2018年 01月 31日
グレーゾーンの正藍型染師
「来週のいついつに伺います」と連絡をいれたとき。

今年まだお目にかかっていないので、社交辞令に「染めてますか?」と野暮クエスチョン。

すると「別に仕事もないし、遊んでるんだ」と。
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いやいやいや。

そもそも「仕事があるから染め」ていましたっけ。

誰に頼まれたわけでもないのに、いつだって「染めなきゃなんない」って。

今も昔も唯我独尊。
好き勝手に染めるのが田中紺屋。

お騒がせの引退発言からの、うやむやの。
ぐるっと回りまわって、いまに至るってやつ。

止めようがなだめようが。
ロマンティックと染め意欲が止まらないのは、どこのどなたか。

まさかのリバ爺、消極的発言。

何やら不穏なままの川口上陸。
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ハトとかハダカのお姉ちゃんとか、どうでもいい。
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2018年1月田中学校。

別件で小声通話していたら、車掌さんにたしなめられてシュン。

幸先がアレで、気が重い田中学校。
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まだ雪の残る干場。
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藍場はオガクズのいぶり臭でもうもう。
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なかなかの雪国。

ご本人はいずこ。
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板場を探す。
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気付いて「あぁ」って。

新聞を読むとも読まないとも、ぼんやりと日なたぼっこ。

好々爺風味を醸し出す82歳。
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てか、ちゃんと染めているじゃない。
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手前の白生地、精錬もしてあるじゃない。
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「いやもう、たいへんだったんだ」と渋い顔。
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「また糊がはがれちゃってさ」

うん、それ最近のパターンっちゃあパターンですよね。

これは昨年12月にやった染め仕事。
そのあとは手を付けていないと言う。
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「オレ、倒れちゃったんだよ」
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なにぬ?
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年末、風呂場で倒れたんだ、って。
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すべって転んで、意識が飛んだのか。

はたまた、意識が飛んだから転んだのか。

そこの大事なポイントは、ふんわり。
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救急車を呼ぶでもなく、後日お医者に行ったのだと。
検査の数値とか、特に何もアレだったって。
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ともあれ。

奥方と相談の上、もう仕事はやめるんだと。

こんな按配じゃ仕事は出来ない、って。

やめる、って。
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いつか。

そんなに遠くない、いつか。
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こんな日が来ることは覚悟していた。

正直言って。

2017年月日荘展が終わって以来、染めもうまく出来ていない。

動きもヨチヨチしている。
言葉も出にくく、誘い水をしてやっと会話が成立する次第。

「これじゃあしょうがないな」って。
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田中軍団ことTGの立場、全国一千万の田中紺屋をそろり見守る立場からして。

何も言えない。

やって下さいとも、やめて下さいとも。

「はあ、そうですか」としか。

そして、倒れたんだか転んだかの、後遺症はありやなしや。
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えっと。

倒れてからのビフォーアフターとして。

染めはアレだし、動きもヨチヨチ、言葉も出ず。

いつもと何らお変わりない。
後遺症とも思えない変わりなさ。

「底値安定ですね」と、言いたかったがグッとこらえる。
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そうなると。

手配してある希少な「播磨藍」のこと。

寒明け蒅の手はずを、藍師さんのご厚意に甘え、無理して確保をお願いしている。
仕事をやめるのなら、いっそキャンセルし、ほかの方へ回すほうがいいでしょう。

もう蒅はいらないね。
今ある藍で終わりってことだよね。

「寒明け蒅、お断りしときましょうか」
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いや。
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「この藍をあっちの甕に移してさ、新しい播磨藍はこっちで建てるんだ」って。

夢と希望を、なめらかにお語りになる。
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わたしの耳がおかしくなったのだろうか。

今、なんの話をしていたんでしたっけ。

やめるって、何をやめるんでしたっけ。
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干場の向こうの2軒が道路拡張で移動するらしい。

後方で道路工事が始まっており、いずれ田中紺屋の敷地が半分なくなる。
なくなった分が付け足され、敷地が細長くなるのだと。

数十年来のお役所計画が、にわかに動き出した気配。

「見に行くか」
わたしを置いてスタスタ行く。

めっちゃ早い。
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「そしたら作業場をこっちに作り直してさ」

次なる野望が止まらない。

どの口で言っているのかが、不明すぎる。

まともじゃ聞いていられないので、ふんわりのお伺いにする。
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ともかく。

自宅に工事計画が及ばないうちから、早まって新しい作業場を作らないでね、と伝える。

いつだって前のめりなんだから、と。
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世の中は、おしなべて黒と白では分けられない。
パンダちゃんの出番はない。

リバマ御大は、ブルーでもブラックでもホワイトでもなく、グレー。

グレー圏内を縦横無尽にワープしている。
無重力すぎて、捕らえるのに苦心する。
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何でもいいからさ。

仕事をしてもしなくても、もはや、どっちでもいいからさ。

骨を折るのだけは気を付けてね。
つんのめないでね。

夢も野望も引退宣言も。
いつだって馬耳で聞きましょう。

田中さんが仕事をしててもどっちでも。
我々TGは「生姜焼永年無料権」を行使させてもらう。
お昼に財布は持たない。

頼むよ、ほんと。
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わたしのごはんも半分差し上げ、ペロリの巻であった。

お元気が何よりだっつう。
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本日は、安否確認と確定申告の書類整理が目的だった。

出るわ出るわ。

自動アンティーク化した、骨董寸前のステーショナリー群。
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「取り替えっこしませんか」
いずれうまいこと言い聞かせ、100均か何かの同等機種と交換したい気分でいっぱい。

絶滅危惧テープカッターとパンチ穴器。
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わたしの密かな野望だって、なめんなよ。
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いろいろとずり落としながらも、ご丁寧にお見送りして下さった。

また来ます。
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毎月のリバマ訪問のおかげか。

わたしの心臓は鍛えられた。



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by kerokikaku | 2018-01-31 00:55 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(4)
Commented by team-osubachi2 at 2018-01-31 15:35
はらはら、どきどき、うっふっふ、で
ステーショナリーの写真にはグッと♡を鷲掴みされ・・・。
どうぞこれからもお元気で。
Commented by kerokikaku at 2018-01-31 18:05
team-osubachi2様
骨董文具の中にコクヨの帳面もありました。
向こう何年も申告できる分量のストックあり。それは無視しときました。

なんでもたっぷり。
そしてたっぷり自動アンティーク化。
Commented by 津田千枝子 at 2018-02-03 02:32 x
インドに来る前の日の電話は、「転んだ」という言葉が出てこなかったのがわかりました。
6日に帰ったら、じーはとりあえず置いといて、外堀から取り掛かりましょう。
Commented by kerokikaku at 2018-02-05 21:13
津田様
外堀責め、よろしくお願いします。


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