああ。
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御大に配慮して、風呂敷のはじっこは45度にしたという。
このことを伝えたら御大は、うんうん、と目を細めました。
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例によってけろ企画お得意の見積り誤り大発生。
この「頒布会への道」シリーズ。
10.0できれいにフィニッシュできる自信がなくなってきた。

まだまだお伝えしたいことがあるのです。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-14 20:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(8)
2015年 05月 12日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-7.5 股引のこと
台風が来た。
来てもいいけど、よくもないけど、来週も来るとか来ないとか。
頒布会直撃だけは勘弁してくれと祈りつつ、こんな夜には股引情報を。

ももひき。
レギンスとは読まない。

Wikiで引くと「日本の伝統的ボトムス」とあり、にやりとした。

紺屋の白袴とはよく聞く話。
医者の不養生だの、床屋のロン毛だの(これは今つくった)。

田中紺屋はちがう。

紺屋の紺袴。
実際は股引だけど。
半纏だって正藍染めのおあつらえだ。

川口のパンドラ箱と名高い奥の院から出てきた。
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屋号の紺定の印、カタバミ紋の半纏。
裏地もきっちり型染で。

右の段ボールにかかっているものが股引。
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「どうやって履くんですかねえ」とつぶやくやいなや、履き始めた御大。
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たまたま紺色ジャージを履いておられ、脱がずに股引を履いたため、非常に分かりづらい。

が、止められない。
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あーあ、履いちゃった。
早すぎてぜんぜんわからない。

「すみません、もう一度ご試着を」とお願い申し上げる。

よく見ると、股引は構造からしてフシギ。
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こちらは↓前かと思ったら、後ろだと。
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お祭り人間にはご存知だろうが、素人にはちんぷんかんぷん。
この向きに置いて、開いている部分に足を突っ込むと言う。
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さあ。
では今から高速試着に食らいつきの連写になります。
かぶりつきでどうぞ。

足を突っ込む。
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突っ込みました。
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メイン位置をちょんちょんと整えつつ
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脇のヒモを後ろへ回し
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バックスタイルをちょんちょんと整えて
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ちょんちょんぱ。
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ぽん。
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半纏も
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するりと
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ぽん。
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紺屋の親方、一丁上がりの図。

でもね、やはり
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自分で何でもやっちゃう、孤高の大職人ともなれば
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仕事のしやすさは
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こはぜも止めて
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どうしたってこっち。
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紺屋の職人、一丁上がり。

やっぱりこっちが似合う、ザ・田中昭夫スタイル。
田中紺屋の仕事着、お誂え品。

そしてまた丁寧にたたみ直し、仕舞った。
パンドラ奥ノ院ではなく、頒布会準備箱へ。

その昔、職人を抱えていた頃は、この半纏や股引がゴロゴロいくつも転がっていたそうだ。
紐でくくって小さくコンパクト、良く出来ている。
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参考出展にするか、販売するか。
まだ不明だが頒布会には持っていきます。

わたしだって試着してみたいよ。

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正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会
2015年5月21日(木) 5月22日(金)5月23日(土)

21(木)15-19時/22(金)11ー19時/23(土)11ー18時
※開催時間が各日で異なりますのでご注意下さい
会場:DEE′S HALL(表参道駅徒歩3分) d0182119_2348835.jpg 
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by kerokikaku | 2015-05-12 22:25 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
2015年 05月 11日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-7.0 秩父太織
仕事場から丸めて抱えてきたものは、制作途中の帯地だった。
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え?なに?
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座布団カバーや科布など、頒布会用にといくつか作ったのは聞いていた。
それは頒布会のお客さんのため、小さいながらも今できる仕事をやったのだ。

昨秋で長板中形を引退し、精錬用の大釜もなくなった。
このような大仕事は出来ないはずだ。

「いや、これさ、石塚さんの生地でさ。」
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それを聞いて合点がいった。
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秩父太織(ふとり、と読む)。

江戸時代に秩父の養蚕農家が、換金できないクズ繭や玉繭を利用して糸を紡ぎ、自分たちが着る野良着を織ったことに始まった。
丈夫で着やすいことから人気が出たが、やはり時代と共に技術は忘れ去られた。
それが石塚工房の先代、故石塚賢一氏によって1966年に復活した。

この石塚賢一さんもかつての田中応援団のひとりであった。
秩父太織は、田中が好んで使っていた素材のひとつでもある。

昨年より「ちちぶふとり工房」という名に変え、今もなお継承している。

その秩父太織。
以前求めてあった白生地が帯2本分だけあった(太織と呼ばれているが糸が太いわけではないそうだ)。
簡単に手に入れられる生地ではない。

実は昨秋の川口アトリア展までに、この帯地を完成させようとしていた。

津田千枝子はハッとし、ナイスなタイミングでアトリア展示パネルを発掘した。
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まさにこれを彫っていたシーンだ。
幾何学文様のモダンな柄。
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おタイコとタレ、模様の大きさを変えて2種類彫ったらしい。
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まず1度藍に染め、再度伏せ糊をしたもの。
がっちりゆらがない田中の糊。
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こちらは草木模様に松皮菱アレンジの幾何学の柄。
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実の部分へは赤い弁柄が差してある。
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過程を見ただけでもグッとくるものがある。

「この状態でいいですよ、是非頒布会で見ていただきましょうよ」
と、言ってみたが、わかりません。

「もう一回染めたら終わりだから」
さらに続けて「糊のついたのにヒビが入ったらダメになる・・・」と、おっしゃる。

今の田中昭夫でも、帯だからこそ出来た長板の仕事。

頒布会ではどの状態でお見せできるのか、できないのか、現段階では確約はできませんのであしからず。
以上、お含みおきの上のお楽しみに、ということに。


さて、つぎは着尺。
これこそが、最後の長板中形・型染仕事。

これはもう決して作れません。
絶対にできません。

で、ため息、でませんか。
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DEE'S HALLの広い会場で、だーんとお見せすることを夢想してしまい、また値付けをそっちのけ。
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どうですか、こんなすてきな着物、どうしますか。
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まだまだ続きます。
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by kerokikaku | 2015-05-11 16:03 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(1)
2015年 05月 11日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-6.75 B&A&M&SKTAKDHP
B&A&M
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SKTAKDHP
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アロハ~、で合っていますか。

田中昭夫さん風だと「おう。」ってことになります。
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by kerokikaku | 2015-05-11 10:13 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)