重い引戸で小指を詰めた。
瞬時には、ま、大丈夫やろ、と思った。
しかし5秒後に猛烈な痛みが走った。
顔が自然と般若になった。
夢のように痛い。
指が潰れたかもしれない。
だめかもしれない。
恐る恐る小指を見るが、なんら変わりなかった。
ただジンジンしている。
無かったことにして過ごす。
忘れるふりをする。
しかし痛い。
数分後、さらなる不意打ちに遭う。
ガラス戸にアタマ全体で正面衝突した。
まさかそこにガラス戸があるとは思わずに突進したので、マンガのような星が飛んだ。
運良くガラスは割れなかったが、脳しんとう寸前だった。
ああ、わたしはこのまま死ぬんだ。
死因が何だかわからないうちに間違って死ぬんだと思った。
三途超えなんて、そんなもんだろうな、などとつまらぬ考えをする。
タンコブは出来なかったが、オデコを押すと甘く痛い。
どんだけ満身創痍かよ、と己の粗相ぶりに情けなくなった。
麦とホップで自己癒しタイムの頃には忘れていた。
朝起きたらすっかり過去だった。
触ればそれなりだが、そんなでもない。
自然治癒力って素晴らしい。
痛いの痛いの飛んでいけ呪文の効果もてきめん。
うそ。
呪文は今思い出しました。
高代謝体質に感謝しよう。
平和だな。