<   2014年 10月 ( 21 )   > この月の画像一覧

2014年 10月 31日
苗族刺繍博物館へ 2/2
前回のつづきです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

苗(ミャオ)族の住む貴州省山岳地域には何もなかった。
電気もガスも水道もない。
糸も布も染も道具ももちろんぜんぶ最初からつくる。

厳しい環境の中で子供を育てること、生かすことは容易ではない。
布目から悪いものが入らないよう祈りをこめて刺繍をする。
さらに独自の美意識と生来の器用さから苗刺繍が生まれた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さあて、何年もかけて刺繍をし、ようやく衣装ができたとしよう。

着ているうちに少し傷んでも捨てはしない。
色が褪せたり弱った部分をつぎはぎしながら、大切に着続ける。

子供や若い女性用として最初は赤いものが多い(左)。
d0182119_15303881.jpg

次世代では衣装をドボンと藍甕に漬けて真っ青に染める(中)。
さらに着続けると、藍が擦れ、いい具合のグラデーションになる(右)。

(左)→(中)→(右)の間は10年や20年ではないことは確かだ。
親子3代の手が入っているかもしれない。

では(右)の刺繍について。
皺繍(しわしゅう)と呼ばれるモコモコしたこの技法はどうやるのか。
d0182119_15383138.jpg

まず、この道具を使って絹糸12本取りの組み紐を作るところから。
d0182119_15421355.jpg

紐ができたところで、それを細かく折りたたみ、下布へ縫い付ける。
d0182119_15432963.jpg

わかるけど。
わかったけど。
d0182119_15454184.jpg

いやーん。

これはアップ画像で、実際は数センチの宇宙内のできごとなのである。
最初の画像をもう一度ご覧いただくと、こわさ100倍。

首の後ろがジーンとしてきた。
尋常な細かさではない。
目がくらみ、めまい激しく、ため息もとまらない。

「ミャオの仕事って、見すぎると気持ち悪くなってウェっとなりますよね」

決して言ってはイケナイ、しかし喉まで出かかったセリフを、苗族刺繍博物館館長ミズヨさんが先に言ってくれたので救われる。
d0182119_17433217.jpg

横着して詳しい説明を省くが、穴ポコ段に見えるのは層になっているから。
断層、階層、建物みたいなジオラマを上から見たような。
d0182119_17382719.jpg

それを組み合わせ…

もうむり。
d0182119_17452828.jpg

元レポーターだった経歴もあり、加えてミャオへの愛がドバドバ溢れかえっているミズヨさん。
説明力がすばらしい。
とてもわかりやすく、力強く、熱く解説してくれる。
たまたまご主人も同席されていたが、実はミズヨさんの苗族知識の師匠筋にあたると聞いた。
完全予約制で限定人数なのを納得する。

ちなみに、忘れてならないこと。

苗族の人たちは日がな刺繍をしているわけではない。
インフラ設備のない中、畑を耕し子供を育て、家事労働で一日中忙しい。
電気がないので夜は刺繍ができない。

そしてこれはお金儲けではない。
自分や家族のため、祈りのため。

合間にやっている仕事がこのクオリティとは。
言葉がない。

以前わたしは骨董屋の番頭みたいなこともしていたので、苗族刺繍はいくつも見てきた。
すごいのはわかったが通り過ぎていた。
「ジーンズに合わせたらおしゃれに着られますヨ」的なノリの価値観で販売もされていた。
その話をすると「そうかもしれないね」とここでは笑い話になった。

最初に言いわけしましたよね。

ひとつふたつを見せていただくだけで、あっという間に2時間が過ぎた。
写真を撮る余裕もなかった。

満腹のような、消化不良のような。
今日のところはこれで勘弁してやる、と心の中で負け惜しみを言い、再訪しないとどうにもならないことを十二分に理解する。

素晴らしいコレクションとコレクター。
この仕事が次世代へ繋がるための活動もされている。
d0182119_17435713.jpg

クラクラになって苗族刺繍博物館を後にした。
また来るぜ。


↓布茶レポートも合わせてどうぞ。
苗族刺繍博物館
苗族刺繍博物館再訪
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-31 17:30 | 情報として | Comments(0)
2014年 10月 31日
苗族刺繍博物館へ 1/2
「東海地方出身でありながら、まさかの未訪ですかい?」と、しばらくモグリ扱いであったが、このたびめでたく脱出。
各方面の御計らいの元、苗族刺繍博物館への訪問が叶った。

しかし、あまりのことで、内容の万分の一も見られなかった。

と、まずは言いわけから入りたい。

「みなさん、次は泊りで来たいとおっしゃいます」と館長ミズヨさんが言われるとおり。
一回で見ようってのは、そうとう甘い。

わたくしの実家のある三重県四日市から愛知県常滑までは、船さえこげば海のすぐ向こう。
最短距離の白ラインでチャーッと行ける。

なのに航路がないため、名古屋経由の赤ラインでぐるりとせねばならない。
d0182119_13595084.jpg

どうしてもボヤいておきたかった件は、以上です。


苗族刺繍博物館は、愛知県知多半島、常滑市に位置する。
2年半前の2012年4月に開館した。

55ある中国少数民族のひとつであり、多くは貴州省山岳部に居住する、ミャオ族刺繍の個人宅コレクション館。
完全事前要予約、平日のみ、4名まで、駅からもそれなり等、様々なハードルを越えても行きたかった。

車で訪れると、到着まぎわに最大のトラップがあった。
d0182119_1423236.jpg

d0182119_1445140.jpg

「目的地周辺です、案内を中止します」とカーナビが言ってからの似たような民家の出現に、第一のめまいを起こす。
d0182119_1493824.jpg

ああ、こちらでしたか。
d0182119_14123810.jpg

築120年の古民家に見事にしつらえられた美しい中国家具と調度品。
そして館長ご夫妻の温かい出迎えを受ける。

アンティークの銘々盆に、谷レンテン豆敷に乗せられたコーヒーと柿の葉を皿に見立ててお菓子をいただく。
この時点ですでに興奮、何の画像もナシ。
先が思いやられる。

しばし歓談の後、2階のミュージアムへ。
d0182119_14304523.jpg

全体画像もたったこれだけ。

だってね。
「これ見てください」とミズヨさんに最初に見せていただいたものが、超近視眼的な刺繍だったのだ。
d0182119_1432453.jpg

拡大鏡の「0」~「1」の数字の1目盛が1mmです。
d0182119_14341339.jpg

数字の入っていない目盛の線は、この際無視していいでしょう。
わたくしの華奢な指先が、比較の役に立った。
d0182119_14344689.jpg

英世の顔まで届かない。
d0182119_14353651.jpg

なぜこんなに激しく細かいことになっているのだろう。

貴州省の山間部に居住する苗族は、厳しい生活環境の中で子供を育てて生きていかなければならなかった。
布目から邪悪なものが入り込むと信じられていたため、布目を埋めつくすようにみっちりと刺繍を施した。

苗族の女として生をうけた者であれば、子供から老人まで皆針と糸を持った。
当然うまい下手は結婚の条件のひとつでもあった。
文字を持たないので口頭伝承で後世に伝えている。
たまに刺繍途中の布があるがそれは途中ではなく、手法サンプルの意味がある。

祈りと民族の誇り、さらに高度な美意識と手先の器用さが、苗族の宇宙的な刺繍を生み出した。
残念ながら現在ではお土産用に作られてはいるものの、ここまでの精緻な刺繍はほとんどなくなってしまった。


つづきます。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-31 17:22 | 情報として | Comments(0)
2014年 10月 30日
11月初旬のインフォルマシ
自分で何かはつくらず、つくられたものを見たり使ったり、ありがたくいただくだけ。
たとえばデザインや使い勝手で「いいな」と思ったら求める。
どんなに素晴らしいお仕事でも、ピンとこなかったり、使わない予想が立つならいらない。

だんぜん、それで正解だと思っている。
わからないわたしが出しゃばらず、ピンと来た人が買えばいい。

みなさんもそうでしょう。

このところ、「いいな」よりも一歩踏み込む機会に恵まれている。
つくる人や場所にグッと近づき、ストーリーや信念を伺って、見る。

ざんねんなことに当方、わりかし鈍チン。
パッと見ではなんだかよく理解できない場合多し。

ところが説明を伺った途端、一気に視界が広がり、見え方が変わること、ないですか。
いいものは、奥ゆかしさが過ぎてひっそりしている傾向にある。

もしかしてそうかな、なーんて思ったけど、やっぱそうだったのね。
教わらなければ一生スルーかもしれなかったのに、ああ知ってしまった。

細かい手仕事だからいいとも限らない。
天然素材信者でもない。
ファンキーなVACANT・Tシャツも同レベルで考える。

信用第一。
せっかく買うのならこの人のこれが買いたい。

モノにも惚れるが、人に惚れてのことも多々ある。
欲しければ使い方は後付けで考える。
分相応の中で求める。

さんざっぱらそうやってきたのが、さらに。
と、遠吠えしたくなる秋。

やれやれ。
いいものに出会うってのは、嬉しくもあり、悩ましくもあり。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

H.P.E 谷由起子の仕事|ラオス少数民族との布づくり
2013/10/29(水)-11/17(月):OUTBOUND(吉祥寺)

d0182119_1741044.jpg

全国一千万のH.P.Eウォッチャーの皆様お待たせしました。
H.P.E 2014秋冬展示会がはじまりました。

…DMより中略後略…
急激な変化の直中にある現地では、地道な営みは日々消えつつあります。
今回の展覧会は、谷氏の仕事の集大成に位置づけられるかもしれません。


MITTANシャツのオーダー会あり、民俗学の樫永真佐夫先生のお話会あり。
会期が長いからと、油断すべからず。
詳細はOUTBOUNDサイトをご確認ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

気持ちのいい花瓶
花瓶展
2014/10/31(金)-11/2(日):R(西麻布)

d0182119_175954100.jpg

毎日の花を気軽に楽しむために、
この「気持ちのいい花瓶」をひとつ持つことを
お勧めしたいと思っています。
少しずつ私のところに集まってきた
「気持ちのいい花瓶」を展示、販売します。
市村美佳子


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

空を見る
石神照美(陶) 高橋和枝(絵) 2人展
2014/11/3(月)-8(土):森岡書店(茅場町)

d0182119_1817525.jpg

そうだった。
何年か前に石神さんに札幌で出会ったことで急激に札幌贔屓となり、その後のグワンとした広がりにもつながったのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

humoresque 2015 S/Sコレクション
2014/11/4(火)-8(土):humoresque(西麻布)
d0182119_18204530.jpg

先日、常滑の夜。
わけもわからず連れて行かれた大陶芸家宅でお呼ばれしている時、同じくその場に居合わせた某作家氏とhumoresqueタッキーの話になった。
そして「あなたはだあれ、なぜタッキーを知ってるの?」と聞かれる。

タッキー滝本さん。
今では喫茶R店主でありhumoresque主宰という、非常にわかりやすい肩書になっている。
しかしそれまで、タッキーのことは知っていながら「いろんなところで見かけるけど何してる人?」とみんな密かにささやいていた。

「えっと、わたしは大きくなったらタッキーになりたいと思っている」
質問の答えとは違う返答になったが、作家氏にそう伝えるとハテナという顔をされた。

三千里以上の遠い道のりですが、ほんとうです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宮脇誠&江口宜舟「ヨーロッパの古道具と花」
2014/11/5(水)-8(土):DEE'S HALL(表参道)

d0182119_183933.jpg

フランスを拠点にヨーロッパを「足」でまわり古くて美しいものを
その「眼」で見いだす宮脇誠。その見つけた美しいものに寄り添い
その「手」で花を生ける江口宜舟。器と花の調和の美を感じて下さい。

■会期中に江口宜舟さんの花講座「椿の一輪生け」を開催します。

詳細はサイトをご確認ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トーリの森 帽子展
斎藤麻希
2014/11/6(木)-23(日):名栗の杜(飯能)


木になりたい!そう、思ったことはありませんか?
大地とつながり、天からの恩恵を受けて・・・
あるがままの自分になれる帽子をお楽しみください。
d0182119_18425513.jpg

[PR]

by kerokikaku | 2014-10-30 17:33 | 毎月のインフォルマシ | Comments(0)
2014年 10月 29日
レタリング力
d0182119_21301259.jpg

ビジュアルデザイン科なるところで学び、常日頃マッキーを愛用する者としては、見逃せなかった。

この迫力。

「ー」が足りないのとかは、この際全く問題にならない。

レタリング力に負けずとも劣らない、見事なお味であった。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-29 21:30 | ものすごくその他 | Comments(0)
2014年 10月 28日
こわいものとすてきなもの
さて帰京。

「ずいぶん錆びた柱だなあ」
駅までの車中より何気に撮った。
d0182119_20474059.jpg

首の皮、薄皮一枚。
d0182119_20474087.jpg

うえを見ると、まさかの、屋根組みをふんわり支えているような。
d0182119_20474086.jpg

見間違いだと思いたい。
d0182119_20474036.jpg

名駅で幸せの黄色い新幹線に出会えたので、さっきのは見なかったことにする。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-28 20:47 | ものすごくその他 | Comments(0)
2014年 10月 27日
常滑クオリティ
まとまりきりそうもない、常滑クオリティについて。
d0182119_8551727.jpg

もしくは東海クオリティにつきまして。
d0182119_8551781.jpg

絶滅危惧種ハンターと言うには提灯に釣鐘。
d0182119_8551737.jpg

目眩というか、ためいきというか。
d0182119_8551733.jpg

破れてベロがはみ出した提灯からすれば、まとまる気がせず、難儀なことで。
d0182119_8551757.jpg

今しばらくお待ちください。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-27 08:55 | ガラ紡と三八布 | Comments(0)
2014年 10月 24日
モーニングの中味
d0182119_14223963.jpg

コーヒーを頼むとこんな感じ。
味噌汁付くかなんて、失礼してしまった。
野菜と卵はフランス産の塩をつけて。自家製パンはイチジクジャムで。
ごひゃくえん。
常滑だけに、予想を5挺身飛び出した洗練モーニングであった。
d0182119_1424554.jpg

日曜まで。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-24 14:25 | ガラ紡と三八布 | Comments(1)
2014年 10月 23日
「かがり」と「三八布」
はてさて、深呼吸。

今週末の3日間限定、愛知県常滑市のギャラリーSABAIで展示会がある。
「尾州テキスタイル工房かがり」のデビュー展。
デビュー戦とも言う。

そのことについて、もう少し。

繊維の街・尾州一宮に、明治28年創業の木玉毛織株式会社がある。
現在は毛織業をやめてガラ紡績に特化しているが(ガラ紡についてはまたあらためます。震えて待て。)過去何十年もの間、反物ごとにスワッチ(生地見本)を必ず残していた。

長年ためられた豊富なスワッチは、尾州毛織の伝統と技術が織り込まれ、機械織りではあるが手織りの貴重な組織見本でもあった。

かつて江戸時代、尾張国一之宮・真清田神社の門前で三八市と呼ばれる市が開かれていた。
日用品の交換や綿織物の売買が行われた。
d0182119_22583626.jpg

その名を継ぎ、このスワッチを「三八布(さんぱちぬの)」と名付ける。

「尾州テキスタイル工房かがり」とは「三八布」を蘇らせるべく立ち上がったプロジェクトだ。
木玉毛織の一画でその活動を開始した。

どうすれば「三八布」を生かせるか、組織もサイズもまちまちな布達をどうするか。

まずは、マフラーやひざかけ・クッションカバー・バッグを仕立てた。
帽子作家・山本光さんによる帽子も一緒に並ぶことになった。

サイズ・色・柄・厚さ、何もかもバラバラ。
ちょっと懐かしく、素晴らしい風合いのウールのハギレ。

ご想像どおりのかわゆす。
d0182119_23332939.jpg

ビンテージウールの宝庫がズラリ。
d0182119_22542048.jpg

尾州・木玉毛織の伝統と同じだけ、在庫はたくさんございます。

基本は毛織、サイズまちまち。
およそ30×60cm、大中小、適宜ふんわり不定形。

全部を持ってはこられないにせよ、ハンガーにぶら下がったままの「三八布」。
こちらで販売をいたします。

バッグや帽子ならば1枚で作れる。
パッチワークをすれば、なんとか服を作れる。
ただし同じ生地は2枚とナシ。当然反物はナシ。組み合わせ次第。

シャツの襟だけ、ポケットだけの一部使いもよし。
くるみボタン、インテリア、さあ何にしようか。

尾州テキスタイル工房 かがりの3日間
2014/10/24(金)-26(日):ギャラリーSABAI(愛知・常滑)

d0182119_23211948.jpg

ご存知か否か。

尾州一宮は知る人ぞ知る、名古屋じゃないのに名古屋系モーニングの聖地だったりする。
SABAIでは会期中3日間、カフェをオープンする。

10:00-14:00 モーニングタイム
14:00-17:00 おやつタイム

モーニングは、あのモーニングかもしれない。
きっとそうだと思いたい。

コーヒーを頼むと味噌汁もついてくるのかどうか。
現場にて確認したい。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-23 11:11 | ガラ紡と三八布 | Comments(0)
2014年 10月 22日
田中さん第一回ツアーを終えて 第二回第三回の日程も
2014/10/31現在の状況……やはり田中紺屋展はパンク中です。
今後ご来展をお考えの方は第二・三回のツアー(当欄中程に詳細あり)へのご参加を検討いただきますようお願い申し上げます。


混迷を極めた、田中紺屋展のもろもろ。
まとまって伺った方が平和との判断をし、予告通り、田中展ツアーを開催した。

皆様におかれましては、全経緯をご承知の上、ベリーナイスなご理解&ご協力をいただきました。
心より、心より御礼を申し上げます。

「最初はほんとうに困っていた」と田中さんは言う。
何たって、こんなこと、初めて。

そこで本日、ツアーを組み、川口アトリア展→田中紺屋展へと大所帯でお邪魔した。

まずアトリア内で、津田さんによる田中藍染の解説を聞き、準備した参考布に触れる。

いかに特別な仕事であるのか、型染作家津田さんの説明だからこそリアルだ。
予備知識を深め、ゆるやかに気持ちが高まる。
レポートの雄、詳細はいつだってこちらがグー→

その後雨の中、田中紺屋へドッキドキの移動。

田中さんを囲み、参加者全員、一生懸命お話を伺い、布を見た。
藍についての質問が飛び交い、田中さんも藍甕の前でそれに答えた。
d0182119_2241745.jpg

みるみるうちに田中さんの顔がキラキラしてきた。
d0182119_22591298.jpg

しまいには話が止まらなくなった。
ウィットも効いてきた。
笑みもたくさん出た。
出ないと思われたお茶も出た。

敬意を持って仕事を見てもらったこと。
喜んでくれる人がたくさんいたこと。
それはそれは嬉しかったと思う。

ひたすらに藍だけをやってきた、孤高の職人なのだ。
d0182119_2333080.jpg

いくつかの作品も参加者にお求めいただいた。

「これください」
「あ、うん」
自分の作ったものを買われて、嬉しくない職人はいない。
そっけない返事だが、それで十分だった。

「今日だけじゃないよ。会期はまだ長いんだから、がんばってよね、またツアーやるからね。」

津田さんが念押し工作を計り、ノリだか何だか田中さんは「うん」と言った。
聞いたぞ。
d0182119_23342663.jpg

よし、言質はとれた。

次なるツアー日程を完全決定する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

正藍型染師 田中昭夫展ツアー
第二回 11/11(火) 12:00~ 
第三回 11/15(土) 12:00~

いずれも川口市立アートギャラリー・アトリア集合
川口駅より5分としましたが、実際は徒歩10分位かもうちょっと…

田中紺屋展見学をお考えのみなさま、どうぞこの機会にご参加下さい。

参加は自由です。事前連絡はいりません。
型染作家津田千枝子、わたくしけろ企画が、当ツアーをご一緒させていただきます。
もし連絡が必要な場合は、当日080-6564-3610まで。

川口市立ギャラリー・アトリアは入館無料です。
12:00頃に館内でお声をかけますので、それまで各自でご見学ください。
参考資料と共に津田による田中藍仕事の解説をいたします。13:00頃には一緒に退館します。
駅まで戻り、路線バスで田中紺屋へ移動します。
紺屋と展示室をひとしきり見学後、随時現地解散です。おおよそ15:30頃。

館内では田中さんの仕事風景の映像(30分)が流れています。
藍染布のつくり方を順を追って丁寧に編集された分かりやすい構成になっています。
ツアーをより深く楽しんでいただくためにも、先にご覧いただくことを強くお薦めします。
ちなみに他の三匠の映像も必見です。お時間に余裕を持ってお出かけください。

※参加者多数になった場合の行きの路線バスは分乗になりますのでご了承下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ツアー参加者が帰った後のこと。
当ゲリラ黒幕&限りなく黒に近いグレー部隊が残り、なにかの拍子にディスプレイ台下の棚を開く。

わちゃ。
出るわ出るわ。
d0182119_23401072.jpg

重くて引っ張り切れない段ボールがずらり。
その中に反物ごろんごろん。

わたくしの身分で不躾ながら、つい声を荒げてしまった。
「だめじゃん!」

どうしてみんなが居る時に見せなかったんですか!
もうみんな帰っちゃったじゃないですか!

「えへへ」と笑っている。
「えへへ」じゃないよ、まじで。
d0182119_23462757.jpg

めちゃめちゃ可愛い柄も出てきた。
上左はハンサンモシ。
d0182119_23481539.jpg

手引き綿のパッチワーク、恐るべし贅沢布団皮。
作ってみただけと言う。

売れずにしょうがないので家族で使っているらしい。
もちろんご自身の布団にも。
d0182119_23485779.jpg

誰の目にも触れることのない(せっかく見せる機会があったにも関わらず!)ごろんごろん群に、一同のけぞった。
空いた口をどうふさげばいいのか。
d0182119_23454076.jpg

我々の心はザワつく。
そして色めき立つ。

いや、田中さんはこれで静かに引退される。
今展が最後の展示会。
ひと区切りなのだ。

それはわかっている。
展示会は、そう、最後かもしれない。

しかし別枠として「頒布会」をやってもいいだろうか。
だって、だめでしょ、このままじゃ。

そう思わずにはいられない、正藍型染師 田中昭夫とその染布。
我らゲリラ部隊は、さらなる追加活動の予感にうち震えている。
[PR]

by kerokikaku | 2014-10-22 22:34 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(17)
2014年 10月 20日
田中さんについてのお詫びと10月下旬のインフォルマシと
過ぎたるは、過ぎたるは、過ぎたるは。

覆水盆に、覆水盆に、覆水盆に。

雲行きが超高速で怪しくなってしまった。
体制を立て直そうとしているが、うまくいかない。

広めて下さってほんとうに有難うございます、というレベルを、あっという間に超えました。

嬉しい悲鳴は、いつしか本気の悲鳴になりにけり。
こんなはずじゃ、では許されなくなっている。
どうしたらよいのか、あれからずっとグルグルしている。

親愛なるみなさまへ。

ご協力に心より感謝しています。
それはほんとにほんとなんです。
そしてごめんなさい。

願わくば、どうかお察しいただきたく思います。

いまさらなによで厚かましく、無礼は百も承知で、勇気を出して言います。


パンクしています。



津田さんからの一言も、以下ご紹介します。

<お詫びとお願い>
田中昭夫さんの紺屋展に興味を持って下さった皆様へ


見事な職人技とその生き方に、深い尊敬の念を持っていた私は、これを最後に引退… という言葉を、感慨深く受け止めました。
こんな仕事を、世の中の人にもう少し知ってもらうことは、良いことなのではないかと考えました。

そこで、けろ企画にお願いし、 一緒にささやかな広報活動をしたつもりでした。

でも今の世の中、私が思っていたような人づての伝わり方ではなく、インターネットの波に乗り、本当にあっという間に情報が広がりました。

こんなにもたくさんの方が、田中さんの仕事に興味と共感を持って下さった事を、心から有難く思っております。

しかし、田中さんご本人は、たった一人で小さな紺屋を守り続けてきた職人です。
これほどたくさんの方がお見えになるなんて、本当に思いもよらない出来事でした。

このような事態を招いたことに、余計なことをしてしまったと、心底猛省するところです。

田中さんのお仕事は、アトリアの展示でもていねいに紹介されております。
もし、その展示でご満足いただけたならば、どうぞ紺屋展の方は想像のみにて、という身勝手なお願いも、あえてこの際させていただこうと思っております。

私の浅薄なおせっかいが、このような事態を引き起こした事を、心からお詫び申し上げます。

田中さんの最後の会が、穏やかに良きしめくくりとなることを、祈っております。
皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

津田千枝子




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
以下のインフォ、それぞれのサイトをご確認の上お出かけください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鎌田奈穂 景
2014/10/18(土)-11/1(土):ギャラリーSU(麻布台)


作品の着想は、絵ではなく言葉で残すという鎌田奈穂さん。
今展では、「景」という言葉を手掛かりに造形した金工作品を展示いたします。
d0182119_115662.jpg


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ユーラシアの手仕事展
2014/10/19(日)-10/29(水):THE ETTHNNORTH GALLERY/アトリエ サジ/クリコ(谷中)

〜ブダペストからサマルカンド経由、雲南へ〜 
東欧の民族衣装&生活の道具、古代ローマングラスを使ったアクセサリー、中国少数民族の手仕事。
それぞれをご紹介する谷中の3つのスペースが共同で初めてイベントを行います。
ユーラシア大陸はるか7,500kmを繋ぐ、手仕事の物語。
東京でもローカルな味わいのある谷中で、ユーラシア各部族の生き方と精神を感じられるスペシャルな一週間。

d0182119_123324.jpg


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Good Luck Carpets
2014/10/23(木)-10/28(火):ババグーリ(清澄白河)


ババグーリオリジナルのウールラグ。
様々な柄が揃いました。
北アフリカの先住民族・ベルベル人の昔ながらの手法により
チュニジア北部の工房で、羊の毛を漉いて紡ぎ、手織りで仕上げ。
原毛そのままの天然色の、生成に焦茶
またはそれらを混ぜたグレーを、柄によって二色使いしています。
そのほか、インドで織られたパイルのラグや
ヨーガンレールがトルコで見つけたラグなど
肌触りの心地よい手織りウールの敷物が色々。

d0182119_1295167.jpg


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

緑とかばんとレモネード
冨沢恭子の柿渋染めかばん・toranekobonbonのレモネードショップ「LEMON日記」
2014/10/24(金)-10/26(日):Tisane infusion(名古屋)

d0182119_12134979.jpg

トミー、にゃごやテレビ塔初進出。
トラさん、レモネビア、濃い目はありますか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

尾州テキスタイル工房 かがりの3日間
2014/10/24(金)-26(日):ギャラリーSABAI(愛知・常滑)

伝統ある繊維の街一宮で、明治28年創業の
木玉毛織(株)の一画で活動する『かがり』。
木玉毛織の豊富な生地見本の数々には伝統と技術が凝縮されています。
そんなヴィンテージウールを蘇らせたくて、『かがり』では
マフラーやひざかけ、クッションカバー、バッグなどを仕立ててみました。

d0182119_12375735.jpg

こちらの内容についてはまた追ってお伝えします。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

MITTAN 2015 SS EXHIBITION TOKYO
2014/10/24(金)-10/27(月):ANTIQUES GALLERY(代官山)

問合せは三谷企画室まで
d0182119_12173172.jpg

今年手に入れた服の中で、ピカイチよかったものがMITTANのシャツ。
着ていてこれだけ気分がいいというのは、どういうことだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2014秋 目白コレクション
2014/10/25(土)26(日):目白 椿ホール
d0182119_1234574.jpg

[PR]

by kerokikaku | 2014-10-20 20:15 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)