カテゴリ:正藍型染師 田中昭夫( 131 )

2015年 04月 13日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-4.5 新作科布染めたの?
また景色が違う。

引退後はテニスって、まさかね。
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「布を干すのに、下が土より芝生の方がいい」と。

干すのだ。
まだまだ布を染めて干すのだ、この御大。
長板はやらないが、その他の秘策があるらしい。

ああ、あの大釜は今頃…。
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もう言うまい。
そうやってこうやって、惜しむ頃には何もかもがなくなっているのだ。


本日は、テキスタイル関係のインド人&日本人諸氏が田中紺屋見学のため、案内の旗振りにと同行した。
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あちらもそちらも染織のプロ。
藍甕と長板型染めの現場、型紙を食い入るようにご覧になり、写メ撮りまくり。

そんなことは一切意に介せず、仕事をすすめるマイウェイな御大。
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「科布(しなふ)を染めたからさ、砧を打ったあとを払って仕上げ」だそう。
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あ、染めたんだ。
型付け、したんだ。
こちとら聞いてないぞ。
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5月の頒布会には、反物だけじゃなくてこういうのも要るでしょ、と。
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手織生地なので幅も長さもまちまち。
反物染めとして使い終わったあとのハギレを集めておき、テーブルセンター等に使えるよう新たにミニ染めをした。

そして、とってもいい。

砧って、どこでどうやって打つの?と素朴質問を投げかける。

「ほれ」
玄関先の臼とその他。
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臼は逆さに置かれ、底が上になっている(その上の切株は臼ではないがこれも使えるようだ)。
それが砧打ちの台としてちょうど良い。

布を引き、その上に科布を数枚置く。
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また布をかぶせ
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表面をならして
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砧で打つ。
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これにより科布の凸凹した表面が平らになり、ほどよく繊維がつぶれてなめらかになる。
付着していた藍が多少取れるそうだが、それはそれで落ち着く。

逆さにした臼を台にして砧を打つ作業は、田中オリジナルかと聞けばそうではなかった。
餅を搗かない時には臼を逆さにし、砧用の台にするのが昔の普通だったそう。

「このケラはオレが作った」
「は、ケロ?(ひらがなか、カタカナか?)」
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ケラ(蓑)もお作りになったと言う。
もう何を聞いても驚かない。
「まさか臼は作ってないですよね」と、確かめておくべきだった。
砧についてはきっと…。

さあ、はてさてどうする。
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ミニ科布のこの一連は、もしや頒布会のウラ目玉かもしれないです。
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by kerokikaku | 2015-04-13 11:53 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 03月 20日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-4.0 精錬大釜
なにか景色が違った。
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田中翁が反物を干している、その手前。

藍場の前に大きな窯があったっけ。
反物の布を精錬するための五右衛門窯。
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ブロックで囲んだ、大きな窯があったはず。
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証拠画像は辛うじてある。

さあ、どうだ。
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なんもない。
すっきりがらんぽん。
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市だが県だかの条例で、煙を炊くことができなくなったらしい。

ふうん。と向こうに転がる黒いものを見る。
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あれなんですか?
「窯だよ、精錬する窯。もう使えないから放ってある。あとで取りに来る。」
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ふうん。誰か知り合いが使ってくれるんだ。
有効活用してもらえるといいな。
あれだけの立派な大釜だもの、貴重なものだし。

そして半月後。
あれ?ない?

「鉄クズ屋が取りに来たヨ。」
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取りに来たのが鉄クズ屋だとは言葉がなかった。

この時点で、わたしがどれだけ悔やんだか。
悔やんだところで引き取る術もないのだが、とりあえず大いに悔やんだ。

分かっていただけますか。

「精錬は出来なくなったけれど、糊を作る小さな窯場は作った」って。
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長板は引退だが、まだこっそりやる気の御大。
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左の切られた木。
これ、桜です。

アトリア川口の匠展での映像にも映っていた、あの桜。
これも市だか県だかの何がしで切ることになったらしい。

ひょうひょうとした御大を前に、わたしひとりがグズグズ。

分かっていただけますか。
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by kerokikaku | 2015-03-20 23:57 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 03月 18日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-3.95 風景が違う
田舎の親戚の家だと、いつ行っても、それが10数年ぶりに行ったとしても、変わらずに「ある」ものが多い。

「懐かしいなあ」
と、こちらはノスタルジーだが、当人たちは全く気にせず、たぶんその後10数年経ったとしても1mmも動かずにそこにある。
置物だったり、道具だったり、しつらえだったり、景色だったり。

もしわたしが試しに10cm動かしたなら、それは10数年後も10cm動かされたまま、そのままそこにあるはずだ。

と、見くびっていた。

川口は田舎でもなく、ましてやわたしの親戚でもない、田中紺屋。

勝手に田舎の郷愁を感じていたのが間違いだった。
つい、のんびり構えてて「あぅぅ」となった案件がある。

今度来た時によく聞いてみよう、手配するのは今度にしよう。
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詳細は後日。

あーあ。
田中紺屋は、いまも、常に動いているのだった。


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by kerokikaku | 2015-03-18 22:09 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 03月 14日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-3.5 灰ならし
道、ってタイトルでいいのかどうか。

いやいや、これこそが道っていうか。

シンクロニシティっていうか。


季節は移り春先になりましたね。

つい半月程前、あの時はまだ冬。
川口の田中紺屋にて。

囲炉裏端で灰ならしを何気にさわると「これ、オレがブッ叩いて作った」と聞いて「ふぇー」。
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囲炉裏の灰も「オレが山燃やして作った」で「ふぇー」だった。
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川口のおんじ、ハイジのおんじ。
おんじは何でもつくっちゃう。

何でもつくっちゃう、で思い出す。
そういえば去年という年は、素晴らしいおんじ(叱られる前にこう呼ぶのをやめておこう)と栗駒でも出会ったのだった。

照雄さん、どうしているかなと久々にブログ訪問をする。
GWにHPEラオス谷さんと展覧会をした、宮城栗駒・陳ケ森窯のあの鈴木照雄さん。

照雄さんブログの特長は、ご自身で筆書きした文章を撮影し、それをそのままUP。
おお、そんな手があったか!と膝を打ちたくなる、潔くニヤリとする方法。

それもいっぺんじゃなく、ひとつの投稿が数回に渡る。
時々ダブリもあるがそこは気にするところではない。

去年暮れの投稿まで繰った時「あれ?」とマウスが止まった。
「灰ならし」? 
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(画像はお借りしました)
凡庸な人生において「灰ならし」を目にする機会はそんなにないのだが、続いた。
しかも偉大なあのお二人から。

ちなみにこの回のブログ「2014年、年の瀬の近況」、ピリっときます。
耳がチクリと痛かったり、そうだそうだとコブシを挙げたくなったり。
筆書き投稿を3回位繰った後、灰ならし画像が出てきます。


さて、ブックマークをし忘れて照雄さんブログを探す場合。
お名前だけだと漢字変換が怪しいので、陳ケ森窯の「陳ケ森」と入れる。

検索1位が「秋田県由利本荘市陳ケ森」なのだ。

ふーん、って。
あなた。
ふーんじゃないよ。

川口のおんじの出生地が由利本荘市だという事実。

寒いですか。
そうでもないかな。


その数日後のこと。
「工場を片付けたらけろの好きそうなものが見つかった」と家人が言う。

そりゃなんだ、見せてごらんよ。
「古くて貴重なものだからあげないけど、見せるだけなら」と、ずいぶんな焦らしっぷりだった。

おいおいおい。
何の思し召しだろうか。

危うく失神だ。
とりあえず3歩のけぞっておいた。
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ほんもの(うそって何?)の鉄だという。
50年以上前のハツリ工具らしい。
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見た目よりずっと重い。
かわゆす。


翌日、自転車で中距離移動する。

気持ちがとろけた植栽を発見。
だだもれているね、いいかんじだね。
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もしやと思って写メ内を確認する。
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灰ならしはもはや無関係。
シンクロって言っていいのかどうかも不明。

特にオチもなく、以上です。
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by kerokikaku | 2015-03-14 01:03 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 03月 04日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-3.0 値札書き宿題
川口の田中紺屋へ。
来る5月の頒布会に向け、月一度のご機嫌伺いと相互安否確認。
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いっそ「五月田中学校」だと分かりやすい。
ここで降りてはたいへん、めちゃめちゃ手前です。

御大には、反物の値段タグ書きを命じ、おっと、お願い申し上げていた。
まだ先だし、ボチボチやっといて下さい。
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果たして、想定内の、やはり。
完璧にこなしていた。

「筆ペンとボールペン、どっちがいいか思って二種類書いたけど、どうかな」
そこですかい!と突っ込みたくなるが、ともかく。
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あれだけの正藍型染仕事を黙々とやり続けてきた職人は、手抜きを知らない。
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お宝ハギレ群も「バラバラになると厄介だから」と、彼なりにランク毎にまとめて糸で綴じてあった。

いまだから打ち明ける。
昨秋、田中昭夫の型染布に初めて出会ってから。
素晴らしい仕事に感激し、皆様にご紹介する機会を得、それなりにわかったつもりだった。
一生懸命ご案内させていただいたことは間違いない。

でも全然わかっていなかったんだよなあ。
今のほうがあの時よりも田中さんの布のすごさを思う。
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これは藍と弁柄でとか、呉(大豆)をつけて藍色を際立たせたとか、紅花でやるときには真糊を別に付けるとか。
ひとつひとつ違った色柄の反物を見て、恐れ入る。
あらためて、すごい仕事だと、しみじみ思う。

「おれも相当、バカをやったよなあ」
こちらとしても、大きく頷かざるを得ない。

そんでもって、じゅうぶんに満足げなのがスカッとしている。

情熱と執念もあるだろうが、布にはそれらを超えた清々しさしかない。
これは本人の性格の清潔さが大きい。

おーい、何やってんですか。
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どうしても染めたいときかない布。
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水色の反物がたくさんあるのだ。
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ぜんぶを濃く染めたいのだと。
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ああ、いい感じになりましたね。
でもぜんぶ染めなくっていいですよ、水色のも残しておいていいですよ。

と、そういうことじゃないらしい。

「濃く染めてさ、5月のさ、手伝いの人用に半纏を作らなきゃならない」って。

手伝いの人?
それが我々ゲリラ部隊のことだと気づくのに間が空いた。

おーい、大丈夫だから。
新しく作んなくって大丈夫だから。

こないだ奥ノ院から、もりもり発掘したじゃないですか。
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ほうら、まだたくさん、ありますから。
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田中紺屋半纏を着て、笛吹いて、ワッショイ神輿、あげるんで。
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しーらない。
言ったってきかないんだもの。
わたしは一応止めましたからね。

どうやら我々ゲリラ部隊に、悪からぬ感情を持っているようだ。
喜ばせようという厚意のような気がしなくもない。

御大、朴訥すぎて、表情からうかがい知るにはまだまだ修行が足りない。

どうせだったら
「S正藍K型染師T田中A昭夫KD今度こそ最後のHP頒布会」
SKTAKDHPを染め抜いた半纏もいいよねー。

なーんて、これっぽっちも思わなかった。

むー。
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by kerokikaku | 2015-03-04 22:42 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 02月 20日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-2.5 山を焼く
川口、田中紺屋の囲炉裏端にて。

なにげなく見ていた灰。
焼いた炭じゃなくて、その周りの灰。
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ふつう、何気なく見ますよね。
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「山を焼いて持って来た」とおっしゃる。

そう言われても「はてな?」となりますよね
こちらは何のこっちゃわからない。

田中さんはそんなわたしを意に介せず、楽しそうに話はじめた。


「秋田の同級生がさ、山を持っててさ」

「へえ(そんなこともあるだろう)」

「その山を焼いて灰を作ってさ、ドラム缶5杯分、持って帰ってきたんだよ」

「はい?」

「あの時、山火事起こしちゃったらさ、オレ、そん中に飛び込まなくっちゃならなかったな(笑)」

「はいぃぃ?」


「囲炉裏用」の灰だと思って、無邪気に聞いたわたしが間違っていた。
そりゃそうでしょう。
そもそもは「正藍染に使う灰汁用」の灰なのだ。

消石灰は使わず、あくまでも木灰を使う。
昔の藍染めはそうだったんだから。

「買っていたら、とてもじゃないけど出来ないよ」

木灰を買うとたいへんな経済になる。
あれだけの正藍染をするためには、相当量が要る。

でもここ川口じゃ木灰が作れない。
ならば実家のある秋田へ帰って作る、ということだったらしい。

でも秋田ならいいのか?
牧歌的な時代の話として伺った方がよさそうだ。

山に入り分け、トタンで枠を作り、その中でナラの生木を焼く。

「枯れた木を燃してもダメなんだよ、生木を焼かなきゃアルカリの高い良い灰はできない」

ドラム缶5杯の灰を作るにはどれだけのことか。
一晩では(山を!)焼ききれなかったそうだ。

その後、灰をドラム缶に入れてトラックに積み、秋田から川口へ運んだという。

「昔だったから出来たけど、今ならだめだろうな」

「で、でしょうねぇ。」

ちょっと、わたくしの想像を超えてしまい、生返事でしかご対応できなかった。
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「藍染めってのは、たいへんなんだよなあ(笑)」

わたしくらいになっちゃうと、「ははは」と一緒に笑うしか方法がなかった。
どうぞみなさんもご一緒に。

インディゴピュアを使わず、正藍染に憑りつかれた田中紺屋だもの。
推して知るべし。
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昨秋、田中ツアーの頃。
田中さんについて、素晴らしい正藍型染布について。
少しだけわかったつもりだった。

しかしパーソナリティについての把握が全く甘かった。

無骨だとか、頑固一徹だとか、問合せ電話に出ない(汗)とか。
ニュアンスはわかっていたつもりだったが、全然わかっていなかった。
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こういうことです。
本物がやりたくて、灰も作っちゃったわけです。

そりゃそうだわな。

ああ。
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やれやれ。

当ゲリラ関係者として、恥ずかしながら今更ながら。
田中昭夫の、正藍型染に対する執着の強さに、震える。
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by kerokikaku | 2015-02-20 18:00 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)
2015年 02月 18日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-2.0 奥ノ院再び
冬の冷たい雨。
けろたん川口ひとり旅。

前回の訪問からちょうど一か月経つ。
打ち合わせと言う名の相互安否確認をする時期だ。
バレンタインチョコを忘れたことに気付いたがもう手遅れ。

川口の田中紺屋へ向かうバスの中。
つい「じゅうにがつ たなかがっこう」と読んでしまう。
正解は「しわすだ ちゅうがっこう」。ここで降りるわけではないけれど。
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あの時の皆々様が十二分に場を温めて下さったおかげで、孤高の正藍型染御大はお元気。
ナイスなことにご機嫌であった。

着くやいなや、
「5月頒布会のために値段タグを書いてくださいよ」
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傘寿の伝統工芸師である御大に、下から叱咤激励を投げかける、鬼のけろろ軍曹であった。
ひらがなでけろろ。

しばらくして「これ、染めたんだ」と布を見せてくれた。
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薄青の水玉綿型染を、そのままどぶんと藍甕で濃く染めたらしい。
何かをたくらんでいるようだった。

見回すと、見慣れぬ半纏を発見した。
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「わー、また発掘だ、いい色ですね」
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「前からあった」と強くおっしゃるシルクの半纏。
布の糸味がそのままよく出ている。
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おお、これはゼンマイ織。
昔は水弾き用にも着られたとか。
これも染めるのかな。型つけするのかな。あれれ、引退だったよな。
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こちらは科布。型はつけずに藍に染める。
科布は砧で打ってから使う。
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「ほれ、そこにある」
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はい、ございました。

そういえば、前回見つけた無地のカヤ。あれはよかった。
ざっくり、しかしすっきり清々しい藍染のカヤ。
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御大は裏へ消えてしまった。
型染師に「無地がいい」とは禁句じゃなかろうか。
以前フレームが名物の某メガネ屋へ行き「フレームレスを下さい」と言ってしまったことを思い出す。

またやっちまったか、わたし。

すると風呂敷包みを抱えて戻って来た。
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「あれよりずっとグダグダだけど、まだあるんだよ。」
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な、
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なんと。
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持ってるねー。
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グダグダなほうは糸が太い。
中古のカヤで、古裂屋でまとめた買ったものだという。
素材に目がないのが表情で分かる。
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おーい、たいへんだ、本日のミッションが進まなーい。

気を取り直し、「それとですね、5月の案内DMについても相談しようと思って」
そう言ったところ、また秘密の扉、奥ノ院へ消えてしまった。
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でーん。
過去のDMが、引き出し一杯出現してしまった。
新旧ひきこもごものDM群に、古いアルバムを見るような目になる御大。
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はからずも封印され、御大さえも知らないこのゲリラチラシ。
次回こっそり入れておこう。
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これは30年前、男前と型染の腕に一番油の乗っていた頃か。
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あらー、豪華はぎれ付。
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アバカ麻の型染も付いている。
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この時代のDMデザインが、わたくしのハートにグッときてしまった。
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両手に桶を持っているんじゃないですよ。
紺屋が手を藍に染めて、伸子を張り、甕に入りやすいよう蛇腹にした藍染布を取り出しているところです。
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30年以上前にこれを先に発見し、今度のDMを作っておきたかった、と悔やむがどうしようもない。
5月頒布会に向けての大いなる参考資料になった。

あ、どこかで見覚えのあるような。
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YES、隣室。
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ふすま紙、黒部分は藍で染め、最初は青と白。
そこに柿渋を塗ってこの市松。
なんでも自分でこさえちゃう。
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わたしが灰ならしをいじくっていたら「これ、ブッ叩いて作ったんだ」って。
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「銅をブッ叩いて、たがねで削ってオレが作った」って。
ま、ちなみに囲炉裏の枠、黒い太縁もオレが作ったんだけどね。
たしかに湯呑やつまみ置き場として、いい仕事をしている。

わたくし、やっと、だんだん、徐々に、ようやく。
今になって、この御大の性質を把握してまいりました。

何でも自分でやっちゃう。
自分でやらなきゃ気が済まない。
手を抜かない。

と、いうわけなのでしたね。
そうでした、そうでした。

そして、本日予定していたミッションは完全にストップ。
らるー。

流れで囲炉裏に座りこんでしまった。
そこでの茶飲み話。
冗談かと思ったら、大真面目だった藍染めウラ話を伺った。
それは次回へ。
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by kerokikaku | 2015-02-18 23:05 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 02月 06日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-1.0 5月開催決定
昨年秋、正藍型染師 田中昭夫の展示会があった。
川口市立アートギャラリーアトリア「川口の匠」展と同時開催、田中紺屋自宅での展示。

真っ直ぐで、頑固で、一途。
ひたすら正藍型染だけをやってきた無骨な79歳。

この偉大な職人が、人知れず引退すると知った。
慌てふためいてゲリラ活動をした経緯と顛末を、ご承知の方も多いと思う。

急きょ開催した田中紺屋展ツアーには多くの方にご参加いただいた。
いたらないことも多々あったが、ありがたいことに事情を十分ご理解いただいた。
たくさんの方がお求めもくださった。

しかし、数十年の間、真面目一辺倒に作りためた型染反物に終わりはなかった。
作ることだけに終始してきた、執念にも似た仕事ぶり。
売る方も長けていたなら、こんなことになっちゃいない。
あの時、せっかくの機会だったにもかかわらず、閉展後も「うぶだし」布が発掘される始末

引退だから、最後の展示会だから。
当然その言葉にみなさんがひきつけられた部分はあると思う。

最後と言っておいて、またどうなのか。

まだ反物はある。

まだご覧になっていない方もいる。
まだまだ知ってもらいたい。

そこで「頒布会」を開催することにした。

あの時は展示会だったが頒布もした。
こんどは頒布会だけれど展示もする。

それでどうでしょう。

まだ少し先ですが良い季節なこともあり、みなさまの手帳に早目に書き入れていただきたく、ここにお知らせします。

「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」
2015/5/21(木)22(金)23(土):DEE'S HALL(表参道)

5/21(木)初日は夕方~OPENの予定です。会期時間は決まり次第お伝えします。
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こんどこそ我がゲリラ活動のラストになる。
もちろん田中御大も川口から青山へ連日お呼びする所存だ。

実は本人ちょっとやる気になったりしたが、5月頒布会では現存の布だけにする。
まだ甕に正藍は生きている。
細々と染めはするかもしれないが、それはそれ。
長板型染は引退。
新しいものはない。
それでいいと思う。
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いちばんいい頃の、力強い、正藍型染師 田中昭夫の布がある。

―頒布品ー ※ほとんどが手引の木綿地です
・着尺(浴衣地ではありません)
・細巾帯地反物
・中巾反物
・広巾反物(カット販売可能)
・麻無地正藍反物(カット販売可能)
・座布団(5枚追加発掘)
・風呂敷
・テーブルセンター
・袋物、バッグ
・麻地のれん
・「川口の匠」カタログ


その他、写真やパネル、型紙や道具の「展示」を予定しています。
藍甕は持って来られません。
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さて、田中御大はけろ企画から宿題を課せられ、測って巻いて、今頃こんなことだろうか。

頒布会について、また随時お知らせしていきます。
どうぞしばらくお付き合い下さい。

しばらくって。
5月まで、息切れしませんように。

1月だったのにあっという間に2月。
5月なんて、更にあっちゅう間だ、きっと。

田中御大は傘寿になっているのだろうか、こんど聞いておきます。

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by kerokikaku | 2015-02-06 13:06 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(2)
2015年 01月 23日
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」への道-0.5 顔合わせ
あにはからんや、川口の御大。

囲炉裏に火をくべ、エアコン暖房全開、茶菓子もセット済み。
まぁまぁにこやかに我々を出迎えてくれた。

我々というのは、不肖けろ企画と、最高黒幕津田千枝子のふたり。

そりゃあ津田さんは、御大とは38年のお付き合いですし、あ、今年で39年目。
そして押しも押されもせぬ型染作家。
ぽっと出の馬の骨なわたくしとはステージが違う。

この数か月かそこらで、無骨朴訥職人の信用と笑顔を、わたくしごときが得られるとは思わない。

が、

いえーい。
ニッコリ!

注:「怪訝」っぽく見えますがこれは十分「ニッコリ」の部類に入る。
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川口ギャラリーアトリア「川口の匠vol.4 麗のとき」展のカタログをゲットする。
「″けろ″はひらがな、″へ″は江戸の江でお願いします。」
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「表紙に?」とそこは怪訝だった。
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本日は、5月に都内某所で開催する「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」に向けての初回打ち合わせだ。
事務的な詳細はともかく、「いったい、あと、どんだけあるの?」確認が最大の目的。

律儀な御大は「出しといたよ」と、すべての藍染布段ボールを用意していてくれた。
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わたしは田中昭夫の型染仕事について、絶大な信用をおいている。
天地神明に誓って間違いがあろうものか。
布を見て触れるたびに、怖いぐらいの真っ直ぐな情熱と確かな仕事に畏れ入る。

しかしお言葉については、申し訳ないが疑ってかかる。
かつて奥の院よりすばらしい座布団を発掘した経緯がある。

「奥の院、もういちど見せて下さい」
「もう何にもないよ」
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「てか、あるじゃん!!」
時空の扉を開けると、またぞろ出てきた。おらおら!
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田中紺屋は白袴ではなく、豪華正藍型染半纏を制作していた。
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裏地の柄は一枚づつ違う凝りよう。股引も数枚出てきた。
こちらすべてオートクチュール。
おしゃれさんなのだ。

なんだこりゃ?
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布の販売について、田中さんはほんとうに試行錯誤していたんだなあという証拠作。
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御大自らのチクチクによる制作途中が3枚。
しかもミニスカートだぜ。
涙がでそう。

つづいて、帯地反物をカテゴリ分けし、丈を計りなおす。
津田千枝子が働く。
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田中昭夫も働く。
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御大豪華2名を働かせ、わたしは半纏を着て「似合うかな」なんつって。
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驚くことに、いや、驚くのは失礼ながら、田中御大が過去に計測して書いたサイズは、まったく間違いがなかった。
こんな人のやった仕事だもの、そうだよね。

これで頒布会についての道筋は見えてきた。
けっこう反物ありましたな。

じゃあ、そんなわけで、いよいよ走り出しますか。
準備もろもろ、それなりに大変ですが、がんばりましょう。
そうしましょう。

このあとは黒幕津田は完全黒幕に徹し、けろ企画が田中御大とがっぷり四つに組んで頒布会の準備をすることになる。

ニッコリだもの。
だいじょうぶだよね。

だいじょうぶかな。
こわくないかな。
今度からけろちゃんひとりだ、どぼちよう。

そして夕方、小雨降りぞぼる中、田中御大は外まで見送ってくれた。
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我々が角を曲がって見えなくなるまで立っていた。

手を振るでもなく、声を出すでもなく、笑うでもなく。
姿が見えなくなるまで立っていた。

こういう人って、もうね、困りますね。


S正藍K型染師T田中A昭夫KD今度こそ最後のHP頒布会
「正藍型染師 田中昭夫の布 頒布会」

あまちゃん風に「SKTAKDHP」Tシャツとかいいよね。
やっぱ正藍型染かな。
おおそうだ、御大は引退だった、そうだった。
ならばプリントで充分だ。

田中紺屋の半纏を上に羽織ったりして。
おしゃれさんだよね。
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by kerokikaku | 2015-01-23 19:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(6)
2015年 01月 22日
川口再訪
本降りの雨と寒さにご注意下さい、な冬の日。
川口くんだりまで、今年初の正藍詣で。

秋のあの日も雨だった。

田中翁は怪訝な顔でわたしを迎えた。
いや、とくに迎えてもくれなかったので、無理くりスキマから入り込んだ。

あとは皆さまご承知の通り。
すったもんだ、ジッタバッタがありまして。

紺屋展最終日。
囲炉裏端で、翁を囲んで一献の折には笑顔だった。

さて。
田中翁と正藍、本日のご機嫌はいかに。
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わたしのこと、覚えているかな。
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by kerokikaku | 2015-01-22 09:40 | 正藍型染師 田中昭夫 | Comments(0)