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2019年 02月 07日
田中さんへ送った覚書ー1 (完)
そんなこんながありまして。

お預かりしていた染物型紙資料一式、そして覚書を入れ、先日リバマへ返却した。

手持ち出来ない量なので宅配便で。
結構大きくて重い段ボールが4つ。

開けるにはそれなりの体力が必要だ。
いまの田中さんに開梱は無理かなあ。

それ以前に、開けてもらえるとは限らない。
置きっぱなしの可能性もある。

念のため、発送前に奥様へ電話をしておいた。
「甘いものを同封したので田中さんと召し上がって下さい」と伝える。

最中とカステラ。

食欲はまだあると思いたい。

甘いモノ好きかどうかはともかく、我々の前で田中さんは何でも黙ってぺろりと食べた。
うまいとかありがとうは聞いたことがない。

もしも段ボールを開けてもらえず、永遠に置き去りになったら。

最中とカステラはどうなるんだろう。

いまさら云々カンヌン思っている。

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以下、田中紺屋宛の覚書。

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田中昭夫様

2014年10月から今日まで4年と数か月。
アトリア川口の匠展、田中紺屋ツアー、その後の広報活動から青山での展示、夏場のハギレ発掘、名古屋での展示、播磨蒅とラオス布の手配、岩立ミュージアムにて津田による田中紺屋講演会、そして各美術館への寄贈…(別紙①)。

これまで、津田千枝子とけろ企画はじめ、有志数名が田中紺屋に関わらせて頂きました。
多くの賛同を得て大きなうねりとなり、紺定染布の素晴らしさを広くお伝えして参りました。
この間、田中さんへはかなりの金額をお支払いすることも出来ました(別紙②)。
田中さんのお仕事の一助になればとの一心で動いて参りましたが、現在はこれらの活動を続けるのが難しいご様子です。

そこで、2019年1月をもちまして田中紺屋に関わる私どもの活動を終わりとし、区切りとしてお預かりしていた品々をご返却致します(別紙③)。
さらに、交わしました公正証書の契約については無効に同意と致します(別紙④)。

田中さんにおかれましては、私たちの活動を深くご理解頂きました。
様々な事案に対して快くご協力下さいましたことに感謝申し上げます。

何よりも真正直で力強い正藍型染布があってのこと。
田中さん渾身の染布が多くの人の心を動かしました。

数えてみますと、けろ企画はかれこれ100回近く田中紺屋へ伺いました。
お邪魔するにつけ勉強をさせて頂きました。

田中さんへは、あらためて御礼を申し上げたいと思います。
素晴らしい出会いでした。
寒い折ですのでお体を大切にどうか元気でお過ごし下さい。

奥様にはきちんとご挨拶する機会もないままお騒がせしましたこと、この場を借りてお詫び申し上げます。長きに渡り江戸時代ままの気質の職人と型染仕事を縁の下で支えてこられ、さぞかしご苦労されたでしょう。奥様のご支援あってこそのお仕事だと存じております。

僭越ではありますが、私どもは一連の活動を通じて、田中さんの素晴らしいお仕事を日本のみならず海外まで広くご紹介することが出来たと自負しております。

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別紙:①
田中紺屋資料の寄贈先の覚書

2017年3月名古屋展示会以降、貴重な伝統工芸遺産である「田中紺屋染布と型染資料と書籍」を、しかるべき機関へ寄贈するべく田中昭夫さんご本人のご理解ご協力のもと、大切なお品をお預かりして手続きを進めておりました。
寄贈状況につきましては随時お伝えしておりますが、以下覚書として記します。

2018年2月
岩立フォークテキスタイルミュージアム(東京・自由が丘)
・正藍型染布9反・型紙(2018年6月)・染め風景の写真額

2018年7月
ちいさな藍美術館(京都・美山)
・型紙・手板額・染め風景の写真額・正藍型染布(2019年1月)・書籍「中型染布裂集」「日本の型染」三彩工芸刊ほか

2018年7月
東北芸術工科大学(山形)
・ベニバナ型紙

2018年8月
出羽の織座米澤民藝館(山形・米沢)
・上杉鎧下の型紙

2019年1月
長岡造形大学(新潟・長岡)
・型紙・染布・書籍・彫り風景の写真額(一部お買上げ)

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別紙:③
資料ご返却についての覚書

けろ企画がお預かりしていた大切な田中紺屋資料一式をご返却させて頂きます。

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(別紙③詳細と②と④は省略)



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皆様へ。

4年数ヶ月前の 「引退する」の一言から始まった騒動でしたが、
この稀有な職人仕事を 少しでも記憶に残せたこと、お使い頂く方の元に渡ったこと、
心から良かった と思っております。

前述のけろ企画ブログの通り、この先は 私どもが あれこれできる状況ではなくなりました。
今後は、ご家族のご配慮の中での 田中昭夫さんのご健康を
少し離れた処から 祈りたいと思っております。

本当に たくさんの方々から 消えいく貴重な仕事に ご理解と応援を頂きました事、
深くお礼申し上げます。

津田千枝子
けろ企画


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by kerokikaku | 2019-02-07 18:32 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(3)
Commented by kema at 2019-02-10 14:21 x
けろ様、黒幕様、そしてたくさんの我々の皆様
田中さんをご紹介いただいて本当にありがとうございました。
なんだかわからないけれど、何年かの間に視界の端々にどうも入ってくる自然布と藍染がある。
ああいいなと思っていたものが、実は全て田中さんの手の物だと知れたのは皆様のご尽力の賜です。
そしてアレレな堅物さんとお話し出来たのも、タクシーでお隣に座って秋田弁を堪能出来たのも、田中布とともにもう本当に大切な私の宝物になりました。
大事に大事に使っていきます。藍は使ってナンボ。きっと田中さんも言って下さると思います。
Commented by kerokikaku at 2019-02-12 16:50
kema様
いつもありがとうございます。kema様含めすべてが数奇なご縁でした。お付き合い頂けて感謝しております。アレレだからこそ見せてもらえたことがありました。骨の髄、目の奥まで藍色にさせられた日々でした。
Commented by 津田千枝子 at 2019-02-13 20:17 x
Kema様 本当にありがとうございました。Kemaさんのように 田中紺屋の仕事を大切にして下さる方々の存在が、私達の活動の励みになっていました。
感謝しております。


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