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2015年 05月 24日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-13.0 黒幕からのご挨拶
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」、最高黒幕こと津田千枝子からのご挨拶です。

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お陰さまで「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」は、昨日無事終了いたしました。

昨年の秋以来、様々な展開の中、最終的にはたくさんの方々にこの貴重な仕事を見て、お買い上げも頂いたことに、心から感謝申し上げます。

皆様のお手許に渡ったひとつひとつに、田中紺屋の仕事の渾身の成果が詰まっております。

田中昭夫の職人仕事は、そろそろ終焉を迎える頃にあるかもしれません。
でも、皆様のところに場を得た布たちは、眺められ、使われ、これから美しい輝きを増すことになると、私は思っております。

吟味された布、縦横な紋様、力強い糊、そして最上の藍、それを駆使する技と根性。
100年、200年経って、古びを帯びて美しいものとして残っていく為の最初の要素を、この現代に満たしてくれるものは、それほど多くないと思います。

昨年の今頃は 知る人もなく、このまま消えていくことになるかも知れなかった田中紺屋の仕事は、その原点であるところを持っているのではないかと感じます。

作った人の名が消えても、美しい仕事として残っていくものを愛でる幸せは、私たちが大切に心に留めたい事です。

田中紺屋の仕事をつくづく眺め、改めて「普遍」ということを思いました。

平成にありながら、江戸時代のような仕事。
川口の端っこで、たった一人で黙々と作った物が、青山の最先端の若者の心もとらえる。
日本人だけでなく、中国 アメリカ インド フランス… と、国境もありません。
本人は、一言も言葉を発することなくても。

田中昭夫の言う 「本当のことを、やりたかったんだ」とは、こういうことなのでしょう。
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本当に微力ながら、この呆れるほど見事な仕事を皆様にお伝えできたことは、私の大きな喜びでした。

いろいろな形で、協力して支えて下さった方々(けろ企画・ラオスH.P.E谷由起子・工芸ライター田中敦子・布とお茶を巡る旅DEE'S HALL土器さん&ちこちゃんちいさな藍美術館月日荘丘の上から通信・その他ほんとに大勢)に、深く感謝いたします。
そしてなにより、田中紺屋の最後の仕事を見る為に、御遠方からもいらして下さった皆様に、心からお礼申し上げます。

今後の田中昭夫はおそらく、環境、年齢、体力との折り合いの中で、お天気次第。
自分のペースで仕事を続けていくことと思います。
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藍染仕事を取ったら、何にもない人生ですから。
(あ、西部劇を観る楽しみがありましたっけ。)

今回のこの頒布会を持ちまして、田中昭夫の大きな催しは最後と致します。
本当にありがとうございました。

黒幕 津田千枝子


by kerokikaku | 2015-05-24 22:34 | 正藍型染師 田中昭夫


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