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2012年 03月 19日
スリップウェア
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駒場・日本民藝館でのスリップウェア展は残すところ数日。

たまたま向かいの西館公開日に行ったので、そちらで流しているSLIPWAREというDVDを観ることができた。

これがよかった。
おかげでやっとこさわかった。

ご存知、化粧土(SLIP)を用いて文様を描いた焼物がスリップウェア。

しかし作り方の説明を何度読んでも意味がわからなかったのだ。
取説読めない女。

器のフチのギザギザ型や、あのトロンとした線文様はどうやって?
長年のハテナ。これはよい機会を得たと、根をおろす。

うろ覚え閻魔帖より以下、軽くひもとこう。

丸い土のおせんべいを作る。
下地のスリップをかけ、乾いたところに別色のスリップで線を描く。えいやっと描く。スポイトを使う。
針の櫛のような器具で、乾く前のスリップをうすら引っ掻くと、羽根のような細い線ができる。
スリップが乾いた後、おせんべいを石膏の型に押し付けて(だから面が平ら)器のかたちにしていく(ろくろじゃなーい)。
フチを削ってかたちにを整える(だからギザギザだ)。
ウラ面も削ってかたちを整える。
釉薬をかけて焼成。

以上、簡易取説。

ろくろを使うよりもずっと手間のかかるしごとだ。
やはり時代とともに衰退していく。

誤解を恐れずに言うと、まるでケーキ作りだった。
スポンジにチョコをかけ流し、クリームを絞り、細いヘラでクリームに細工をし、型に入れてかたちを整えて焼く。
実際の制作はめちゃめちゃたいへんだろうが、見た目も作り方もめちゃめちゃ美味しそう。
なにより楽しそう。

トリビアボタンがあれば「ヘェ〜ヘェ〜」と押しまくりだったろう。
おせんべいだったか!型だったか!スポイトなのか!

同じスリップの中でもトフトウェアは豊かな絵柄の飾り皿だが、こちらのスリップは素朴な雑器。実用品。
これぞ用の美だ。

いいなあ。
スリップウェアはいいもんだなあ。

茗荷谷のギャラリーカフェ橙灯(小匙ジャムのね)でフードをいただくと、運がよければ現代のスリップウェアでサーブしてもらえる。
これ、かなり嬉しいですぜ。

by kerokikaku | 2012-03-19 20:23 | ものすごくその他


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